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AutoCAD 2023リリース!
より洗練されたUIや共有機能で
快適な設計環境を実現

掲載日:2022/10/26

AutoCAD 2023リリース!
より洗練されたUIや共有機能で快適な設計環境を実現

2D/3Dの汎用CAD「AutoCAD」の最新版、「AutoCAD 2023」が2022年3月29日(米国時間)にリリース。UIの刷新や親切なサポート機能、グラフィックや共有機能の強化により、さらなる快適な設計環境が実現されている。業種別ツールセットが同梱された「AutoCAD Plus」も含め、その有用性をみていこう。

ラインアップは単体と業種別ツールセット付きの2系統に

作図、ドキュメント作成、モデリング、ビジュアライゼーションなど幅広い機能を備えた汎用CAD、「AutoCAD」の最新版となる「AutoCAD 2023」が3月29日(米国時間)にリリースされた。主にUIや作業の効率化に役立つツールが強化されており、より快適な設計環境が実現可能となっている。

簡易版の「AutoCAD LT」は、2021年6月に新規のサブスクリプション販売を停止しており、現在は単体のAutoCADがLTと同価格で購入可能。これに後述の業種別ツールセットを加えた「AutoCAD Plus」を併せ、ラインアップは2系統となっている。

Windowsにおける動作環境は、CPUがベースクロック2.5~2.9GHz(3GHz以上推奨)、メインメモリーが8GB(16GB推奨)、GPUはVRAM1GB、帯域幅29GB/s、DirectX11互換(推奨は4GBm、106GB/s、DirectX12互換)。ストレージにはSSDが推奨されており、基本的に必要な容量は10GBだが、業種別ツールセットを導入する場合はツールにつき追加で12~20GB程度必要になる点は留意されたい。

なお、Mac版の場合はmacOS Catalina v10.15以降のOSで動作。Intel製CPUだけでなく、Apple Mシリーズ搭載モデルにも対応している。いずれのOSにしても、4Kや2,880×1,800 Retinaディスプレイなど、ディスプレイは高解像度が望ましい。

UIの刷新と強化された共有機能で生産性を向上

この最新版で目立つのはUIの刷新による、作業の効率化。例えば、新設された「スタート」タブからは、全てのファイルやコンテンツへ簡単にアクセスできる。また、「フローティングウィンドウ」機能では、別のインスタンスを開くことなく、複数の図面を同時に表示することが可能になっている。

これにより図面ウィンドウを左右に並べて表示したり、マルチモニターに表示したりと、見やすい配置で素早く編集できる。図面全体または選択した領域内のブロックやオブジェクトを自動で集計できる新機能、「カウント」も有用。エラーの特定に役立つだろう。

加えて、全体のグラフィックス機能も強化されており、エッジのあるシェーディング、ワイヤフレームの表示スタイルが可能。3Dオブジェクトのレンダリング速度も、従来の10倍に向上している。

共有機能も大幅に強化されており、図面のコピーを権限管理の下に関係者と共有可能に。ファイルにそれぞれ「表示のみ」または「コピーを編集して保存」のアクセス権を設定できるため、図面のオリジナルを損なうことなく関係者間で共有できる。

加えて、既存の図面を変更することなく、設計変更の注記やマークアップを追加できるトレース機能も搭載。独自の「TrustedDWGテクノロジー」による設計データの保護も可能で、レビュープロセス全体を通じて、設計データの整合性を維持できる。

なお、図面シートはクラウドベースの共通データ環境「Autodesk Docs」へ、AutoCADから直接PDF形式でパブリッシュすることが可能。Webアプリから時と場所を問わずアクセスでき、生産性の向上に貢献する。

AutoCAD と AutoCAD Plus の機能比較

AutoCAD Plusは各業種に特化したツールセットを同梱

「AutoCAD Plus」では、さらに7種類の業種別ツールセットが使用可能。機械設計用の「Mechanical」、電気制御設計用の「Electrical」、設備設計用の「MEP」、地図情報用の「Map 3D」、建築設計用の「Architecture」、プラント設計用の「Plant 3D」、ラスター画像処理用の「Raster Design」があり、それぞれの目的に特化したツールやライブラリを活用できる。

例えばMechanicalであれば、70万点以上の機械部品やフィーチャー、シンボルが使用可能。機械コンポーネントの精製や部品表(BOM)の作成など、タスクの自動化も可能で、全体の生産性を55%向上できるとされている。65,000点以上の電気シンボルでパネルレイアウトや回路図の設計を行えるElectricalに至っては、95%の向上が可能だ。

業種別ツールセットとは別に、基本機能にも単体版にはないものが備わっている。「マイ インサイト」機能は高度なオンラインヘルプ。ユーザーの作業内容に応じて最適なタイミングで、作業に役立つヒントや新機能を説明してくれる。また、コラボレーション機能においては、マークアップアシスト機能を搭載。印刷した図面へ書き込まれた修正指示などのフィードバックを簡単に取り込むと、自動で図面に反映されるため、手作業で図面に反映させる手間を省くことができる。ほかにも、ワークフローを自動化するAutoCAD LISP APIが利用でき、より効率的な作業が可能となっている。

「AutoCAD Plus」は7種類の業種別ツールセットが使用可能

LTからの移行に良い機会として

AutoCAD 2023での新機能や機能強化はAutoCAD LTではほぼ利用できないため、これを機に移行するのが望ましい。AutoCAD単体であれば価格は据え置きのうえ、2D作図機能を使う分には、従来の作業環境そのままで稼働できるため、コストは据え置きで導入できる。もちろん、環境を整えれば高度な3D設計機能を活用し、平面や立面などの各種図面作成をより効率的に行える。

加えて、InventorやRevitといった同社製品との相互運用性も向上。カスタマイズ次第でワークフローを効率化できる。ほかにも、線種・寸法・文字スタイルといった社内仕様の統一や、ブロックや文字の編集に役立つ拡張機能、使い方のヒントを提供するマイ インサイトによるアシストの恩恵も。

また、AutoLISPやアドオンアプリを使用した繰り返し作業の効率化や、点群データの活平面や立面などの各種図面作成をより効率的に行用で現実の地形を図面に取り込むといった使い方もできる。

AutoCAD 2023のサブスクリプションはオンラインの技術サポートが含まれるほか、常に最新のソフトウェアを使用できるといったメリットも豊富。契約期間も柔軟に設定できるため、プロジェクトの規模に合わせて検討したい。

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