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SIMフリースマホビジネス特集
第3回 ~プリペイドSIMの市場動向編~

いよいよSIMフリー端末が出そろい、一気に市場の拡大が予想されるSIMフリービジネス。ところが、法人の回線契約でも利用者や代表者の与信が必要となるなど、敷居が高い実情がある。そこで注目されているのがプリペイドSIMだ。データ通信のみのプリペイドSIMなら、手軽に契約ができるだけでなく、経費として扱えるメリットもある。プリペイドSIMの可能性について、日本通信株式会社 プロダクトマーケティング 後藤 堅一氏に聞いた。

拡大一方の消費者向け格安SIMがSIMフリーのビジネスを推進する

 SIMフリーへの関心が高まっている今こそ、エンドユーザー様に提案しやすいSIMフリーの商材が求められている。
SIM(Subscriber Identity Module)とは携帯電話などに装着するユーザー認証カードのこと。欧米では2G携帯電話のGSMの時代に使われ始めて、日本でも3G携帯電話のW-CDMAで採用された。SIMフリーとは「任意のSIMを装着可能な状態である」ことを意味し、SIM装着可能なIT機器で大手キャリア以外が販売しているものを形容する言葉として使われることが多い。
 SIMフリーのスマートフォンやタブレットには、大手キャリアのSIMもMVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMも自由に装着できる。企業にとっては、通信事業者各社の多様な通信サービスの中からその企業のニーズに合ったものを選べることが最大の魅力だ。

SIMフリーのビジネスは、数年前から始まっており、いくつかのハードウェア・メーカーはSIMフリーのWindowsタブレットもリリースしている。しかし、「大手キャリア以外の通信事業者からSIMを買う」ことへの認知度はなかなか高まらず、大きなビジネスとはならなかったという経緯がある。
 しかし、今、状況は大きく様変わりした。スマートフォンを安く使いたいというエンドユーザー様の声に応えて、MVNO各社のSIMが「格安SIM」「格安スマホ」などのネーミングで量販店やスーパーマーケットの目立つ場所に並ぶようになったのである。総務省も、電話料金をさらに引き下げるための手段の一つに格安SIMを位置付けており、その結果、今日のようなブレイク目前の状況が醸成されている。

法人向け5GBプリペイドSIMも登場 物販にも対応し、JANコード付き

日本通信株式会社
プロダクトマーケティング
後藤 堅一氏

 このSIMビジネスに長く携わってきたのが、MVNOの老舗として知られる日本通信株式会社だ。同社の後藤 堅一氏は、「SIMだけをプリペイド方式で提供するというビジネスモデルは、国内でわれわれが最初に手がけました」と話す。
 その背景には、「オープンな通信」に対する同社創業以来の強い思いがある。「SIMロックフリー端末というものが世に出るべきという考えから、それに欠かせないSIMの販売を始めることにしました」と、後藤氏。当初はこれほど大きな市場になるとは思っていなかったと明かす。

 日本通信は、音声通話サービス、データ通信月額課金サービス、データ通信プリペイドサービス、ハードウェア(VAIOPhoneなどの端末)の4カテゴリーで多数の商品を展開している。このうち、法人向けSIMパッケージの主力商品に位置付けられているのが、2015年11月10日に発表された「b-mobile 5GBプリペイドシリーズ」だ。

 この商品はNTTドコモのLTE(Xi)またはFOMAネットワークを利用したデータ通信専用(つまり通話不可)のSIMとなるもので、利用月(30日)ごとに5GB(5,000MB)までの容量を通信速度無制限(ベストエフォート、ただし転送量が極めて多い場合は制限あり)で転送できるという内容になっている。プリペイドに含まれる利用期間は、1カ月(30日)、6カ月(180日)、12カ月(360日)の3種類。初回の料金はパッケージ代金に含まれており、継続して利用する場合はクレジットカードを使ってオンラインでチャージすればよい。

 b-mobile 5GBプリペイドシリーズの特徴として、後藤氏は「低価格」「回線契約が不要」「販売店向けに商材として提供可能」の3点を挙げる。
 まず、価格は“オープン”になっており、販売店が自由に設定できる。値決めの参考になると思われる日本通信のオンラインショップでの価格は3,650円(1カ月版、税込み)から31,800円(12カ月版、税込み)。月間5GBの容量で通信速度無制限であることを考えると、十分に競争力のある商品だ。
 またプリペイド方式なので、利用者はめんどうな回線契約を日本通信と交わす必要はない。10:00~20:00の時間帯なら、「開通手続きダイヤル」を使った手続きは1時間以内で完了。「総務部などに申請したり時間のかかる承認プロセスを経たりすることなく、すぐに使い始めることができる」(後藤氏)わけだ。

 そのほかにも、海外からの旅行客向けに提供されているプリペイドSIMパッケージ「b-mobile VISITOR SIM 14Days」もある。こちらは、14日間の容量無制限・通信速度無制限(ベストエフォート)のデータ通信サービスを2,380円(税込み)で利用できるというもの。2,380円(税込み)の追加チャージで14日単位の延長も可能だ。到着後すぐに使いたいという利用者は、空港郵便局やホテルで受け取ることができる。

ハード・ソフトと合わせた一気通貫型で品質と競争力を向上させる

仮想移動体通信事業者(MVNO)として、b-mobileブランドを展開している日本通信。コンシューマで知名度を高めたが、当初はビジネス向けのサービスとしてプリペイドSIMを開発したとのこと。

 スマートフォンやタブレットの案件が多いパートナー様にとって、b-mobile5GBプリペイドシリーズのような物販対応のSIMパッケージはオールインワン型のモバイルソリューションに欠くことのできない商材となる。ハード(モバイルデバイス)・ソフト(セキュリティツールやモバイルデバイス管理ツール)・通信(格安SIM)をセットで提供することによってソリューションの品質が高まり、競争力も向上するからだ。

 また、多数のプリペイド方式SIMを運用している企業向けに“期限切れご案内サービス”を提供してもよい。現在のSIMビジネスは消費者向けサービスから発展してきたという経緯もあって、利用状況確認などは利用者一人一人がWeb画面から行うのが基本のスタイル。忙しいビジネスパーソンには受け入れてもらえない可能性が高い。

 そこで、パートナー様がエンドユーザー様のSIMをまとめて管理するようにすれば、エンドユーザー様にとってはSIMの期限管理の手間が省け、パートナー様にとっては継続利用の売り上げを確保できるというメリットが生じるわけだ。後藤氏によれば、日本通信はすでに一部の販売会社に対してそのための情報提供を始めているとのことである。

 本格的なIoT時代を迎えて、“一人に1枚”から“モバイルデバイスごとに1枚”へと増えていくのが確実なSIM。売り上げをさらに伸ばすための戦略的な商材として、積極的に取り入れていきたい。

BP事業部で取り扱うプリペイドSIM

b-mobile プリペイドSIM

b-mobile VISITOR SIM

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