通信環境の強化にゴールはない。大容量かつ高速通信とセキュリティ向上のニーズに応えることは、情報システム部門の永遠の課題だ。新設するネットワークであれば、最新の機器を選択することも可能だが、既存のネットワークも適宜強化していく必要がある。しかし、ネットワーク機器のリプレースの際には、機器本体の交換だけでなく、設定や運用の変更などが必要になる。そこで提案したいのが、後継モデルの活用だ。
ヤマハの『RTX830』は、同社「RTX810」の後継モデルに位置づけられるギガアクセスVPNルーターだ。前モデルと比較して、スループットは2倍の2Gbit/s、VPNスループットは5倍の1Gbit/sに強化されている。VPN対地数は6から20に増強された。拠点間VPN、クラウドサービスへのVPN接続、外出先からのリモートアクセスVPNなど、VPN利用の増加に対応でき、ストレスのない通信環境を実現できる。
筐体サイズは、高さが前モデルの42.6mmから43.5mmとやや大きくなったが、高さ、奥行きはほぼ同じサイズになっているので、設置場所に悩むことなくリプレースできる。消費電力にも変更はなく11Wのままなので、電源系に手を加える必要もない。さらに前モデルで使用していた設定ファイルもそのまま引き継いで使用できる。リプレースの際の手間を最小限に抑えられるのは、互換性を保っている後継モデルならではのメリットだ。
『RTX830』には、担当者がネットワークの構築・運用を行う上で、その負担を軽減するための機能が多数搭載されている。「マルチポイントトンネル機能」は、個別の設定が必要だった物理的な複数拠点へのVPN接続を、1つの設定で行う機能だ。拠点の増設や、移設の際のVPN設定作業の軽減が可能になる。また、GUI機能によってネットワークを可視化する「LANマップ機能」を利用すれば、ネットワークの状態を一覧で確認でき、不具合を早急に発見して対応することができる。さらに、「クラウド接続のかんたん設定」機能を利用すれば、クラウドサービスへのVPN接続の設定を大幅に簡略化できるので、効率的にクラウドサービスを利用できるようになる。
同製品の導入による、通信の高速化、セキュリティ強化とあわせて、担当者の業務効率化と負担軽減を提案していただきたい。
型番 | RTX830 |
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インターフェイス | 【LANポート※1】 1ポート(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T、ストレート/クロス自動判別) 【WANポート】 1ポート(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T、ストレート/クロス自動判別機能) 【microSDスロット】 1スロット(SDHC対応) 【USBポート】 1ポート(USB 2.0 Type-A、給電電流:最大500mA、USBメモリー/USBデータ通信端末に対応)※2 【コンソールポート(設定用)】 2ポート(RJ-45、USB Mini-B(5pin)、9,600/19,200/38,400/57,600/115,200 bit/s)※3 |
メモリー | Flash ROM:32MB(ファームウェア:1組、コンフィグ:5組/履歴機能あり) RAM:256MB |
VPN対地数 | PPTP:4 IPsec:20 L2TP/IPsec:20 L2TPv3:1 最大設定可能数:20※4 |
VPN機能 | IPsec(VPN機能:NATトラバーサル、XAUTH)+AES128/256、3DES、DES(暗号機能:ハードウェア処理)+IKE/IKEv2(メインモード、アグレッシブモード)、PPTP(VPN機能)+RC4(暗号機能)※5、L2TP/IPsec、L2TPv3、L2TPv3/IPsec、IPIPトンネル、マルチポイントトンネル(クライアント) |
動作環境条件 | 周囲温度:0〜50℃ 周囲湿度:15〜80%(結露しないこと) |
電源 | AC100~240V(50/60Hz)、電源内蔵、電源インレット(2極コネクター、C8タイプ)、電源スイッチ |
最大消費電力(皮相電力)、最大消費電流、発熱量 | 11W(23VA)、0.23A、39.6kJ/h |
外形寸法(W×D×H・ケーブル・端子類は含まず) | 220×160×43.5mm |
質量(付属品含まず) | 1.1kg |
※1 LANポートは4ポートL2スイッチ
※2 全てのUSBメモリーの動作を保証するものではありません。USBハブは利用できません。最新の対応USBデータ通信端末はメーカーサイトにて公開しております。
※3 市販品のUSB Mini-Bケーブル、または、別売りオプション品のRJ-45コンソールケーブル「YRC-RJ45C」をご使用ください。
※4 IPsec、PPTP、L2TP/IPsec、L2TPv3 のVPN設定を併用する場合はその合計数になります。
※5 本製品は、RSA Security Inc.のRSA(R)BSAFE(TM)ソフトウェアを搭載しております。RC4およびBSAFEはRSA Security Inc.の米国およびその他の国における登録商標です。