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CADワークステーションの選び方
(後編)

掲載日:2021/04/20

CADワークステーションの選び方(後編)

前回はCADの登場と製図設計に使用するハードウェアについて紹介した。CAD業務にワークステーション(以下、WS)が使われる経緯やWSを使用する意味、メリットが理解できたところで、実際の製品の選び方を考えてみたい。後編では、リモートワークで活躍するCADに適したモバイルのハードウェアについて日本HPの製品で考えていく。

CADワークステーションの選び方(前編)はこちら

日本HPがCADの分野で選ばれる理由

ITおよび通信分野に関する調査・分析、アドバイザリーサービスなどを提供するIDCの調査では、HP Workstationは、13年連続国内シェアNo.1※の実績がある。
※2008年から2020年、出典:IDC`s Worldword Quarerly Workstation Tracker Share by Company,2020 Q4

なぜこのように日本HPの製品は人気があるのか。もちろんグローバルブランドの安心感やビジネスユースでの実績が信頼につながっていることも理由の一つだが、CAD用途においては、「ZCentral Remote Boost Software(旧名称:HP Remote Graphics ソフトウェア)」の存在が大きい。

ZCentral Remote Boost Softwareは、WSのデスクトップをリモートからアクセスあるいは共有するユーティリティで、さまざまなプラットフォームで実行でき、「ローカルアクセスと変わらない」環境で使うことができる。

単なるリモートデスクトップではなく、高度なデジタルイメージ圧縮手法と高速画像処理アルゴリズムにより、3Dグラフィックスのリモートアクセスを実現しているのだ。

このZCentral Remote Boost Softwareを活用することで、会社に設置したパワフルなグラフィックスリソースをセキュアに利用できるのだ。ちなみに日本HPのZシリーズWSには、ZCentral Remote Boostのライセンスが無償でバンドルされており、ZCentral Remote Boostのライセンスのみの販売は行われていない。

ZCentral Remote Boost Softwareの概念図

日本HPの代表的なモバイルWS

日本HPのモバイルWSは「ZBook」シリーズと呼ばれ、レシーバーと呼ばれる受信側のデバイスに利用されることが多い。ラインアップとしては、以下の製品がある。

【HP史上で最もコンパクトなモデル】
・HP ZBook Firefly 14 G7 Mobile Workstation(14インチ)
・HP ZBook Firefly 15 G7 Mobile Workstation(15インチ)

14インチ、15インチともに、それぞれのサイズにおいてHP史上で最もコンパクトなモデル。CPUは、第10世代のCore i7、グラフィックにはNVIDIA Quadro P520を搭載し、メモリーは最大32GB搭載、最大2TBのローカルPCIeストレージを搭載可能だ。ZBook Firefly 15は、液晶が15.6インチであることと、メモリーが最大64GB搭載できる違いがある。

【高いメンテナンス性を誇るモデル】
・HP ZBook Fury 15 G7 Mobile Workstation(15インチ)
・HP ZBook Fury 17 G7 Mobile Workstation(17インチ)

業界最高クラスの拡張性とメンテナンス性を実現したモデル。ZBook Fury 15は、CADに最適な日本HPのモバイルWSとされている。ZBook Fury 17は、液晶サイズ17.3インチの製品。ZBook Fury 15との違いは、液晶サイズとメモリーが最大128GB搭載できる点だ。

CADに最適な日本HPのモバイルWS

Windows版のCADソフトとして代表的なAutodesk社のAutoCADは、メッシュ機能とソリッド機能を使って、3D設計が行える。AutoCAD LTは2D設計のみだが、今後、業務の領域を3D設計へと広げたいと考えた場合、3Dでの操作が快適に行えるデバイスが必要となる。その場合の選択肢はPCではなく、明らかにWSだ。

3Dモデリングにより設計を行うのであれば、データサイズもおのずと大きくなり、メモリーやストレージの容量に余裕が欲しくなる。日本HPでは、3D CADをストレスなく利用できる環境として、以下のポイントを挙げている。

【CPU】
・クロックの高いCPUほどCAD操作性が向上。動作周波数3.4GHz以上/4コアのCPUがおすすめ。
【ストレージ】
・SSD搭載モデルは高速起動とレスポンスがよい。また、バックグラウンドでの自動データ保存でも操作に影響が出にくくなる。
・データ保存に容量が必要な場合は、500GB以上のHDDを選択。
【メモリー】
・メモリーは8GBを標準、大きめのデータを取り扱う場合は16GB以上を搭載。
【GPU】
・ソリッドモデルを軽快に扱うには、Quadro P2200グラフィックス以上を選択。
・特に複雑な画像となる場合はQuadro RTX4000クラスも要検討。

日本HPのモバイルWSのおすすめとしては、以下の機種となる。

【日本HPが推すCADに最適なモバイルWS】
・HP ZBook Fury 15 G7 Mobile Workstation

CPUは、第10世代のCore i7のほかに、Core i9を選択可能。メモリーは、最大64GB、ストレージは、M.2 SSDを最大2TB搭載できる。SSDの容量を減らし、2ndストレージに最大2TBのHDDを搭載する選択もある。グラフィックスは、Quadro T1000、T2000、RTX 3000、RTX 4000、RTX 5000の中から選べる。

プレミアムパフォーマンスモデル/エクスクルーシブモデルでは、100% DCI-P3カバレッジを備えたDreamColorテクノロジーを搭載する4K UHD液晶ディスプレイが選択可能。これまで以上に優れたコントラストと色精度を実現し、高いメンテナンス性を保ちつつ、前機種よりも小型軽量化した高性能モバイルワークWSだ。

日本HPのBIM・CIM向けモバイルWS

建築・土木業界のCADは、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction information Management)へとシフトしている。

BIM/CIMワークフローでは、プロジェクトの計画段階で3次元モデルを作成する。例えば、Autodesk社の製品では、Revitで作成した簡易なモデルからCGパースやウォークスルーなどを切り出して活用することができる。

大規模プロジェクトの場合、InfraWorksを利用し、現況の自然環境を再現したコンテキスト上に建築物を配置して、景観をシミュレーションすることも可能だ。

BIM/CIMは、設計の初期の段階から設計図への落とし込みまでのワークフローをフルデジタルで行い、業務の効率化はもちろん、デザインリサイクルまでを行う。そのため、BIM/CIMを実践するプロフェッショナルに求められるのは、ハイ・パフォーマンス、大容量メモリー、そして信頼性を兼ね備えたWSというわけだ。おすすめとしては、以下の機種となる。

【日本HPが推すBIM/CIM向けモバイルWS】
◆HP ZBook Studio G7 Mobile Workstation

CPUは、第10世代のCore i7のほかに、Core i9を選択可能。メモリーは、最大32GB、ストレージは、M.2 SSDを最大2TB搭載できる。グラフィックスは、Quadro T1000、T2000、RTX 3000、RTX 4000、RTX 5000の中から選べる。

カバーやキーボードデッキはアルミの塊から削り出したアルミ一体形成。アルミは丈夫で耐久性のあるボディを提供するだけでなく、アルマイト処理されたアルミニウムの自然な本物の色は所有する喜びがある。

日本HPのモバイルWSは、豊富なラインアップでCAD業務をサポートしてくれるだけでなく、リモートワークで生産性を高めるユーティリティが利用できる。ぜひ、新年度のCAD提案の際には、選択肢の一つとしてチェックしておきたい。