中小企業

企業活動に影響も!
2025年施行の法改正を解説

掲載日:2025/06/17

企業活動に影響も! 2025年施行の法改正を解説

2025年は幅広い領域において法改正が行われ、雇用形態や企業のセキュリティに影響を及ぼす可能性がある。今回は2025年の法改正の内容をまとめ、特に中小企業が対応を迫られる可能性があるものに絞って紹介する。

中小企業に影響を及ぼす2025年の法改正三選

中小企業で対応が求められる可能性がある2025年の法改正を三つ紹介する。

育児・介護休業法の改正

仕事と育児・介護の両立支援を目的として改正された「育児・介護休業法」が2025年4月1日と10月1日の2回に分けて施行される。

子供向けの看護休暇では、4月1日から従来の「病気・けが」「予防接種・健康診断」に加え、「感染症に伴う学級閉鎖等」や「入園(入学)式・卒園式」でも取得できるようになり、対象年齢も「小学校入学前」から「小学校3年生修了まで」に拡大された。また介護休暇の取得条件も緩和され、具体的には「継続雇用期間6か月未満の労働者」の除外要件が撤廃され、所定労働日数が週3日以上の労働者は介護休暇を取得できるようになった。

10月1日からはさらに「柔軟な働き方を実現するための措置等」と「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮」という二つの内容が義務化される。特に前者は就業規則の見直しが求められ、企業運営にも影響を与える可能性が大きい。企業は3歳〜小学校就学前の子どもを持つ労働者に関して、以下五つの中から二つ以上の措置を選択して講じる必要がある。

労働者は企業が講じた措置のうち、自身の家庭や育児の状況に応じて一つを選択・利用することが可能だ。

後者の「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮」は「妊娠・出産の申し出時や子どもが3歳になる前に、勤務時間帯や勤務地等について労働者の意向を聴取しなければならない」というものだ。企業は労働者の意向に対して、労働条件の見直しや業務量の調整など自社の状況に応じた配慮が求められる。

このような育児・介護休業法の改正を踏まえ、中小企業には必要に応じて働き方の見直しや就業規則の変更が求められるだろう。

雇用保険法の改正

2025年4月1日と10月1日に、改正された雇用保険法が施行される。

4月1日の改正内容は多岐にわたるが、特に人事・労務部門に大きな影響を及ぼす可能性があるのが「自己都合退職者が、教育訓練等を自ら受けた場合の給付制限解除」だ。従来は自己都合で退職した場合、失業給付の受給までに原則2カ月の給付制限期間が設けられていた。しかし、今回の改正で給付制限期間が原則1カ月に短縮されたことに加え、自己都合退職者が離職期間中などに教育訓練を行った場合の制限期間が解除されることとなった。そのほかにも4月施行分では「就業促進手当の見直し」や「育児休業給付の保険料率を0.4%から0.5%へ引き上げ」などの改正が適用される。

また10月1日の改正では、「教育訓練休暇給付金」が創設される。同給付金は政府によるリスキリング支援の一環で行われ、教育訓練を受けるための休暇取得に対して、賃金の一定割合が支給されるというものだ。

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セキュリティ・クリアランス制度の適用

2025年5月16日には「重要経済安保情報保護活用法」が施行され、経済安全保障に関する機密情報についてはセキュリティ・クリアランス制度が適用されることになった。同制度は、行政機関の適性評価により信頼性が確認された適合事業者に限り、政府が指定する「安全保障上重要な情報」へのアクセスを認めるものだ。国家における情報保全の強化を目的に導入された。

特に防衛や次世代技術などの分野においては、セキュリティ・クリアランスの保有の有無がプロジェクトへの参画条件になる可能性がある。またセキュリティ・クリアランスを保有することで、海外企業から共有される機密情報も得やすくなるだろう。このように業種によっては適合事業者になることで、商機拡大のチャンスが生まれる可能性がある。

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制度改正について知ることで、世の中のトレンドを把握

法改正の背景には、昨今の大きな課題やトレンドへの対応が含まれていることが多いため、直近の法改正を知ることで世の中の動きを捉えることができる。ベンダーには昨今の法改正も絡めて提案を行い、的確な支援ができると良いだろう。