2017年9月28日発行

Autodesk Product Design & Manufacturing Collection
製造系コレクションを名称変更。解析とCAMツールの追加で業務範囲が拡大

オートデスクは、2016年から販売してきた製造業向け総合パッケージであるProduct Design Collectionを拡充し、新たにシミュレーション製品とCAM製品を追加した。これに伴い、製品名称をProduct Design & Manufacturing Collectionに変更し、2017年8月より販売を開始した。これにより、製造系コレクションの業務範囲が広がり、製品価値がより一層高まった。その狙いや製品戦略について担当者に話を伺った。

高度なシミュレーションや2.5~5軸加工などに対応

今回改めてリリースした Product Design& Manufacturing Collectionには、3 次元CADのInventor上で動作する構造解析ソフトウェアのNastran In-CAD(ナストラン インキャド)と、同じくInventor上で動作するCAMソフトウェアのHSM Ultimate(エイチエスエム アルティメット)が新たに追加された。これにより、パッケージに含まれるソフトウェアで対応できる業務範囲が、設計からシミュレーション、加工まで広がり、2D/3D設計データを活用する業務を増やすことができる。

例えば、Nastran In-CADでは、線形静解析、固有値解析をはじめ、非線形領域(塑性領域)の解析や熱・応答・座屈解析など可能になり、設計者を悩ませる熱問題や振動問題、金属疲労の問題などにも的確な結果をすばやく提供する。また、Inventorに完全統合して解析を行えるので、使い慣れたインターフェイスとワークフローで、Nastranの解析結果を使用してデザインレビューなどの情報共有もスムーズに行える。

一方、HSM Ultimateは、次世代の統合CAMソリューションで、2.5~5軸加工機に対応し、設計部門と同じデータを使って加工シミュレーションを行うことができるので、設計変更のたびにデータを変換する煩わしさがなくなる。

従来の製造系コレクション製品は、設計者向けのC A Dソリューションというイメージが強かったが、Product Design& Manufacturing Collectionと名称変更し、新たに構造解析ソフトウェアとCAMソフトウェアが追加実装されたことで、業務範囲が大きく広がり、製造業向け総合パッケージとしての価値がより一層高まっている。

具体的には、設計者のみならず、解析担当者や加工担当者、工場計画担当者などが、Inventorを中心とした共通のプラットフォームで効率的に業務が行えるようになる。

オートデスク株式会社 ビジネスストラテジー&マーケティング 製造業ビジネス開発マネージャーの宮岡 鉄哉氏は、「今回のProduct Design& Manufacturing Collectionの投入により、製造系コレクションの業務範囲が広がり、社内で活用できる人が増えました。例えば、これからは加工シミュレーションを行うお客様も販売ターゲットになるので、パートナー様のビジネスチャンスがさらに広がります」と語る。

お客様の課題を解決する。提案力でビジネスを拡充

オートデスクの製造系ソリューションは、クラウドをベースにしたFusion 360、業界別コレクション、専門性の強いスペシャル製品の3つの大まかなカテゴリーに分かれている。今回、業界別コレクションに組み込まれたNastran In-CADとHSM Ultimateは、もともとスペシャル製品に分類されていたが、いずれもInventorと同じユーザーインターフェースで利用できるので、業界別コレクションに追加されるかたちとなった。

今後もこうしたカテゴリー分けの調整はあるかもしれないが、基本的には、Fusion 360、業界別コレクション、スペシャル製品という3つのカテゴリーで、それぞれの企業の用途やニーズに対応した製造系ソリューションを提供していく方針は変わらないという。

その中で、業界別コレクションについては、The Future of Making Things(ものづくりの未来)につながる「One Path」というキャッチフレースのもと、企業をものづくりの未来へといざなう取り組みに注力している。そのためには、日々進化を遂げるテクノロジーの変化に柔軟に対応していく必要があるので、今後もソフトウェアの追加やワークフローの機能強化などを図りながら、業界別コレクションを随時進化させていく考えだ。

だが、業界別コレクションは、単にこれまで個別に提供していた各種製品をまとめて拡販することが本来の目的ではない。業界別コレクションに含まれている各種製品を組み合わせて活用することにより、企業が直面している課題を解決に導くことが本来の目的だという。

「こういう便利な機能があるので、使ってみてくださいといった製品ありきの提案ではなく、お客様がどういうことに困っているかをきちんとヒアリングし、お客様自身がまだ気づいていない課題を見つけて、その課題解決につながる提案を行うことが重要です」と宮岡氏は語る。

例えば、AutoCAD LTだけを使っているお客様の場合、利用者がどのような課題を抱えているかを的確に把握しないと、次のステップには進めないという。

「お客様が2次元設計を続ける場合でも、AutoCAD Mechanicalを利用した方が効率化できる要素はたくさんあります。また、Product Design& Manufacturing Collection にも含まれているクラウドベースのFusion 360を使用して、取引先とのデータのやりとりが円滑に行えるケースもあります。こうした提案ができるかどうかがポイントになります。なぜなら、単にソフトウェアを購入するだけならば、オンラインショップで簡単に手に入ります。逆に言えば、パートナー様が提供している独自のサポートサービスなどを併せて提案することで、ビジネスのボリュームを増やしていくことが、今後ますます重要になります」と宮岡氏は語る。