IoTをはじめとしたスマート社会の実現には、安定した無線通信環境が不可欠だ。その一方で、さまざまな機器が無線通信を行うことで、電波障害などのトラブルも発生しやすくなっている。速やかなトラブルシューティングは、今後、ますます重要になっていくだろう。そこで重要になるのが、障害発生時の一次対応と障害原因の切り分けだ。スマートフォンなどに接続して使用できるスペクトラムアナライザなら強い味方になるだろう。
Osciumの『WiPry 790x』は、755〜928MHzに対応したスペクトラムアナライザだ。少ない消費電力で広いエリアをカバーする無線通信方式の一つであるLoRaや、IEEE802.15.4g規格をベースに相互接続を有する無線通信規格であるWi-SUN、ワイヤレスポイントtoポイントブリッジなど、今後、適用分野が大きく拡大すると予想されるIIoT(産業分野向けIoT:Industrial Internet of Things)が使用する920MHz帯をカバーしたモデルだ。
また、IIoTで使用する周波数帯は各国がそれぞれ規定していて、日本では916〜928MHzであるが、米国では902〜928MHz、中国は755〜787MHz、ヨーロッパは863〜868MHz、韓国は917〜924MHz、シンガポールは866〜925MHzと異なっている。同製品であれば、これらの国の周波数に合わせて使用することが可能だ。
『WiPry 790x』はスマートフォンやタブレット端末、ノートPCなどに接続して使用するモバイルタイプのスペクトラムアナライザだ。本体は手のひらサイズで質量も100g以下なので、フィールドサービスの担当者が備品として持ち歩く際でも負担は少ないだろう。iOS、Android、Windows、Mac OSに対応しているので、手持ちの機器に接続して使えることも、荷物を増やしたくないユーザーには嬉しい点だ。
さらに、解析用のソフトウェアが無料で提供されている点もチェックしておきたい。ライセンス料やサブスクリプションなしで利用できるので、導入コストやランニングコストを抑えることが可能だ。また、日本語のユーザーマニュアルが用意されているので、英語のマニュアルが苦手というユーザーにも安心しておすすめできる。
製品名 | WiPry 790x |
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システム要件 (ソフトウェア) | iOS version 8.0 Android version 6.0 Windows 7 Mac OS 10.10 (Yosemite) |
システム要件 (ハードウェア) | iOS Lightning Devices (iPad, iPhone, iPod) Android Devices with USB OTG Windows/Mac USB 2.0 |
周波数範囲 | China:755-787MHz Europe:863-868MHz Japan:916-928MHz Korea:917-924MHz Singapore:866-925MHz USA:902-928MHz |
周波数分解能 | China:32kHz Europe:5kHz Japan:12kHz Korea:7kHz Singapore:59 kHz USA:26 kHz |
増幅範囲 | -100~-20dBm |
増幅分解能 | 0.5dBm |
アンテナポート | SMBコネクター |
アンテナ外部 | アンテナ、2dBi利得 |