SIMフリースマホビジネス特集
第8回 ~Windows 10 Mobile搭載スマホのゆくえ 編~
2016年10月に行われたBP事業部主催のセミナー「期待のマーケット&旬な商材セミナー」の第4セッションにて、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンをテーマとするパネルディスカッションを開催。各関連メーカーのキーマンが集うディスカッションは、忌憚のない意見が飛び交い、今後のWindows 10 Mobile関連のビジネスに期待が持てる内容となった。
ディスカッションに参加されたパネリストのみなさま
日本マイクロソフト株式会社
コンシューマー&パートナーグループ
OEM統括本部 第二営業部 チャネルエグゼクティブ
箕輪 陽子氏株式会社日本HP
パーソナルシステムズ事業本部
クライアントソリューション本部 本部長
村上 信武氏株式会社マウスコンピューター
法人営業統括部
モバイルビジネス推進チーム マネージャー
杉本 勝氏
日本独自の市場が形成される中で、新たなモバイルビジネスに期待

「~Windows 10 Mobileで仕事のスタイルが変わる!~」と題して開催された第4セッションでは、冒頭でWindows 10 Mobileに関する○×形式の質問が行われたあと、各メーカー様のプレゼンテーション、後半部分をパネルディスカッションという流れで進められた。
プレゼンテーションで「マイクロソフトは、Windows 10 Mobileというカテゴリに対して、きちんとした市場を形成したいと考えています。そのための開発や投資を適切に行い、これからの日本のビジネススタイルに適応したソリューションを提供いたします」と話すのは、日本マイクロソフト株式会社 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部 第二営業部 チャネルエグゼクティブ 箕輪 陽子氏。2016年10月の時点で、12社14機種のWindows 10 Mobile搭載スマートフォンが日本市場向けに発表・発売されている。世界的に見てもこれほどのラインアップがそろうのは日本しかなく、製品に対する期待の高さがうかがえる。
ハイスペックな仕様を誇るWindows 10 Mobile搭載スマートフォン「HP Elite x3」をリリースする株式会社日本HPからは、パーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 本部長 村上 信武氏が登壇した。「電話、タブレット、PCを統合するデバイスとして開発されたHP Elite x3は、どこでも安心、安全、そして快適なビジネス環境を提供するツールとして登場しました」と開発意図を説明。今後、少子・高齢化時代による労働力の減少を解消すべく、時間の有効活用に向けたソリューションとして提供したいと話す。
早くからWindows搭載のスマートフォンの開発に力を入れる株式会社マウスコンピューターは、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンとして、5インチ型ディスプレイを搭載する「MADOSMA Q501」とContinuum(コンテニアム)に対応する6インチ型ディスプレイを搭載する「MADOSMA Q601」を発売している。法人営業統括部 モバイルビジネス推進チーム マネージャー 杉本 勝氏は、「今年の夏にMADOSMA Q501を北國銀行様にご採用いただきました。導入の背景としては、生産性向上を掲げる同社のスローガンのもと、ご要望にお応えできる製品として選択いただいております」とWindows 10 Mobile搭載スマートフォンの最新導入事例を説明する。
白熱するパネルディスカッション
各社のプレゼンテーションが終了し、パネルディスカッションがスタート。冒頭の○×の質問について、詳しく掘り下げられた。
まず、「今後、法人向けのITデバイスは、PCからスマホに置き換えられると思いますか?」との質問に対して、3社とも「×」の回答。その理由として、生産性の効率を高めるためには、オフィスや外出先といった利用シーンはもちろん、利用者の業務内容に最適なデバイスを選択すべきという意見だった。そのほかにもContinuumの洗練化により、スマホがPCとなる可能性もあるとのコメントが印象的だった。
次の「今後、販売店様がWindows 10 Mobileの販売を増やすには、アプリ開発の業者と協業したほうがよい」との問いかけに対しては、3社様とも「○」。専用アプリが少ないとされるWindows 10 Mobileではあるものの、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)によるアプリ開発の負担が軽減されている点や、専用端末化しやすいといった意見が述べられた。パートナー様の提案もこのあたりがポイントになるのではないだろうか。
