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「AIエージェント」未来予想図

掲載日:2025/11/18

「AIエージェント」未来予想図

2025年7月、ソフトバンク最大規模の法人向けイベント「SoftBank World 2025」が開催。同イベントでは孫正義氏が「グループ全体で10億のAIエージェントを作る」という構想を表明した。本記事ではソフトバンクの構想を踏まえ、「AIエージェント」の今後の展望を考えていく。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、目的達成のために自律的に動くAIのことを指す。生成AIがプロンプトに基づいてコンテンツを生成するのに対し、AIエージェントは人間が最終的なゴールさえ指示すれば、AIがゴールまでに必要な複数のタスクを自律的に遂行していく。AIエージェントの活用により、顧客メール対応や営業資料作成などのタスクを自動化することが可能だ。

関連記事:ユーザーの目的達成をサポートする自律型AIエージェントとは?

ソフトバンク社の「10億AIエージェント構想」とは

2025年7月に開催されたソフトバンク社最大規模の法人向けイベントで孫正義氏は「10億AIエージェント構想」を明らかにした。2025年を期限として、ソフトバンクグループ全体で10億ものAIエージェントを作る構想である。AI領域に注力するソフトバンクらしい構想のポイントを紹介する。

構想を実現するためのポイント

ソフトバンクによると「AIエージェントはわずか数分で作れる」とのこと。ただ、それでも10億という数字は決して簡単ではない。

そこで同社が構想実現のポイントの一つとして挙げるのが「エージェントが自らエージェントを作ること」。エージェントがエージェントを作り、さらにそのエージェントがエージェントを作る。しかも人間の手を借りずに自動生成で自己増殖していくという。ソフトバンクによると、この仕組みで社員1人当たり100個のAIエージェントを作れば、10億AIエージェントを達成できる見込みだ。

ソフトバンクが想定するAIエージェントのパフォーマンス

ソフトバンクが想定するAIエージェントのパフォーマンスは上図のとおりである。コスト「1/16,000」についてはソフトバンクグループがOpenAIに支払うコストを基に算出したものと推定されるため、どの企業にも当てはまるものではないだろう。しかし、ソフトバンクに限らずどの企業も人件費と比較して大幅なコスト削減は十分見込めるだろう。

またソフトバンクは「生産性」と「労働時間」は4倍になると想定している。自律的に考え、アクションを起こすAIエージェントを用いるとなれば納得の数字だ。これらの数字を見ると、競合から大きく差を広げられるリスクなどAIエージェントを導入しないことによるリスクを真剣に考えるべきだといえる。

AIエージェントは業務や生活をどう変える?

では、具体的にAIエージェントによって私たちの業務や生活はどのように変わるのだろうか。

孫正義氏によると、例えばAIエージェントを使用したコールセンターでは「人間のオペレーターよりも、素早く、深く、細やかにアクションを起こしてくれて、しかも相手が話している内容を全部理解できる」とのこと。「コールセンターで人間が応対するのはおかしいという時代がやってくると思う」とも述べている。

さらに現在のWebショッピングは、人間が複数のWebサイトを回遊して価格や口コミなどを比較しながら購入判断を下しているが、AIエージェントを使用することで「AIエージェントが私たちの好みや購買履歴を踏まえた提案をしてくれるようになる」という。

このコールセンターとWebショッピングの話を踏まえると、AIエージェントが営業員になる時代も訪れるかもしれない。「AIエージェントに自社の課題をぶつけると、AIエージェントが最適なソリューションを提案してくれる」という時代だ。

2025年を期限とする「10億AIエージェント構想」のとおり、AIエージェントは決して未来の話ではない。AIエージェントにいかに適応し、またいかに使いこなせるかが重要な資質になる日はそう遠くはないのかもしれない。引き続き、AIエージェントの動向に注目したい。