サブスクリプションへの移行による
更新ビジネスが軌道に乗り、
今後はパートナー様の教育支援に注力

ここ数年、オートデスクのビジネスモデルが急激に変化している、その仕組みやメリットをきちんと理解することによって、CADビジネスを加速させることが可能になる。しかし、そのためには、乗り越えなければならない課題もあるという。大塚商会のCAD製品卸販売担当者に、CADビジネスの現状や今後の展望について話を伺った。

  • ビジネスパートナー事業部
    MA・CAD営業部 東日本CAD課
    MGR 課長 川島 郁志

  • ビジネスパートナー事業部
    MA・CAD営業部 東日本CAD課
    課長代理 木村 勉

(BP編集部)
オートデスク製品のサブスクリプションへの移行から3年が経過しましたが、市場の変化をどのように感じていますか?

川島課長

サブスクリプションは 期間ライセンスであるため、1本当たりのライセンスの売上金額は、永久ライセンスの3分の1程度に下がってしまいます。リリース当初は毎月の売上が3分の1に落ち込んでしまうので、正直、3年間は我慢の時期でした。しかし、3年経った現在は、サブスクリプションの更新ビジネスが軌道に乗り、そのうえで、新規の案件がプラスされるので、売上が徐々に右肩上がりに回復しています。特に昨年は、Windows 7のEOSによって、PCと一緒にCADを買い替えるケースが多かったので、全体的に好調な1年でした。

木村課長代理

エンドユーザー様はサブスクリプションの仕組みをよく理解されて上手に活用するようになりました。例えば、前回は50ライセンス取得していたけれど、今回は30ライセンスに変更してほしいなど、プロジェクトに応じて必要な数量だけ調達するケースが増えてきました。オートデスク製品は、業種別コレクションが主軸と思われますが、未だにAutoCAD LTのニーズは高いです。サブスクリプションに移行してからも その傾向は変わらず、3次元化へのお手伝いが進んでいないのが実情です。

(BP編集部)
新型コロナウイルスの感染拡大は、CADのビジネスにどのような影響を及ぼしていますか?

川島課長

私共もパートナー様も、ほとんどがテレワークです。しかし、それでも、見積依頼の件数は、以前とほとんど変わりません。サブスクリプションは契約期間が切れたら更新の必要があるので、どんな状況下でも動きがあります。ただし、新規ライセンスが多い大型案件は、コロナ禍でエンドユーザー様の稟議に時間がかかるようで、パートナー様から見積依頼が来ても、その案件がいつ決まるのかわからない状態が続いています。しかし、新型コロナウイルスの鎮静化により、公共事業が再開されるようになったので、徐々に明るい兆しが見えつつあります。

木村課長代理

従来の永久ライセンスは、オフィス以外で使用する場合は、ライセンスをはきだしたり戻したりの設定がいちいち必要で、気軽に利用できるものではありませんでしたが、現在のサブスクリプションは、一つのライセンスで3台までインストールができるので、テレワークに適しています。そのため、「自宅のPCでも使えますか?」という問い合わせが急増しました。そうした問い合わせに対して的確に回答できるのが、大塚商会の強みの一つです。

(BP編集部)
オートデスクはマルチユーザーのライセンスの移行プログラムを発表しましたが、その影響をどのように感じていますか?

川島課長

メーカーにてマルチユーザーライセンスの稼働状況を平均的に判断された上での、ネットワーク1ライセンスをシングルユーザ2ライセンスへ移行させるプログラムですが、ライセンスが2倍になることでストレスなく利用できるユーザ様もあれば、不足するユーザ様もでてくるのではないかと思われます。また、移行のタイミングで実際に、ネットワークからの環境移行がスムーズにできるか懸念しています。

木村課長代理

シングルユーザーは、月に1回、インターネットに接続してライセンスの認証を行わなければなりません。導入先が官公庁様においては、セキュリティ上の理由からインターネット接続を分離する必要があるため、シングルユーザーライセンスに切り替えること自体が難しいという問題が出ています。そうした問題をいかに解決できるかが今後の課題の一つです。

(BP編集部)
今後は、オートデスクの製品もくらうどーるで取り扱えるようになりますが、その点も踏まえて、今後の抱負をお聞かせください。

木村課長代理

くらうどーるのメリットは自動更新です。更新ビジネスは今後も注力項目のひとつであり、いかに更新率をあげてパートナー様の売上に貢献できるかが課題となっています。現状は、メーカーから更新案内が配信されてはいるもののユーザー様の発注忘れも多いようで、慌ててご相談いただくケースも散見されます。弊社からパートナー様へ提供している更新Oppty案内を活用いただくのも一つの手段ですが、くらうどーるでの自動更新を活用いただくことで、更新漏れを回避することができます。もちろん、更新ライセンスの減数・増数も可能です。パートナー様のお手間も軽減されると思いますよ。「くらうどーる」とはパートナー様が手軽に課金サービスの販売を始められるプラットフォームを提供するサービスです。

川島課長

パートナー様の中には、オートデスクのサブスクリプションのメリットを、まだきちんと理解されていないところもあるので、今後は、パートナー様の教育にも力を入れたいと思います。同時に、若い人材を育成しながら、Webミーティングのツールなどを有効活用して、パートナー様により良い提案が行える体制づくりをすることが今後の課題です。