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AIガバナンスプラットフォームで安全にAIを利用!
防げるリスクや選び方を解説

掲載日:2025/08/19

AIガバナンスプラットフォームで安全にAIを利用! 防げるリスクや選び方を解説

組織がAIの導入から運用まで一貫した管理体制を構築し、透明性やセキュリティなどを確保するための総合的な基盤となる「AIガバナンスプラットフォーム」。企業のAI活用が急速に拡大する中、AIを安全に利用するために注目されている仕組みである。本稿ではAIガバナンスプラットフォームの解決可能なリスクから導入プロセス、選定時のポイントまで詳しく解説していく。

AIガバナンスプラットフォームで防げるリスク

AIガバナンスプラットフォームとは、組織がAIの導入から運用まで一貫した管理体制を構築し、透明性やセキュリティなどを確保するための総合的な基盤となる仕組み。導入すれば、各部署が個別に生成AI技術を活用する場合でも、全社的な統制を維持しつつリスクを最小化し、効率的なAI展開が可能となる。

ここでは、AIガバナンスプラットフォームで防げる四つのリスクについて解説する。

セキュリティリスク

AIでは大量かつ多種多様なデータを扱うため、機密情報が漏えいするリスクに注意しなければならない。特に、昨今では個人情報の取り扱いに厳しい目が向けられており、データ保護に失敗すると法的な問題に発展することもありうる。

誤った意思決定

AIの予測データに不正確な箇所があると、そのデータを過度に信じて誤った意思決定が行われる恐れがある。その結果、業務効率低下や顧客ニーズへの対応不足につながりかねない。

企業の信頼低下

AIのアウトプットが不適切であるために判断ミスが生じて企業の業績が大きく悪化した場合や、不適切なアウトプットで顧客などの心証を損ねた場合、企業の信頼低下につながる。このことは、企業の収益や成長にも影響を与えかねない。

コンプライアンス違反

各国でAI利用の規制が厳格化されつつあり、AI利用に伴うコンプライアンスを順守することがますます重要になっている。法的なリスクや信頼低下を防ぐためにも、AI利用に関するコンプライアンス違反は避けなければならない。

AIガバナンスプラットフォームを活用するための流れ

ここでは、AIガバナンスプラットフォームを活用するための流れについて、五つのステップで解説する。

現状分析

まずは、AIガバナンスプラットフォームを導入する前の現状を分析する。経営陣が主導し、利害関係者の意見を幅広く収集しつつ、AIのメリットや潜在的な危険性を詳細に調査すると共に、継続的な分析体制を構築することが重要である。

ゴール設定

現状分析の結果を踏まえ、AIガバナンスプラットフォームで実現したい目標を明確化する。その際、AI技術のプラス面とマイナス面の両方を検討することが必要である。組織の特性に適した統制目標を策定する際には、内閣府の「人間中心のAI社会原則」も参考になる。

システムデザイン

設定した目標に沿って、AIガバナンスプラットフォームのシステムデザインを図る。その際には、想定される目標達成の阻害要因を特定し、その影響度を評価することがポイントだ。各部署のメンバーも評価に参加し、利用者への情報提供体制や教育の戦略も構築する必要がある。

運用

実際にAIガバナンスプラットフォームを稼働させる段階で、継続的なモニタリングが欠かせない。まずはプラットフォームの動作状況を明確に記録し、透明性を確保する。そのうえで積極的な情報開示を行い、社会からの信頼獲得を目指すことが望ましい。

評価・見直し

運用と同時進行で、AIガバナンスプラットフォームの効果測定を実施する。経営層が指揮し、客観的な検証を行うことが必要である。多様な利害関係者からフィードバックを受け、AIガバナンスプラットフォームが成果を上げられているかを確認することが求められる。

また、定期的にAIガバナンスプラットフォームとそれを取り巻く環境全体について、見直しを行い、経営陣を中心に、環境変化やリスク要因の再評価を行うことが必要である。AIガバナンスプラットフォームだけでなく、ガバナンス全体に対する意見も収集し、組織状況に応じ柔軟な調整を継続しなければならない。

AIガバナンスプラットフォームの選定方法

最後に、AIガバナンスプラットフォームの選び方について、以下の二点を解説する。

日本語対応

AIガバナンスプラットフォームの中には、日本語非対応の海外製プラットフォームも存在するため、公式サイトで対応言語を確認する必要がある。また、日本語対応でも外国語版の方が品質の良いケースもあり、無料版で使い勝手を確認することも有効だ。

サポート体制

AIガバナンスプラットフォームは、専門知識がなくとも操作できる場合も多いが、操作運用時に思わぬトラブルが発生することも想定される。そこで、サポート体制が充実していれば業務への影響を最小限にとどめることができるため、サポートの対応時間や内容、連絡手段などを確認しておく必要がある。

AIガバナンスプラットフォームでAI利用時のリスクを軽減

AIガバナンスプラットフォームの仕組みを導入すれば、セキュリティリスクやコンプライアンス違反などAI利用で想定されるリスクを防ぐことができる。ただし、導入前には現状分析から定期的な見直しまで正しく行う必要がある。

最適なプラットフォームを選ぶためには、費用対効果やサポート体制などを確認しなければならないが、クライアントのAIガバナンスを促進するために、AIガバナンスプラットフォームを提案してみるのも良いだろう。