セキュリティ
クラウド時代のデータセキュリティ
DSPMが必要とされる背景や仕組みは?
掲載日:2026/07/21

データの保管場所や移動先に関係なく、機密データを一元保護できるセキュリティ対策「DSPM」。クラウド活用の進行による利便性の向上が企業のデータ管理を複雑化させている昨今、セキュリティ強化やデータ管理の効率化に有用である。本記事ではDSPMの意味や必要とされる背景、メリットまで詳しく解説していこう。
DSPMとは
DSPM(Data Security Posture Management)とは、データの保管場所や移動先を問わず、社内の機密データを一元的に保護するセキュリティ対策テクノロジーである。データ分類・暗号化・アクセス制御などの対策を組み合わせることで、プライバシーポリシーの遵守やデータ侵害の防止に寄与する。
DSPMの類語として、DLPとCSPMがあるが、それぞれDSPMとの違いを整理しながら比較する。
DLP(Data Loss Prevention)は、データの持ち出しや漏洩をリアルタイムで防ぐツールである。思想としては、データが安全な領域に存在することを前提としている。一方、DSPMは既に存在するデータの所在を可視化するため、リスクの全体像を把握しやすい。つまり、DLPは把握できているデータの流出防止に主眼が置かれ、DSPMはデータの全体把握と管理に主眼が置かれている。
CSPM(Cloud Security Posture Management:クラウドセキュリティ態勢管理)は、クラウドサービスの構成・設計に関するリスクの検知や対策を担うソリューションである。DSPMはデータ自体を守る仕組みであるのに対して、CSPMはデータが存在する環境を守る仕組みである点が異なる。
DSPMが必要とされる背景
クラウドの普及は利便性をもたらした半面、新たな防衛課題を生んでいる。なぜ今DSPMが不可欠なのか、その重要な背景となる2つの要因をひも解いていく。
シャドーデータの増加
クラウドサービスの普及によって、昨今ITインフラ構築のハードルが下がっている。この傾向は企業活動に大きなプラスをもたらしているが、組織内にIT部門やセキュリティ部門の管理が届かないシステムが生まれる可能性がある点は課題である。このような管理が届かないシステムにも大量のデータが存在しており、これは企業が把握していないデータとして「シャドーデータ」や「ダークデータ」と呼ばれる。
これらのデータは企業が把握していないために適切な保護もされておらず、セキュリティインシデントの原因になりかねない。しかし、DSPMがあればカバーできる。
境界型セキュリティの限界
従来の境界型セキュリティでは社内外の境界が明確であるため、適切に管理されたITインフラやシステム上のデータだけをカバーできれば十分であった。しかし、昨今クラウドサービスが普及してきたため、複数のツールが組み合わされて使われることや、ユーザーがツール間でデータを移動させることも当たり前になってきた。
このように、データの所在が複雑になってきたため、境界型セキュリティだけでは限界が生じてきたことも、DSPMが必要とされる背景である。
DSPMの仕組み
DSPMは、データそのものに追随して保護を提供する画期的なアーキテクチャだ。具体的にどのようにデータを守るのか、核となる5つの仕組みを解説する。
データ検出
DSPMはまず全データの所在を自動スキャンで特定し、機密度に応じてデータを分類する。これにより、特に優先的にデータ保護を適用すべき対象の明確化が可能である。
モニタリング
データ分類後は、DSPMがアクティビティを継続監視し、異常があればリアルタイムでアラートを発出する。詳細ログも記録されるため、過去の傾向から潜在的な脅威を見つけ出すことも可能である。
リスク評価
DSPMで検出されたリスクは、深刻度と悪用リスクに基づいて評価される。これにより、それぞれの脆弱性にリスクスコアを付与することで、セキュリティ対策の優先順位付けが可能になる。
自動修復
DSPMは、一般的な脅威に対して事前定義された対応策を実行できる。これにより、脅威の被害を受けても設定ミスなどの脆弱性を自動で修復でき、リスク軽減につながる。
コンプライアンス管理
DSPMを使えば、コンプライアンス報告書の作成や監査対応に資するデータ保存を自動で実行できる。これによって監査対応の負担が軽減し、コンプライアンス管理の省力化につながるであろう。
DSPMのメリット
ここでは、DSPMのメリットについて、以下の2点を解説する。
セキュリティの強化
DSPMを導入することで、データの所在地や権限設定を容易に確認できるため、情報漏洩リスクを大幅に低減できる。また、個人情報保護法やGDPRなどの法令に対する準拠状況を自動でチェックできるため、コンプライアンス対応にも有用である。
データ管理の効率化
データ分類やセキュリティ評価に関する作業は、これまでは手作業が必要な部分が多数存在していた。しかし、DSPMでこれらの作業を自動化することで、運用者の負担を大きく軽減できる。また、社内で利用しているクラウドサービスのベンダーが統一されていない場合でも、DSPMがあればデータの統合管理が可能である。
DSPMを活用したデータ管理の効率化

DSPMはデータの保管場所や移動先を問わず、社内の機密データを一元的に保護するセキュリティ対策テクノロジーである。
シャドーデータの増加や境界型セキュリティの限界などを背景として、データ検出やコンプライアンス管理などを担う。DSPMを使えば、セキュリティの強化やデータ管理の効率化につながる。
自社のクライアントには、クラウド環境でセキュリティを高める手段として、DSPMの活用を提案してみるのもよいだろう。