【連載】
くらうどーる
新しいサブスクリプションプラン
「Azure Plan」とは?
掲載日:2021/06/29

Microsoft AzureのCSPサブスクリプションプランが、「Azure Plan」にアップデートされた。旧プランから新プランへの移行においてパートナー様での作業は発生せず、また技術的な面で変更はない。しかし今回加わった新しい機能、Azure Cost ManagementとAzure Lighthouseにより、パートナー様の管理作業は従来よりも効率的になる。この二つの機能についてご紹介しよう。
Azure Planへの移行
今回のアップデートでは技術的な変更はなく、従来通りのAzureの利用が可能だ。また、アップグレードに伴い、パートナー様に手続きや特別な作業が生じることはない。
注意点は、同一テナント(xxxx.onmicrosoft.com)内で、旧プランとAzure Planの併用が不可であることと、旧プランのまま使っていると2021年7月以降、新サービスがリリースされてもそれを追加できなくなることがあげられる。
旧プランとの違い
Microsoft Azure(旧プラン) | Azure Plan(新プラン) | |
---|---|---|
料金確認 | ストア上での確認 | ストアおよびAzure Portalの Azure Cost Managementで確認 ※金額は参考価格になります |
料金表示 | サブスクリプションごと | ストア:サブスクリプションごと Azure Cost Management: 指定されたサブスクリプションやリソースごと |
パートナー様による テナント管理 |
アカウント譲渡を受けて、各エンドユーザーアカウントでサインインして対応 | Azure PortalのAzure Lighthouseにて、複数のテナントを一つのアカウントで一元管理ができる |
テナントとは
すでにAzureを利用しているパートナー様には周知のとおりだが、テナントとはAzure Active Directory(Azure AD)の専用ドメインで、会社などの組織で使用されるアプリケーションとリソースに、IDとアクセス管理が与えられたものだ。
テナントを買い物カゴと考えるとわかりやすい。一つのテナントがあるとAzureだけでなく、Microsoft 365やMicrosoft Dynamics 365などのサブスクリプションが購入できる。
今回アップデートで追加されたAzure Lighthouseを使用すると、パートナー様は管理する自社とエンドユーザー様のテナント内のリソースにアクセスできるようになり、さらに複数のテナントの管理操作を一元的に管理することが可能になる。
Azure Cost Managementの機能とメリット
Azure Planに移行することで、Azure Portal上から利用状況の参照ができるようになる。
指定されたサブスクリプションやリソースごとの料金(エンドユーザーへの提供価格)を確認できる機能がAzure Cost Managementだ。
機能は主に以下のとおりとなる。
1.クラウド支出の監視
Azure Cost Managementでは、指定されたサブスクリプション、リソースごとのコストが確認できる。さらに「スコープ」という機能を使って、部門別に分けて、それぞれが使用しているリソースをより細かく把握することができるようになった。

2.支出の効率化
コスト分析の画面では、当月の累積コストと、使用状況に基づいた予測コストが表示される。
最大1年先のコストまで予測可能だ。
3.Azure予算の作成と管理
予算を設定しておくと、予測支出が予算のしきい値を超える可能性が出てきた時点で検知できる。また、しきい値を超過した場合は、メールで通知を受け取る設定も可能だ。
4.AWSとの連携
AWSを導入している場合もAzure Cost Managementと連携すれば、同一Portal上でコスト管理ができる。
※AWSとの連携には別途料金が発生する。
5.CSV・Excelで管理
Azure Cost Managementのデータは、CSVまたはExcelでダウンロードでき、他の分析ツールにデータを連携することが可能だ。
メリット
スコープを活用することにより、リソースごとの利用料が確認可能になる。
例えばエンドユーザー社の経理システムとファイルサーバーをそれぞれリソースグループで用途を分けていたとする。実運用を開始後に想定コストより超過してしまった場合、どちらで想定外のコストが発生しているかを判断できる。
そのため、コスト分析を活用することによって構築内容の見直しや運用の改善を早い段階で行うことができる。
Azure Lighthouseの機能とメリット
従来のAzureでは、パートナー様がエンドユーザー様のテナントを管理するために、エンドユーザー様のアカウント譲渡を受けなくてはならなかった。複数のアカウントを管理する場合には、それぞれのアカウントでサインイン/サインアウトをするという手間もあった。
Azure Lighthouseでは、パートナー様の自社のAzure Portalからディレクトリを切り替えるだけで、委任されているエンドユーザー様のテナントの管理が行えるようになっている。

従来通り既存のツールやAPIなどと連動し、今までのワークフロー、アプリケーションなどを変える必要もない。

エンドユーザー様のメリット
今回のアップデートによるエンドユーザー様のメリットとしては、パートナー様にアカウントを譲渡しないで済む点が挙げられる。
また、テナント全てのアクティビティが追跡され、エンドユーザー様のテナントにログが格納される仕組みになっているので、パートナー様が行った変更などの履歴もエンドユーザー様側で確認できる。
メリット
Azure Lighthouseは、クロステナント、マルチテナントの管理が実現できるサービスとなっている。
そのためパートナー様は、自社テナントにアクセスしながら、ディレクトリの切り替えによって、委任されたエンドユーザー様のリソースを管理することができるようになり、管理負荷を軽減することができる。
パートナー様がアクセスできるのは委任されたリソースのみとなるため、エンドユーザー様にとっても、セキュリティや情報保護の面でも安心だ。
Azure Plan移行後は
Azure Planに移行後も、従来どおりにエンドユーザー様からアカウントの譲渡を受け、各アカウントでサインインしなおして運用することはできる。
しかし、新しいシステムで業務負荷を軽減し、エンドユーザー様のセキュリティ面での安心感を高められることは間違いない。
また、指定されたサブスクリプションやリソースごとの料金が確認できるようになったことで使用量や料金が可視化されることは、エンドユーザー様にとってもメリットは大きいだろう。
新たに加わった、Azure Cost Management、Azure Lighthouseをぜひ活用していただきたい。
※Azure Cost Managementの利用をご希望のパートナー様は、クラウドサポートセンターもしくは弊社担当営業までご連絡ください。