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急増するAI需要に不可欠!
「液冷方式」のサーバーのメリットとは
掲載日:2025/07/22

莫大なデータを処理するデータセンターではサーバーの発熱が課題となっている。昨今のAIブームを背景としたデータセンター需要の急増により、現在の主流である、空調によってサーバーを冷やす「空冷方式」のサーバーでは対応が困難になっている。そこで注目を集めているのが「液冷方式」のサーバーだ。今回は空冷方式と比較した液冷方式のサーバーの特長を紹介する。
「液冷方式」のサーバーとは
「液冷方式」の「液冷方式」サーバーとは、ヒートシンクやチップに冷却液を流すことでサーバー内部の熱を直接冷やす方式を指す。現在の主流は空調によりサーバーを冷やす「空冷方式」だが、液冷方式のサーバーでは空気よりも熱伝導率の高い液体を用いることで、空冷方式よりも効率的な冷却が可能である。そのほか、冷却水の温度や流量を調整することで、空冷方式と比較してサーバー内の温度をより細かくコントロールできる点も特長だ。
液冷方式のサーバーが注目されている背景
液冷方式のサーバーが注目されている背景には「データセンター需要の急増」がある。特に昨今はAIの普及に伴い、画像処理に用いられるGPUサーバーの需要および消費電力が増大している。データセンターの稼働が増えるとサーバーの発熱量も増加する。しかし、従来の空冷方式では急増する発熱量への対応が困難になっている。
そこで、より効率的に熱を冷却する対応策として、液冷方式のサーバーが注目を集めている。データセンターで使用される電力の大部分は冷却用途であるため、冷却効率の改善および消費電力削減のインパクトは大きいだろう。
液冷方式のサーバーに置き換える二つのメリット
空冷方式のサーバーから液冷方式のサーバーへ見直すメリットを二点紹介する。
同じ面積でも処理性能が向上する
液冷方式のサーバーでは空気よりも熱伝導率の高い液体を用いることで、効率的に冷却を行う。そのため、空冷方式と比べて高密度なサーバー配置が可能であり、同じ設置面積であっても多くのサーバーを配置できるため、その分処理性能も向上させることができる。
消費電力と電気使用量を削減できる
液冷方式のサーバーの導入は電気使用量の削減にもつながる。前述したように、空気よりも熱伝導率の高い液体を用いる液冷方式のサーバーは、空冷方式よりも効率よくサーバーを冷却できるためだ。
例えば、幅広いエンジニアリングサービスを提供する大手企業の試算では「データセンターに設置されるサーバーを全て液冷方式のサーバーとすることにより、サーバー冷却用消費電力を約50%削減することが可能」とのことだ。また消費電力の削減はコスト面だけでなく、環境保全の観点からも有益だろう。
液冷方式のサーバーは今後普及するのか

日本国内では液冷方式のサーバー導入が進んでいる。
例えば、2024年11月に大手電気機器メーカーは、自社で保有する三つのデータセンターにおいて液冷方式のサーバーの受け入れを開始した。また2024年12月には別の大手電気機器メーカーでのデータセンターでも液冷方式のサーバーの本格稼働が開始されている。
このように液冷方式のサーバーの導入は日本国内でも徐々に進行している。より高いサーバー能力を求めるクライアントには、ぜひ液冷方式のサーバーの特長および冷却サービスを紹介したい。