セールステックとは、テクノロジーを活用し営業活動の成果向上に取り組む概念および手法・ツールを指す。例えば、CRMツールを用いた見込み度の高い顧客の抽出や、チャットツール上で一括して業務報告を完結させることで、業務負荷を減らして営業成果を向上させることなどが該当する。そのほか、提案資料やメールの文面を生成AIで作成して手間を減らすこともセールステックによる効果の一つだ。

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セールステックはなぜ重要?

セールステックが重要な理由の一つが「購買活動のオンライン化」だ。いまやネット通販で製品・サービス購入前にインターネットやSNSなどで評判を調べるのが当たり前となっている。多くの顧客は商品ページや口コミサイトを確認して、購買前にアクションを起こす。

一方で、この動きは営業側が顧客へアプローチを行う絶好のタイミングとなる。より多くの顧客にリーチして製品・サービスを認知させる過程で、営業側もセールステックツールにより顧客のオンライン上での行動の把握や、デジタルチャネルを通じたアプローチを行うことが重要になる。今後も購買プロセスにおけるオンライン上での行動が鍵を握ることが見込まれ、セールステックの重要性はますます高まるだろう。

セールステックを実現する7カテゴリーのツール

セールステックは以下7カテゴリーのツールに分類される。

このカテゴリーのうち、自社の課題に応じたツールを導入することで、データドリブンな営業活動を実現して生産性向上や営業コストの削減、顧客満足度の向上などに貢献し得る。

セールステックツールの導入によって、全ての企業がその効果を享受できるわけではない。ここではセールステックツール導入時のポイントを二点紹介する。

自社の課題に応じたツールを導入する

自社が抱える課題の解決につながらないツールを導入しても十分な成果は期待できない。課題を改めて整理し、アプローチできるツールを導入することが重要だ。

例えばアプローチが属人化し、非効率的な営業活動になっている場合は、顧客の見込み度合いを可視化する顧客関係管理ツールが有力な選択肢になるだろう。あるいは、最も優先すべき課題がユーザーの解約率である場合には、顧客体験を向上させるツールが有効かもしれない。

このように「どのような機能のツールを導入するか」について考える前に「自社にはどんな課題があるのか」を洗い出すことがセールステック導入後の成果を向上させるポイントとなる。

分析スキルを高める

セールステックツールの導入により、営業活動に関するこれまでの膨大なデータの整理と分析は可能となる。しかし分析の解像度は決して高くないと思った方が良いだろう。そのため、セールステックの導入効果を高めるためにはデータを正しく分析するスキルが求められる。

なお、分析スキルの向上には定期的な研修の実施や事例に沿った分析の共有などが有効だ。可能であればツールを提供しているベンダーからの伴走支援を受けることも検討したい。

最後に、セールステックの導入事例を二つ紹介する。

CRMでデータドリブンな営業を実現

DXコンサルティングサービスなどを展開するある企業では、これまで個人がExcelやスプレッドシートで管理していた営業情報をCRM「Salesforce」に一元化。これにより、データドリブンな営業が可能になった結果、営業担当者一人当たりの生産性は、Salesforce導入後1年で約40％向上した。データに基づく営業活動を実現し、それにより大きな成果を上げられた好事例と言える。

メール共有管理システムの活用で代理対応を可能に

「Mail Dealer（メールディーラー）」はメールの応対状況を可視化することで返信漏れや返信の重複を防止できるメール共有管理システムだ。人事労務サービスを提供しているある企業は、同システムの活用により、担当者の急な休みが出ても代理による対応が可能に。また「テンプレート機能」の利用により、メール作成の効率化と送信内容のミス防止も実現した。いずれも顧客へのスムーズなサービス提供と同時に顧客満足度向上につながる導入効果と言える。

セールステックの導入により営業活動は大幅に効率化するだろう。ベンダーとしてクライアントの課題を客観的に分析し有効なセールステックツールを紹介できれば、より顧客との信頼関係を強化できるはずだ。