【連載】
くらうどーる
Office 365/Microsoft 365ビジネスを
次世代のステップに移行しよう
掲載日:2021/04/27
Microsoftから永続ライセンスの販売プログラム「Open ライセンス プログラム」の終了が発表され、2022年1月以降、Open での新規ライセンス発行ができなくなることが明らかになった。中堅・中小企業を中心に販売してきたパートナーにとって、非常に大きな変更となることは間違いないだろう。そこで今回は、Openライセンスの終了に伴う、ライセンスビジネスの変更について解説していく。
後継の永続ライセンスは「Software in CSP」か「Open Value」
今回終了が発表されたのは、Openライセンスプログラムで販売されているソフトウェアライセンス全般にあたり、Software Assuranceおよび、Office 365やAzureなどのオンラインのサービスも含まれる。Openライセンスで販売したライセンスは永続ライセンスであるため、2022年1月以降も継続して利用できるが、オンラインの製品の更新やSoftware Assuranceの更新はできなくなる。
このOpen ライセンスプログラムの終了に伴い、CSPプログラムから提供開始されたのが「Software in CSP」だ。これまでCSPプログラムからは、Office 365/Microsoft 365やAzure、拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Updates:ESU)といったサブスクリプションは提供されてきたが、Software in CSPはCSPプログラムから提供される新たな「永続ライセンス」である。
Openライセンスプログラムの中でもOpen ValueやOpen Value Subscriptionは、今後も継続して販売が可能だ。マイクロソフト社によるとOpen Valueでは、教育機関と非営利団体向けにも提供が予定されている。つまり、実質的にOpenライセンスの後継として販売可能な永続ライセンスのプログラムは、Software in CSPかOpen Valueということになる。
ちなみに、Software in CSPではSoftware Assuranceのオプションを利用できないため、ユーザー企業がアップグレード保証、トレーニング、導入計画策定、製品サポートなどSoftware Assuranceの特典を必要としている場合には、Software in CSPではなくOpen Valueのライセンスを提案しよう。
あるいは、これを機に永続ライセンスからサブスクリプションへの移行を提案してみるのも手だ。Openライセンス終了以外にも、コロナ禍によるテレワーク需要の高まりが、Microsoft TeamsなどMicrosoft 365をはじめとするクラウドサービス利用への追い風となっており、ユーザー企業からの好感触が期待できる。
Software in CSPはサブスクリプションのライセンスと一括管理可能
名前の通りCSPプログラムで提供される永続ライセンスである「Software in CSP」は、CSP Indirect Providerである大塚商会からの販売となる。取り扱い製品は、Openライセンスとほぼ同等だが、Openライセンスのように3本以上という最低発注本数の制限がなく、1ライセンスから販売が可能だ。
主な取扱製品
- Windows Server製品
- SQL Server製品
- Office Standard /Professional Plus 2019
- Word/Excel/PowerPoint/Publisher/Outlook/Access 2019
- Office Standard 2019 for Mac
- Word/Excel/PowerPoint/Outlook 2019 for Mac
- Visio Standard/Professional 2019
- Project Standard/Professional 2019
- Skype for Business Server 2019
- Windows 10 Enterprise LTSC 2019 Upgrade
Openライセンスは「ボリュームライセンスサービスセンター(VLSC)」で管理されるが、Software in CSPのライセンスは「Microsoft 365管理センター」で管理する。
すでにCSPプログラムを利用してサブスクリプションを販売している場合、そのまま同じテナントでユーザー企業のライセンスを一括して管理できるようになる。
つまり、特定の部門はクラウドのMicrosoft 365を使っているが、地方の営業所などでは永続ライセンスを使用しているというケースであれば、永続ライセンスをSoftware in CSPに移行することによって、Microsoft 365管理センターですべてのライセンスを管理できるようになる。
ただし、Open Valueのライセンスは、これまで通りVLSCで管理する必要があるので注意が必要だ。
なお、これまでCSPプログラムを利用したライセンスの販売を行っていない場合には、新たに固有のテナントドメインを作成する必要がある。
OpenライセンスからSoftware in CSPに移行することで、最低発注本数の制限がなくなり、ライセンス管理の煩雑さも軽減されることになる。リセラーとユーザー企業の双方にメリットが見込める一方で、Software Assuranceが適用できないことや、ユーザー間でのライセンス譲渡ができないことはデメリットと言えるだろう。また、セルフサービスプロビジョニングが前提となっているため、CSP Indirect Providerである大塚商会は、購入、アカウント通知、キーおよびソフトウェアのダウンロードまでのサポートは提供するものの、導入後の技術サポートは提供されない。
次世代のライセンスビジネスモデルに移行しよう
現状のOpenライセンスは2021年12月末まで販売可能なので、年内に駆け込み需要が発生する可能性は高い。しかし、これは一時的な特需に過ぎず、次年度以降のビジョンが見えてこない。
今回のOpenライセンスの終了は、ライセンスのビジネスモデルがサブスクリプション型へとシフトしていることを明確に示している。Microsoft 365などサブスクリプションモデルへの移行のセールストークにもなっているが、Office 2013は2023年4月11 日に、Office 2016/Office 2019は2025 年10月14日に延長サポートが終了する。
つまり、いまオンプレミス版のOffice製品を導入しても、サポート期間は5年未満となってしまうのだ。これでは“永続ライセンス”を購入する意味があるとは言えないだろう。
コロナ禍によってビジネスを取り巻く環境は大きく変化している。テレワークが常態化したことで、クラウドサービスが注目されており、とりわけMicrosoftのクラウドサービスを利用する法人ユーザーは世界中で爆発的に増加している。
ユーザーライセンスだけで最大15台利用可能であり、オフィスでも自宅でも同じ環境で作業できること、日々進化するセキュリティの脅威への対策など、Microsoftのクラウドサービスを利用するメリットは多岐にわたっている。
サポートが終了する前にOfficeをスムーズに移行させるには、余裕をもったスケジュールでの移行がポイントとなる。Openライセンスの終了を機会として、Microsoft のクラウドサービスの導入を提案してみてはいかがだろうか。
CSPビジネスは、早い者勝ちの陣取り合戦である。ライセンスモデルのシフトはすでに始まっており、いずれどこかのタイミングでCSPへの取り組みを開始しなければならないのであれば、早急にこのビジネスに参入して大きな成果につなげることが重要になる。ビジネスを積極的に次世代のステップに移行して、勝ち組を目指そう。