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AIカメラの特長やビジネスシーンにおける活用事例を解説

掲載日:2026/05/12

AIカメラの特長やビジネスシーンにおける活用事例を解説

AI機能を搭載したさまざまな製品がリリースされているが、AIが映像や画像をリアルタイムで自動解析する「AIカメラ」もその一つ。小売業や製造業など、幅広い業種で活用されている。本記事では、そんなAIカメラの概要や活用例などを解説する。

AIカメラとは

AIカメラとは、AI(人工知能)を用いて、記録だけでなく映像や画像の自動処理および解析を行うカメラのこと。具体的には、AIが顔認識や物体検出、行動パターンの分析などを自律的に実行する。

AIによる自動監視が可能なAIカメラの導入によって24時間監視体制を構築できるほか、監視員の数を減らして人件費の削減にも寄与する点がメリットだ。まだ認知度が高いとは決して言えないが、後述する活用事例のとおり、小売店や製造現場などさまざまな場所で導入が進められている。

AIカメラの二つの種類

AIカメラは「エッジAIカメラ」と「クラウドAIカメラ」に分類される。

前者は、エッジ(=カメラ本体)にAI機能が搭載されているタイプのAIカメラだ。ネットワークへの接続が不要なため、電波状況に左右されずに安定稼働が見込める点が特長だ。また、映像や画像を即座に解析・処理できるスピード感もメリットだ。

一方の後者は、AIがクラウド上で映像や画像の解析・処理を実行するタイプのAIカメラだ。クラウド側の処理能力が高ければ、複雑かつ大規模な処理も可能な点が特長である。そのほか、ネットワークにつなげることができれば、遠隔地にいる担当者もリアルタイムでデータを確認できる。

一般的なネットワークカメラ(IPカメラ)との違いとは

AIカメラと一般的なネットワークカメラ(IPカメラ)の主な違いは「自動化の範囲」にある。具体的には、AIカメラが映像・画像の記録に加え、解析や処理なども自動で実行するのに対し、ネットワークカメラは視聴や記録が主な用途であり、解析・処理機能が搭載されていないことも多い。つまり、ネットワークカメラの映像・画像の解析は、多くの場合で人間の目視によって行う必要がある。このように、両者は同じカメラではあるが、自動化のレベルに大きな違いがあると言えよう。

AIカメラの活用事例

では現在、AIカメラはビジネスシーンにおいてどのように使われているのか。ここでは三つの活用事例を紹介する。

AIカメラで社員食堂の混雑状況を「見える化」

株式会社大塚商会ではAIカメラを活用して、社員食堂の混雑状況の「見える化」を実現した。食堂には6台のカメラを設置し、各階のエレベーターホールに設置されているデジタルサイネージにて、食堂の混雑状況をリアルタイムで表示する。同社の担当者は「混雑分散の意識の醸成を図れた」と導入効果を述べている。このようなAIカメラの活用法であれば、社員食堂に限らず、エレベーター前や更衣室など特定の時間帯に人が集まりやすい場所で幅広く応用が利くことだろう。混雑状況を可視化して人流がスムーズになれば、社員満足度の向上にもつながるはずだ。

AIカメラを用いて顧客の行動に応じた商品をレコメンド

2025年7月、KDDI株式会社と株式会社ローソンは、未来コンビニ「Real×Tech LAWSON」の1号店である「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」をオープン。同店舗では顧客の行動に合わせた商品をレコメンドする「AIサイネージ」を取り入れているが、その行動解析にAIカメラを用いている。コンビニによってはレジの上部にディスプレイを設置して広告を流しているが、それはあくまで来客した顧客全員に対する、いわばマス向けの発信。一方、同店舗の事例では、AIカメラによってパーソナライズされた広告表示を実現している。リアルタイムで行動解析ができるAIカメラだからこそ生まれた事例と言えよう。

AIカメラで製造現場の安全性を高める

鉄鋼関連やエンジニアリング分野などで事業を展開している吉川工業株式会社では、AIカメラを用いて「作業現場における安全対策の自動化ソリューション」を提供している。具体的には「AIカメラが人や重機・設備・身体部位などの対象を検出すると、警報の発報や装置減速・停止などの安全措置が実行される」というソリューションだ。同ソリューションにより、作業者の手が可動部に近づいた際の検出に成功した例もあるという。また、検出データはヒヤリハット分析にも活用できる。同社の事例は、AIカメラが製造現場における安全性向上に寄与し得ることを示している。

今回取り上げた事例だけでも、AIカメラは「社員満足度向上」「顧客単価アップ」「現場の安全性向上」に貢献し得ることが分かる。この点において、映像の記録・視聴を主な用途とするネットワークカメラとは一線を画する存在と言えよう。

ベンダーとしてクライアントと向き合う中で、AIカメラの導入が課題解決につながるケースも少なくないはず。そうしたクライアントにはAIカメラの提案をしてみてはいかがだろうか。