DX
経済産業省がまとめた「DX推進の手引き」
企業の取り組み事例と関連製品を紹介!
掲載日:2025/07/29

2025年3月、経済産業省は「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」を取りまとめた。同手引きは中堅・中小企業などの経営者向けに「DXの進め方」や「DXの成功のポイント」などを取りまとめている。さらに同手引きでは中小企業のDXにおけるモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション2025」として紹介している。本記事ではこのDXセレクションに選定された取り組みを、関連DXサービスも交えながら解説する。
DXセレクション2025選定事例と関連DXサービス
「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」では、DX推進に当たり中堅・中小企業などのモデルケースとなる「DXセレクション2025」を選定し、その取り組みを紹介している。選定された企業の取り組みと実際に活用されたDXサービスを業種ごとに解説しよう。
建設業
建設業を営むある企業は、現場から経営層までが参加する「全員DX」を推進中だ。現場社員クラスでは『kintone』を活用して、業務アプリを作成している。例えば日報や新卒採用管理、物件情報管理などさまざまな用途で使用できるアプリを活用し、業務の効率化を進めている。さらに社内教育や独自の資格制度の創設により、社内全体のデジタルスキルの底上げも実現。こうしたDXの取り組みにより、同社は一人当たりの年間残業時間を、2021年の123時間から2024年には108.7時間まで短縮することに成功した。
また、同社が活用している『kintone』はノーコードで業務アプリが作成できるクラウドサービスだ。プログラミング知識が不要で、実際の導入担当者の93%は非IT部門だという。同社のように紙やFAX、電話のやりとりが頻発している企業は『kintone』がDXの推進役になる可能性がある。
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不動産業
不動産の企画・開発などを行うある企業では、『Azure OpenAI』を活用したテキスト生成AI『ChatTPG』を内製開発し、業務生産性の向上を実現した。高い安全性と社員の利便性を両立しながら生成AI活用ができる環境も整備している。
同社が用いた『Azure OpenAI』は、Microsoft社のクラウドプラットフォーム「Azure」上でOpenAI社のさまざまなAIモデルを利用できるサービスである。ChatGPTにはないAzure OpenAIの特長は、インターネット接続だけでなく特定の組織やグループ内のみで閉域接続も利用可能であること、ユーザーの入力データが学習に利用されないことだ。そのため、生成AIの利便性はそのままで、個人情報や機密情報などが外部に漏えいするリスクを抑えることができる。情報漏えいリスクの懸念からChatGPTの業務利用に踏み切れない企業はぜひ利用を検討したいサービスだ。
廃棄物処理業
廃棄物処分などを行うある企業では、従来、紙ベースで行っていた報告業務をiPadで記録する仕組みを導入し、報告内容のチェック・集計・転記業務の自動化を実現した。これにより、報告業務の時間を1日3時間削減することに成功した。
新しいツールの導入すると現場の混乱を招きやすい。しかし、日常生活にも広く普及したiPadであれば相対的に導入ハードルが低い。またiPadによるDX推進事例に関する情報も豊富であるため、参考事例が多い点もメリットの一つだ。DX推進の第一歩として検討したいツールと言えよう。
実例から学ぶDX戦略

「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」には本記事で取り上げたものを含めて全部で15のDX推進事例が紹介されている。業種や会社の規模も多種多様なので、ぜひ他の事例にも目を通していただき、DX推進提案の参考にしてほしい。