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AIを使いこなす鍵
プロンプトエンジニアリングとは

掲載日:2025/05/02

AIを使いこなす鍵 プロンプトエンジニアリングとは

プロンプトエンジニアリングは、AIに意図した内容を出力させるための最適な指示や命令を設計する技術だ。プロンプトエンジニアリングの基本概念や重要性、実際の活用テクニックを確認し、また生成AI技術の普及により注目を集める職業、プロンプトエンジニアの育成方法についても解説していく。

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プロンプトエンジニアリングとは

2022年にOpenAI社がChatGPTを発表して以降、2025年2月にはユーザー数が世界で週間4億人を超えた。ほかのインターネットサービスと比較しても驚異的な伸びだ。さらにGoogle社のGemini、Microsoft社のCopilotなど各社から次々と生成AIが発表され、ユーザー数、活用の場ともに今後も増加し続けていくことが見込まれる。

一方でAIが生成する内容については不正確なものが含まれるなど、技術面では発展途上の側面もあるため、出力方法や条件なども含めて詳細に指示することが求められている。そこで注目されているのが、プロンプトエンジニアリングだ。

プロンプトエンジニアリングとは、生成AIに意図した内容を適切に出力させるプロセスのことを指す。より適切な出力を実現するには相応の知識と経験が必要になってくるため、プロンプトエンジニアリングと、それを扱うプロンプトエンジニアの需要は今後高まっていくことだろう。

プロンプトエンジニアリングの実例

例えば、生成AIにレシピを出力してもらうとしよう。ここで、ただ「チャーハンの作り方を教えて」と聞く場合と、プロの中華料理人であるという役割を生成AIに与えてからチャーハンのレシピを尋ねるのとでは、どちらもチャーハンの作り方の結果が表示されるが、材料も手順も異なるレシピが出力される。

このほかにも具体的な条件や位置付けなどを付与することで、よりプロンプトに沿った具体的な出力結果を得ることが可能だ。

プロンプトエンジニアリングの技術

生成AIの研究コミュニティ「DAIR.AI」が発表している「プロンプトエンジニアリングガイド」には、高度なプロンプトエンジニアリング技術として、Zero-shotプロンプティング、Few-shotプロンプティング、Chain-of-Thoughtプロンプティングなどが紹介されている。

Zero-shotプロンプティングは、任意の例を示さずに質問をする従来の方法だ。それに対して、Few-shotプロンプティングは、あらかじめ回答例を示す。

上記のケースで、ChatGPTで「無停電電源装置:」とのみ入力したものがZero-shotプロンプティングとなる。

Chain-of-Thoughtプロンプティングは、日本語で「思考の連鎖プロンプティング」とも言われ、出力に至るまでの推論をステップで示す方法だ。プロンプトエンジニアリングガイドから引用すると、以下のような例が考えられる。

プロンプトエンジニアの育成方法

プロンプトエンジニアリングのテクニックには、上記以外にもさまざまなものがあるが、まずは上記の3種類を使いこなせるようになることが基本だ。

社内で専門のプロンプトエンジニアを育成する場合は、こうした技術を学ぶ機会を設けるとともに、必須ではないものの次のような知識も得られるとよい。

こうしたAI関連の資格取得、スキルアップを目指すための環境づくり、補助制度を設けることも有効だろう。

特に、現在の生成AIは日本語だけでも利用できるサービスが大半だが、英語が使えるとより高精度な出力を得られることもある。またプログラミングスキルを高めることも有効になりうるだろう。

プロンプトエンジニアリングの今後

ガートナー社は、2025年4月2日に「2025年の世界の生成AI(GenAI)支出総額」を、2024年比で76.4%増の6,440億ドルに達する見通しだと発表した。

ビジネス向け、個人向けのいずれも、大幅な成長が見込まれ、IT市場に変革的な影響を及ぼし、不可欠な存在になると述べられている。

当初は、セキュリティなどの問題から生成AIの導入に慎重になる企業も多かったが、今後はいかに生成AIを業務に取り入れるかが、他社との差別化につながる可能性もある。従業員のプロンプトエンジニアリング習得は、急務と考えてもいいのではないだろうか。