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ニッチな領域のDXを推進!
「Micro SaaS」を徹底解説

掲載日:2025/07/15

ニッチな領域のDXを推進! 「Micro SaaS」を徹底解説

小規模ながら特定のニーズに特化したソフトウェアサービスの「Micro SaaS」。低コストで始められ、個人や小規模組織でも運用可能であることから、近年注目を集めている。本稿ではMicro SaaSの特長や、サービス例を解説していく。

Micro SaaSの特長

Micro SaaSとは、特定の業界や課題に特化した小規模なSaaS(Software as a Service)を指す。大企業向けの汎用システムと異なり、ニッチな課題解決に強みを持ち、開発・運用コストを抑えながら、少人数での運用が可能である。

Micro SaaSは海外事例が多いが、日本でもリモートワークやDXの推進を背景に普及しつつある。同サービスの二つの特長を見ていこう。

低予算で速やかなリリースが可能

Micro SaaSは小規模サービスに強みがあり、開発資金・時間を大幅に削減できる。また、少人数での開発が可能で、限られた運営コストでも低リスクで事業参入できる。

さらに、開発期間を短縮することで迅速なサービス提供が可能。市場投入のスピードを大幅に向上させられる点も大きな優位性になっている。

細やかなニーズに対応可能

Micro SaaSは、既存の大規模SaaSでは対応できない特定のニーズに応えられる点が強みである。ニッチ市場をターゲットにしやすく、顧客の細かな要求に特化したサービスに適している。

また、小規模な構造なので機能改善や顧客要望に応じたカスタマイズが容易で、柔軟性に優れている点も特長であるほか、低コストで運営できる分、高いコストパフォーマンスを実現できる。

Micro SaaSと通常のSaaSの違い

通常のSaaSは、大企業向けに活用されることを前提に、総合的なソリューションを提供している。また、さまざまな規模や業種に対応できるように、カスタマイズ可能なサービスも多い。

一方Micro SaaSは、少ないユーザー数でも、明確な課題が存在する領域で運用することを想定したサービスであり、顧客の特定のニーズに柔軟に対応できる。また、既存のSaaSでは対応できない内容を補完するサービスという見方もできる。

Micro SaaSが注目される背景

Micro SaaSは、以下の二つの背景から注目されている。

IT活用の需要拡大

DXの進展とともに、特定分野に特化したソリューションでもIT活用の需要が高まっており、顧客の要求も多様化している。また、業界固有の課題の中には既存のSaaSシステムではカバーできない細かなニーズが顕在化しているという背景からも、これらの状況に対応できるMicro SaaSの注目度が高まっている。

小規模ビジネスに有利な環境の整備

昨今では起業や副業を行うビジネスパーソンの増加、さらにはテレワークの定着もあり、個人や小規模での事業立ち上げも珍しくない。

また、インターネットの普及により地理的な制約もなくなり、ニッチな分野であっても、顧客獲得に支障はない。このように、小規模ビジネスに有利な環境が整備されてきたことで、開発者側もMicro SaaSサービスの立ち上げが容易になった。

Micro SaaSのサービス例

最後に、代表的なMicro SaaSサービスを三つ紹介する。

HYPERFURY

『HYPERFURY』は、テキストマーケティングに特化したMicro SaaSである。個別のマーケティングキャンペーンの作成から実行までを一元管理でき、自動送信機能により業務効率化を実現可能だ。

また、送信後のデータ解析機能も搭載しており、キャンペーン効果の測定にも対応している。

Calendly

『Calendly』はオンライン上で完結可能な日程調整サービスだ。日程調整をする際に候補日を提案する形式、候補日のリクエストを受付する方法それぞれに対応しており、直感的なUI設計と既存ツールとの連携強化により、近年急成長を遂げている。基本料金は無料から利用できるため、個人、法人問わず幅広いユーザーを獲得している。

Salon Connect

『Salon Connect』は、美容院等のサロンに特化したCRMシステムである。予約管理からスタッフのシフト調整、さらには売上データの分析まで、運営に必要な機能を一括でそろえたシステムとして設計されている。

サロンごとの特有の事情を反映することで、継続利用率は99%以上となっており、高い満足度を実現している。

Micro SaaSでニッチな業界でもDXを推進

Micro SaaSは特定の領域に特化した小規模なサービスである。企業の業務効率化やDX推進にもつながるソリューションとして、近年注目が高まっている。

汎用的なSaaSでは解決が困難と考えられるニッチな課題でも、Micro SaaSは業務効率化につながる可能性がある。

これからSaaSの導入を検討しようとしているベンダーには、Micro SaaSツールを提案してみてはどうだろうか。

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