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コロナ禍を乗り切る設計図の
リアルタイム共有

掲載日:2021/03/09

コロナ禍を乗り切る設計図のリアルタイム共有

建築・土木業の設計図(DWGデータ)は制作企業の機密情報資産なので、日本ではクラウド上に保存して共用することに不安を覚える傾向があった。しかし、コロナ禍でテレワークが常態化する中で、そうした意識が急速に変化している。クラウドサービスやコミュニケーションツールを積極的に活用することによって、設計図のリアルタイム共有を実現し、建設業務全般の効率化を図ることがトレンドになっている。

BIM/CIMの導入は世界的な潮流

BIM(Building Information Modeling)は、コンピューター上に作成した建物の3次元モデルに管理情報などの属性データを追加し、建築の設計から施工、維持管理までのあらゆる工程で効率的に活用するための仕組みのことだ。

BIMの発祥国であるアメリカでは、2007年にBIMのガイドラインをいち早く公表している。その7年後の2014年に「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作成及び利用に関するガイドライン」が日本で公表され、建設分野に徐々に浸透している。

2018年には、建築分野の「BIM」と土木分野の「CIM(Construction Information Modeling)」という概念を改め、建設分野全体の3次元化を指す総称として「BIM/CIM」に名称を統一された。

日本におけるBIM/CIMの導入は諸外国に比べて遅れていた。その要因の一つは、設計データは重要な機密情報資産であるため、それをクラウド上に保存し、外部の施工会社などと共用することに躊躇する傾向が強かったからだ。

二つ目の要因としては、従来の仕事のやり方を変更しなければならないこと。特に設計部門は、正確なBIM/CIMモデルを作成するので負担が大きくなってしまう。

しかし、BIM/CIMは意匠から作図の設計のみならず解析まで一貫して行えるため、世界的な潮流として導入が進んでいる。日本でも少子高齢化で生産年齢人口が減少し、これまで以上に業務の効率化が求められている建設分野では必要不可欠な取り組みといえる。

BIMのイメージ
BIMのイメージ

日本でもBIM/CIMが急速に進展

近年、日本でも政府主導によってBIM/CIMの導入が加速している。特に新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてテレワークが常態化したことが転機となり、これまでの意識が大きく変化しているのだ。

設計者が作成した3次元モデルをクラウド上で共有することで、自宅や離れた拠点にいても、チーム間や企業間でプロジェクトを円滑に進めることができる便利さに気が付き始めたからだ。

例えば、建築・土木業では、調査設計段階でリアルな3次元モデルを作成することで、施工段階での手戻りがなくなり、より少ない人数で、より短い工期で高品質な工事が行える。

また、誰でも一目で理解できる3次元モデルで詳細な情報を提示することで、地域住民への工事内容の趣旨説明も円滑に行える利点もある。そのため多くの企業がBIM/CIM化に積極的に取り組んでいる。

特筆すべきは、建築・土木業に留まらず、製造業などの幅広い分野に広がっている点だ。例えば、建材メーカーのA社は、当初は汎用的な3次元CADを導入する予定だったが、取引先の戸建て住宅メーカーがBIM化する傾向にあるため、BIMと連携するツールとしてオートデスク社の製造業向け3次元CAD『Inventor』を導入した。

『Inventor』で作成した3次元データをBIM化して住宅メーカーに受け渡すために、建設・土木業界向け統合ツール『AECコレクション』の導入も進めている。

国際空港運営会社のB社は、空港内の設備を3次元データでBIM化して一元管理するために、BIMとの親和性が高い製造業向け統合ツール『PDMコレクション』を選択。現在は、『AECコレクション』の導入も検討している。このように業種を問わず、BIM/CIM化への対応が着実に進展しつつある。

アナログとデジタルの領域
アナログとデジタルの領域

クラウド環境を容易に実現する『BIM 360』

特にコロナ禍では、3次元モデルをクラウド上で共有しながらプロジェクトを効率的に進められる業務基盤を整備することが重要になる。

その点、オートデスク社は、かなり早い段階からクラウドを活用したサービスを提供している。その集大成といえるものが、建設業界向けクラウド・BIMプラットフォーム『BIM 360』だ。

『BIM 360』は、BIMモデル、図面、ドキュメントを全てクラウドの中で一元管理ができ、プロジェクトにかかわる人たちが、最新かつ必要なデータにいつでもどこでもアクセスができる。

操作はとても簡単で、スマートフォンやタブレット端末からも利用可能だ。ユーザーの環境や事情、予算に最適なモジュールが選定できるため、それぞれのユーザーのニーズにあった仕組みを選んで、すぐに実践できることが大きな特長となっている。

『BIM 360』は、情報に基づいた意思決定をサポートし、正確な予測が行えるようになり、収益性に優れた成果をもたらす。例えば、安全上の危険性の予測、事前対応型の品質管理、タスクの自動化、やり直しの削減を実現することで、期限と予算を守ってプロジェクトを進行できる。

また、プロジェクトデータを一元管理することで、いつでもプロジェクトの進捗状況をリアルタイムに確認しながら意思決定が行える。管理されたワークシェアリングによって多分野のチームがBIMモデルを共同作成し、全ての更新情報を可視化できる。

BIM 360

コロナ禍で設計業務の課題を解消する

新型コロナウイルスの感染拡大は、ワクチンの接種によって鎮静化されることが期待されている。しかし、世界規模で拡大している新型コロナウイルスが、いつどのように終息するのか誰も正確に予測できない。

今後もテレワークの推進などで感染防止策を講じながら日々の業務を行う状況が続くと予想されている。

建築・土木業の設計業務を効率化し、この状況を乗り切るための重要なポイントは、クラウドサービスとコラボレーションツールを効果的に活用することだ。

具体的にどのようなサービスやツールを導入すればよいのか分からない場合は、オートデスク社の『BIM 360』をおすすめしたい。

『BIM 360』なら設計情報をリアルタイムに共有するために必要な機能を選択できる。『BIM 360』で設計業務の課題を解消し、コロナ禍を乗り切る提案をしよう。