【連載】

作業を効率化させる Excelテクニック集(10)

第10回 紙の無駄をなくす印刷術

掲載日:2022/06/21

第10回 紙の無駄をなくす印刷術

作業時間を少しでも短縮することを目標に、これまでExcelの基本的な操作方法を見直してきた「作業を効率化させる Excelテクニック集」も、今回で最終回。連載最終回では、これまでのテクニックを活用して作成したデータの「印刷」に焦点を当てる。印刷時に意図しない場所で改ページされてしまった、1行だけはみ出してしまった……などの理由で再印刷をして紙を無駄にすることはないだろうか。そんな無駄をなくすためには、Excelの印刷機能を把握しておくことが大切だ。

第1回「押さえておきたい基本テクニック」はこちら

第2回「便利なワンランク上のテクニック」はこちら

第3回「基本的な関数を身に付ける」はこちら

第4回「ミスを防ぎ効率化を図るポイント」はこちら

第5回「ショートカットキーで作業スピードアップ」はこちら

第6回「さまざまな「コピペ」と、フィルター機能を覚える」はこちら

第7回「Excelを活用してデータ分析」はこちら

第8回「見やすいグラフを作るコツ」はこちら

第9回「データを効果的に見せるグラフの選び方」はこちら

印刷機能の基本をおさらい

印刷テクニックをご紹介する前に、まずは印刷をするときに必要な、基本作業をおさらいしておこう。

1. 印刷範囲を選択し、「ページレイアウト」タブ>「印刷範囲」>「印刷範囲の設定」をクリックする。

2. 「ファイル」タブ>「印刷」を選択するか、「Ctrl」キー+「P」キーを押して、印刷のバックステージビューを表示する。
3. 内容を確認したら、「印刷」ボタンをクリックする。

印刷のバックステージビューの「設定」をデフォルトのまま印刷すると、表が細切れに複数ページにまたがって印刷されてしまうなど、思うように印刷できないことが多々ある。それを防ぐためにも、必ず用紙サイズとページの方向(横方向/縦方向」を確認してから「印刷」をクリックすることをルーティンにするとよい。では、ここからほかの印刷設定について見ていこう。

1ページに収めて印刷

印刷する前に、バックステージビューで画面下のページ数を確認しておこう。この場合は1/2ページ、つまり2ページにわたって印刷される設定となっている。

ページ数が表示されている横の▶をクリックすると、印刷プレビューが表示される。

もし、2ページ目が1~2行(または列)だけの場合は、1ページに収まるように設定を変更可能だ。その方法は以下のとおり。

その1 縮尺の変更

印刷のバックステージビューの「設定」は、デフォルトでは「拡大縮小なし」になっているが、これを「シートを1ページに印刷」(または、「すべての列を1ページに印刷」「すべての行を1ページに印刷」)に変更する。

その2 余白で調整

デフォルトで「標準の余白」になっている設定を「狭い余白」に変更する。

その3 改ページで調整

「改ページプレビュー」を活用して、改ページの場所を変更する。

1. 「表示」タブ>「ブックの表示」>「改ページプレビュー」をクリックする。
2. 青い破線部分をドラッグする。この場合は、1行下にドラッグする。

こうすると、選択範囲が1ページに収まるようになる。

この方法は、中途半端な所で改ページされているときの調整にも使える。例えば、以下のように同じ日付のデータが異なるページに分かれているため、日付の区切りで改ページしたいケース。この場合は、破線部分を4月6日と7日の間までドラッグすればよい。

複数のシートを同時に印刷

複数のシートをまとめて印刷するときは、あらかじめ各シートの印刷設定をしておくことが必要だ。そのうえで、以下のいずれかの方法で印刷をしてみよう。

その1 すべてのシートを印刷

1. 「ファイル」タブ>「印刷」を選択するか、「Ctrl」キー+「P」キーを押して、印刷のバックステージビューを表示する。
2. 「設定」の「作業中のシートを印刷」を「ブック全体を印刷」に変える。
3. 「印刷」をクリックする。

その2 選択したシートを印刷

1. 印刷する1枚目のシートのタブをクリックする。
2. 「Ctrl」キーを押しながら、次に印刷するシートのタブをクリックする。
以下の例では「2021年度3期」と「2022年度1期」が選択されている。

「2021年度3期」をクリックした後、「Shift」キーを押しながら「2022年第1期」をクリックすると、3シート(2021年度3期、2021年度4期、2022年度1期)まとめて選択される。

3. 印刷のバックステージビューの「設定」の「作業中のシートを印刷」を選択し、「印刷」をクリックする。

表の見出し行を各ページに印刷

1つの表がページをまたがっている場合、デフォルトの表示のままでは2ページ以降で見出し行(タイトル行)が確認できず、データが分かりにくくなってしまう。

この問題は、表の見出し行(タイトル行)を各ページに設定することで解決する。

1. 「ページ レイアウト」タブ>「ページ設定」>「印刷タイトル」をクリックする。

2. 「ページ設定」ダイアログの「シート」タブを選択する。
3. 「タイトル行」に表の見出し行を設定し、「OK」ボタンをクリックする。

設定後に印刷すると、各ページに見出し行(タイトル行)が表示される。

ヘッダーとページ数を表示して印刷

ページ数が多いときは、ヘッダー、フッターを付けて印刷することをおすすめする。

ヘッダーの設定

1. 「表示」タブ>「ブックの表示」>「ページレイアウト」をクリックする。

2. 「ヘッダーの追加」をクリックする。

3. 「ヘッダーとフッター」タブ>「ヘッダー/フッター要素」から、ヘッダーに入れたいものをクリックする。ここでは「ファイル名」を選択した。

このとき、「先頭ページのみ別指定」「奇数/偶数ページ別指定」にチェックを入れると、それぞれのページで別の設定ができる。

フッターの設定

1. ヘッダー同様、「フッターの追加」をクリックし、「ヘッダーとフッター」タブ>「ヘッダー/フッター要素」から、ヘッダーに入れたいものをクリックする。ここでは、ページ数を「●/●ページ」の形式で入るように、「ページ番号」と「ページ数」を選択し、その間に「/(スラッシュ)」、最後に「ページ」と入力した。

印刷すると、ヘッダー・フッターが表示される。

なお、次のような手順を踏めば、ヘッダーとフッターは印刷のバックステージビューからも設定可能だ。

1. 「ページ設定」をクリックする。
2. 「ページ設定」ダイアログで「ヘッダー/フッター」タブを選択する。
3. 「ヘッダーの編集」/「フッターの編集」から設定する。

データをソートして印刷

複数ページの資料を複数部数印刷するときは、印刷順序を確認しておこう。

印刷バックステージビューで部数を設定した後、「部単位で印刷」を選択する。そうすると仕分けるときに、作業が楽になる。

このように、Excelを利用して作成した資料を印刷するときは、必ず用紙サイズ、縦横などの表示をチェックしたうえで、データが確認しやすいように出力したい。紙、そして作業の無駄をなくすためにも、基本的な操作をあらためて確認しよう。

全10回でお届けしてきた「作業を効率化させる Excelテクニック集」。関数やショートカットキー、グラフの作成方法など、ビジネスで広く利用されているExcelの効果的な活用に役立つテクニックを、今後もぜひ参考にしていただきたい。