【連載】

くらうどーる

パートナー様は知らないとまずい!
マイクロソフトの新販売モデル「NCE」とは?

掲載日:2022/03/08

パートナー様は知らないとまずい!マイクロソフトの新販売モデル「NCE」とは?

マイクロソフトは、同社のサブスクリプション製品全般に適用される新たな販売モデルをスタートさせている。NCE(ニューコマースエクスペリエンス)と呼ばれる新モデルについては、これまで年契約のみだったサブスクリプション契約を月契約、1年契約、3年契約も含む形に拡張するなど、いくつかの大きな変更がすでに発表されている。今回は第一報として、現時点で発表されている情報をお届けしたい。

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クラウドの長所がより生かせる販売方法を目指す

マイクロソフトのサブスクリプション製品の新販売モデルであるNCE(ニューコマースエクスペリエンス)は、従来の販売モデルと比較して大きく二つの変更点がある。一つは製品・サービスの提供方法に関する変更、もう一つは契約期間に関する選択肢の拡張である。

まずは製品・サービスの提供方法の変更から見ていこう。

これまでマイクロソフトは、Enterprise Agreement(EA)、Select Plus、MPSA(マイクロソフト製品/サービス契約)、CSP(サブスクリプション型ライセンス)など、さまざまなライセンスプログラム・プラットフォームを通じて製品・サービスを提供してきたが、複雑化された購買体験はエンドユーザー様やパートナー様にとり、必ずしも望ましいものではなかった。

NCEでは、従来のプログラムを大手企業向け、中堅・中小企業向け、個人を含めあらゆる規模の顧客に対応する3つのカテゴリー(下図参照)に再整理したうえで、それらをMicrosoft Customer Agreementと呼ばれる単一の顧客契約で提供することを発表している。

「Breadth・モーション」と「エンタープライズ・モーション」の違いは、前者が価格交渉以外の独自の契約条件を必要とせず、パートナー様の再販がスムーズに行いやすい中堅・中小企業の案件を想定するのに対し、後者は契約条件についてマイクロソフトの高度な関与を必要とする大手企業を想定する点にある。

NCEのメリットとは?

 

NCEのメリットとしてマイクロソフトは以下の3点を挙げている。

【メリット1】
カスタマーエクスペリエンスの改善。エンドユーザー様は購入の手段や場所をより柔軟に選択しつつ、一貫性のあるシンプルな方法で購入できるようになるため、ライセンス管理の煩雑化が大幅に改善されると考えられる。

【メリット2】
パートナー様による付加価値の提供におけるメリット。マイクロソフト製品及び関連サードパーティ製品の販売プラットフォーム一元化は、パートナー様がBreadth・モーションを主軸としてエンドユーザー様のクラウド投資の最適化を支援するうえで大きな役割を果たすというのがマイクロソフトの考え方になる。

【メリット3】
契約手続きの簡素化がもたらす、営業担当の本来業務への集中の実現。マイクロソフトはNCEにより、よりシンプルでスピーディーな取引が可能になると表現する。確かに複雑なライセンスプログラムや細分化されたプラットフォームが契約手続きの煩雑化につながる一面があることは否めないだけに、シンプルでスピーディーな取引の実現にはぜひ注目したいところだ。

 

“長く契約するとお得”への移行

 

もう一つのポイントである契約期間・支払い方法の多様化については、より具体的な情報が発表されている。

これまで同社のサブスクリプションは、1カ月単位の契約に基づく月額課金が採用されてきた。NCEでは従来同様、月ごとにライセンス数が変更できる1カ月のサブスクリプションに加え、12カ月、36カ月のサブスクリプションが新たに登場する。それに伴い、料金体系も変更され、12カ月、36カ月の年契約は月契約と比較し割安な料金が設定されることになる。

また支払方法についても12カ月サブスクリプションは月額課金・1年前払い、36カ月サブスクリプションは月額課金・年額課金・3年前払いが選択できるようになる。もちろんエンドユーザー様は同一サービスを月契約と年契約の組み合わせで利用することもできる。また月契約から年契約への移行は随時行えるが、その逆は行えない。年契約については初回契約が契約期間中の最低数量になる。エンドユーザー様の観点では、ポイントは固定費としてのIT予算と業務に応じた変動費としての予算のそれぞれに応じた契約が可能になる点にあると言える。

最後にNCEのロードマップについて確認しておきたい。新規サブスクリプション製品の販売については2022年3月10日からNCEが適用され、2022年7月には現行契約についてもNCEへの移行が必要になる見通しだ。

マイクロソフトのNCEを提供するくらうどーるにおいては6月末までにNCEへの移行を完了させる予定となっているが、エンドユーザー様においては、年契約を継続するライセンスと月契約に移行すべきライセンスについて仕分けを行う必要性も生じると考えられるため、場合によっては注意喚起も必要になるだろう。

NCEへの移行に伴う販売手続きの変更や、マイクロソフトが言う、よりシンプルでスピーディーな取引がどのように実現されるのかなど、現時点ではNCEの運用には不透明な点も多い。大塚商会BP事業部は今後、最新情報を随時パートナーの皆様に提供していく考えだ。

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