SIMフリースマホビジネス特集
第1回 〜SIMフリースマホの市場動向編〜
特定の通信事業者にしばられることがなく、利用ニーズに合った使い方ができるSIMフリースマホへの関心が高まっている。現状のビジネス向けサービスでは、大手キャリアでスマホと回線をセットで調達する場合が多い。SIMフリースマホの場合は、従来の契約方式より通信費用が安くなることも多く、従業員向けの貸与スマホにも適している。今後、普及の見込まれるSIMフリースマホについて、今から情報収集などの準備を進めておきたい。
通信事業者にしばられないSIMフリースマホが人気上昇中
最近、複数の通信事業者が発行したSIMが使える「SIMフリースマホ」が日本国内でも急速に増えている。このSIMとは、スマホやタブレットなどのモバイル端末で、音声通話やデータ通信を行うための小型ICカードだ。通常、モバイル端末にSIMカードさえ挿入されていれば、どの通信事業者の契約でも通話・通信をすることができるが、日本では2010年まではその本来の使い方ができなかった。いわゆる「SIMロック」方式と呼ばれる、契約した通信事業者のSIMと端末の組み合わせでないと利用できない制限がかかっていたからだ。結果、A社のスマホにB社のSIMを物理的に装着できたとしても、通話、電子メール、Webサイト閲覧などのサービスは使えなかった。
そのような特定の通信事業者にしばられずにSIMを利用できる端末が、「SIMフリースマホ」だ。A社のスマホにB社のSIMを装着して使えるので、「スマホにはバッテリー容量の大きさでA社のものを選ぶが、SIMは自社の使い方に合ったサービスメニューがあるB社と契約する」といった導入ができる。
SIMフリースマホには、既存通信事業者の回線網を借りて独自のサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMを使えるという魅力がある。つまり、実際には日本の携帯電話大手三社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)の安定した通信インフラを使いながらも、格安の料金体系やサービスを享受できるのだ。
利用料金の低減や利用提案など、エンドユーザー様に利点あり
このような柔軟性が評価されて、移動体通信市場におけるSIMフリースマホのシェアは順調に高まっている。MM総研が発表している「国内MVNO市場規模の推移(2015年3月末)」によれば、2015年3月末のMVNO回線数は3,045万回線(対前年比205.7%)に達している。2015年3月末時点では、移動体通信市場(1億7,670万回線)の約5.2%(926万回線)が独立系MVNO事業者によるもの、同じく約1.8%(326万回線)が独自サービス型SIMという内訳だ。移動体通信市場における実数こそまだまだ少ないが、シェアが年々高まっていることは確かである。
SIMフリースマホの最大の利点は、格安SIMとの組み合わせによって毎月の利用料金を低く抑えられることだ。携帯電話大手の標準的な料金プランでは月額料金が6,000円を超えてしまうが、SIMフリースマホと格安SIMのセットなら月額1,600円程度で利用できる。BYOD(私物持ち込み)のセキュリティリスクを回避するためにスマホを社員に貸与しようと考えているお客様にとって、このコストの違いは大きい。
さらに、社員に貸与するスマホをSIMフリースマホに統一しておけば、企業の都合で通信事業者を替える際のハードルが格段に低くなる。格安SIMでは契約期間の“しばり”がないことも多いので、新しいサービスや料金プランの登場に合わせてすぐに乗り換えが可能だ。
このほか、SIMフリースマホは海外出張の際もそのまま使える可能性が高い。現在のスマホは世界共通の規格(LTEとCDMA)に沿って作られており、インターナショナルスタンダードモデルの製品は、海外の周波数帯域にも対応していることが多い。海外への行き来が多いお客様には、利用シーンにあわせた提案もしやすいだろう。
今後の主流はSIMフリースマホ。お勧めは海外勢の世界共通モデル
実際のところ、海外のほとんどの通信事業者はSIMフリー方式で運用しており、「スマホといえばSIMフリースマホ」が一般的になっている。日本のスマホのSIMフリー化は、行政主導で推進していることから、長期的にはSIMフリースマホが国内でも主流になっていくことは間違いない。