3つ目の質問は、「スマートフォンの導入は、情報システム部門の攻略がカギとなる」。こちらも3社様とも「○」の札が挙げられた。これまでの企業の携帯電話の導入は、回線契約の都合もあり、総務部門の管轄であることが多かった。ところがスマートフォンは、PCやタブレットといった情報機器としてのカテゴリに分類されるため、情報システム部門への提案が効果的とのことだ。
4つ目は、「販売店様が回線を取り扱うことで、さらにWindows 10 Mobileが売りやすくなる」という質問。こちらは意見が分かれた。売りやすくなるという意見としては、音声とデータ通信といった回線サービスは、端末とセットで提案できたほうが、エンドユーザー様としても管理の手間が少なくて済むということだった。一方で、日本の大手キャリアは、企業向けの回線販売は、回線数に応じて有利な条件を提示する場合があり、コスト的な比較では、パートナー様の競争力が問われることもあるとの指摘もあった。



最後は、「今までPCやタブレットを販売してきたパートナー様にこそ、Windows 10 Mobileを販売してほしい」という質問。こちらは各社様とも「○」との回答。Windows 10 Mobileは、ほかのOSと違い、企業が業務で使用しているWindowsシステムと非常に親和性が高い。管理の面やセキュリティ対策はもちろん、Office 365をはじめとするアプリケーションもPCと同様の感覚で利用できる。この親和性をエンドユーザー様に説明するとともに、業務効率の改善とコストの削減といったパートナー様がこれまで提案されていきたノウハウを組み合わせることで、大きなビジネスチャンスになるとのことだった。
日本市場で、これほどまでにWindows 10 Mobileが期待されているのは、現在のスマートフォンをビジネスで利用した際に、さまざまな限界を感じているからにほかならない。例えば、セキュリティの問題であったり、業務で利用しているアプリとの連携であったりという課題だ。そのすべてを現在のWindows 10 Mobileが解決してくれるわけではないが、今回のパネルディスカッションを通じ、理想のビジネスツールに一番近いデバイスのように感じられた。
日本HP Elite x3
PC相当の高機能をポケットに
HP初のモバイルデバイス
『Elite x3』は、日本HPが初めて発売するSIMフリースマートフォン。Windows 10 Mobile搭載で、音声アシスタント「Cortana」や、新ブラウザー「Microsoft Edge」を利用可能。さらにOffice Mobileも標準搭載され、手元でワードやエクセルの閲覧や簡単な編集も可能だ。
IP67準拠の防水・防塵性能、米軍調達基準MIL-STD 810Gをクリアし、高い堅牢性で安心して普段の持ち運びができる。待受500時間を実現する大容量バッテリーで、ビジネスでの利用に心強い味方となる。
ディスプレイ | 5.96インチ、2,560 x 1,440 WQHD アクティブマトリクス型有機EL(AMOLED)ディスプレイ |
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プロセッサー | Qualcomm Snapdragon MSM8996 with Adreno 530 GPU |
メインメモリー | 4GB LPDDR4 メモリー |
ストレージ | 64GB内蔵ストレージ(eMMC 5.1) |
外形寸法(W×D×H) | 83.5×161.8×7.8mm |
本体質量 | 約194g |
マウスコンピューター MADOSMA Q601
大画面6型フルHDディスプレイで
タブレットのような視認性を実現
『MADOSMA Q601』は、同じくWindows 10 Mobileを搭載したSIMフリースマートフォンだ。6型フルHDディスプレイ採用で、高精細な大画面表示が最大の特長。別売りのアダプターを接続して最新機能「Continuum」を利用でき、液晶モニターとワイヤレスでつなげばデスクトップPCのような操作が可能になる。
狭額縁デザインによって大画面ながら携帯性も維持しており、手に持った際のグリップ感にも配慮したデザイン。同社ならではの24時間365日電話サポートもあり、安心して使える一台だ。
ディスプレイ | JDI 製 約6型 1,080×1,920 (フルHD) |
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プロセッサー | Qualcomm オクタ(8)コアプロセッサーSnapdragon 617 (1.5 GHz (クアッドコア) + 1.2 GHz (クアッドコア)) |
メインメモリー | 3GB |
ストレージ | 32GB |
外形寸法(W×D×H・突起物含まず) | 82.3×160×7.9mm |
本体質量 | 176.5g |