組織変革
【初めて作成する事業者向け】
IT投資計画作成時の基本ポイント
掲載日:2026/10/6

より有効なIT投資計画を作成するためには、事前に押さえておくべきポイントがいくつかある。本記事では、初めてIT投資計画を作成する事業者向けに、作成時のポイントなどを解説する。
約9割の企業がIT投資を実施
株式会社帝国データバンクの調査によると、「2025年内または2026年にIT投資を行う企業は九割近くに達する」とのこと。
IT投資の目的については、パソコンの買い替えなどの「ハードウェアの更新」が69.3%でトップ。次いで、OSやアプリケーションソフトの更新などの「ソフトウェアの更新」が52.6%。RPAやオンライン会議、業務システム導入などの「業務効率化・省人化」が29.5%、「サイバーセキュリティ対策の強化」が28.3%と続く。
企業の課題によってIT投資の対象もさまざまだが、ITへの投資自体は、いまや大半の企業が実施していることが分かる。
IT投資計画を作成する意義
帝国データバンクの調査が示すとおり、目的は違えど、大半の企業がIT投資を実施しており、重要になるのが「IT投資計画」である。では、その意義は何だろうか。
一言でいえば「企業の競争力強化」(=生き残るため)である。先述したとおり、約9割の企業がIT投資を実施する中で、IT投資が不十分であれば生産性や競争力で後れをとるリスクが高まる。例えば、調査では約3割の企業が「サイバーセキュリティ対策の強化」を図るとのことだが、同対策が不十分な企業はサイバー攻撃の被害に遭い、ブランド力低下ひいては売り上げの減少につながるリスクが高くなる。
とはいえ、企業の金銭的および人的リソースは有限であり、全てのITシステムやハードウェアに投資するのは現実的に不可能である。そこで、IT投資計画を用いることで、費用対効果が高いであろう対象を抽出して計画的な投資を行うことが極めて重要なのである。言い換えると、日頃の感覚から「なんとなく課題がありそうな領域」へ無計画に投資していては、IT投資効果は限られてしまうということだ。
IT投資計画作成時の四つの基本ポイント
では、初めてIT投資計画を作成する事業者はどのような点を押さえておくべきか。ここでは四つのポイントを整理する。
稼働しているITシステムの現状を把握する
稼働しているITシステムの現状を正しく把握しなければ、IT投資計画にズレが生じてしまう。具体的には既存のITシステムの棚卸しやレガシーシステムの洗い出し、各システムを利用している部門の把握、運用負荷やシステムごとのベンダー依存度の整理などを行おう。
優先順位をつけて現実性をもたらす
IT投資計画は実行しなければ意味がなく、従って現実性をもたらすことが極めて重要。現場のリソースや既存システムとの互換性などを踏まえずに立てた計画では、頓挫してしまう可能性が高い。先述した「ITシステムの現状把握」をしっかりと行ったうえで、予算を踏まえて投資の優先順位をつけた計画を設計しよう。
経営課題を整理する
業務課題に加えて、先述したIT投資先の優先順位をつけるためにも、経営課題の解決から逆算したIT投資が大切。経営課題を踏まえた計画の方が、全社的な推進も図りやすい。また、副次的な効果ではあるが、経営陣の決済もスムーズに進むメリットがある。
「守りのIT投資」にも目を配る
IT投資というと、すぐに効果が出やすい「業務課題解決」を目的としたシステム導入に、つい目が行きがち(例:SFAやCRMなど)。これらのシステムへの投資はもちろん大切だが、基幹システムやサイバーセキュリティ対策といった、どちらかといえば企業の土台となる領域への投資の方が重要。IT投資計画では、そうした「守りのIT投資」への計画もしっかりと立てておこう。
中小企業のIT投資計画作成を支援する中小企業基盤整備機構

独立行政法人中小企業基盤整備機構は、中小企業の事業活動に対して助言などを行う組織。同法人では、専門家にIT化に関する相談ができるオンライン面談サービス「IT経営サポートセンター」を提供している。IT投資計画の作成に悩むクライアントには、同サービスの紹介を検討してもよいだろう。実際に、利用者からは「IT戦略マップを専門家と一緒に作成することで、自社に最も当てはまる経営上の課題や解決すべき事項が明確になった」という声も挙がっている。1回あたり60分間のサービスを無料で複数回利用できるため、活用のハードルは低いだろう。
IT投資計画作成に迷うクライアントに対して、中小企業基盤整備機構に限らず、上手に外部の支援機関を活用した計画策定を積極的に提案したい。顧客側のIT投資計画が具体化することで、ベンダー側としても予算やスケジュールに合わせた最適な伴走支援が可能となる。