では、現状でどのようなSIMフリースマホを提案できるのか。今、人気の高いSIMフリースマホには、HUAWEIの『P8 lite』やASUSの『ZenFone 2 Laser』などがある。これらの最大の特徴は、日本市場向けの機能(おサイフケータイなど)を省いたインターナショナルスタンダードモデルだという点。もちろん日本語表示に対応し、一部のSIMフリースマホのようなGoogle Playに非対応ということもない。
SIMフリースマホを利用する際の注意点としては、総務省による「技術基準適合証明」「技術基準適合認定」(以下、技適)を受けていない通信機器を日本国内で利用すると違法になること。特に並行輸入品は注意が必要だ。そのため安易な格安SIMフリースマホの提案には、リスクがあることも覚えておきたい。もちろん、大塚商会が提供している商品は、技適の認証を受け、国内のサービス体制も万全なので安心して提案していただきたい。
BP事業部で取り扱う代表的なSIMフリースマホ
[HUAWEI] P8 lite
P8 liteは、本体内にSIMを2枚(LTE/3G用と2G用)内蔵でき、欧米・アジアで使われている周波数帯域も広くカバーしているなど、インターナショナルスタンダードモデルの典型となる製品だ。本体サイズは幅約71mm×奥行き約7.7mm×高さ約143mm、質量は約131gと小型軽量なので、“2台持ち”するにも最適だろう。CPUに採用されているのは8コアのHisilicon Kirin 620オクタコア(AS3/1.2GHz)で、OSは最新のAndroid 5.0 Lollipop/Emotion UI 3.1だ。その他の仕様は、RAM容量が2GB、ROM容量が16GB、ディスプレイが5型(720×1,280ドット)、メインカメラの解像度が1,300万画素、インカメラが500万画素となっている。
製品名 | P8 lite |
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カラー | ホワイト、ブラック、ゴールド |
対応OS | Android™ 5.0 Lollipop / Emotion UI 3.1 |
CPU | Hisilicon Kirin 620 オクタコア (A53/1.2GHz) |
メモリー | RAM:2GB/ROM:16GB |
サイズ(W×D×H) | 約71×約7.7×約143mm |
質量 | 約131g |
[ASUS] ZenFone™ 2 Laser
5インチスマホとして機能面・コストパフォーマンス面から評価が高いZenFone 5の後継として、さらにスペックを強化したモデルがZenFone 2 Laserだ。外観はiFデザインアワード2015を受賞したZenFone 2の洗練されたデザインを採用。本体背面は人間工学に基づいた形状で、自然に持ち手になじむよう設計されている。最大の特長はハイスペックなカメラ機能。ピントの合わせづらい薄暗い場所でも瞬時にピントを合わせる「レーザーオートフォーカス」を搭載しているので、急なシーンでも自動でフォーカスし、鮮明な撮影をサポートしてくれる。デュアルSIMは両方とも4G、3G、2G回線に対応しているので、国内・海外を意識せずに2枚のSIMをフル活用することができる。
製品名 | ZE500KL-BK16(ブラック) ZE500KL-WH16(ホワイト) ZE500KL-RD16(レッド) |
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プラットフォーム ※1 | Android™ 5.0.2 |
プロセッサー | Qualcomm® Snapdragon™ 410 |
メモリー | 搭載容量 ※2:2GB 仕様:LPDDR3 |
サイズ(W×D×H) | 約71.5×約3.5~10.5×約143.7mm |
質量 | 約145g |
※1 利用可能な新しいプラットフォームへのアップデートがある場合、ホーム画面上に更新通知メッセージが表示されます。メッセージに従いアップデートを行う事で、プラットフォームのバージョンを最新にする事が出来ます。製品の生産時期により、記録されているプラットフォームより新しいバージョンが搭載されている場合があります。
※2 メモリーの増設や交換はできません。予めご了承ください。