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安心安全な次世代モバイルバッテリーとは

掲載日:2026/10/20

安心安全な次世代モバイルバッテリーとは

モバイルバッテリーを含むリチウムイオン電池搭載製品の発火事故が続いている。5年間の該当製品の事故は2,140件にも及ぶ。モバイルバッテリーは2019年に電気用品安全法(PSE法)の全面規制対象となったが、依然として事故件数は減少していない。これを受け、近年は発火リスクの低いモバイルバッテリーが開発・販売され始めている。

モバイルバッテリーの事故が相次ぐ

NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2021年から2025年までの5年間に、リチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件発生している。製品別ではモバイルバッテリーの事故が最多だ。

携帯電話から取り外した電池パックが発火・爆発して3mほど吹き飛ぶという事例も報告されている。膨らんだ電池パックを机にたたきつけてへこませようとしたが、その圧力で内部がショートを起こし、異常発熱によって電解液などが急激に膨張した。

2026年4月には、停車していた大阪メトロ御堂筋線の列車内で、乗客がかばんに入れていたモバイルバッテリーが発火し、床で燃え上がった。2025年7月にはJR山手線の車両内、2025年10月には全日空の航空機内など、同様の事故は各地で起こっている。

相次ぐ事故を受け、国土交通省は旅客機内へのモバイルバッテリーの持ち込み制限や充電禁止などのルールを適用した。

リチウムイオン電池はなぜ燃えるのか

リチウムイオン電池は、プラス極とマイナス極の2つを分けるセパレーターと、その2極の間を埋める電解質で構成され、2極間でリチウムイオンを移動させることでエネルギーを貯蔵し、放出する。外圧や落下などで内部が損傷したり、過充電や高温環境で使用したりすると電池内に熱が発生し、液体が分解してガスが発生してしまう。これが発火・発煙につながることがある。

理論上、リチウムやナトリウムは、金属の状態では反応性が高くてリスクがあるが、リチウムイオンバッテリーは電気を帯びたイオンの状態であるため、安全なはずだ。しかし、近年のリチウムイオン電池は必要以上にエネルギー密度が高く、PSE基準を満たさない製品もあるため、このような事故が起きているとみられている。

次世代モバイルバッテリーとは

こうした従来品のリスクに対応するため、各メーカーが次世代のモバイルバッテリーを開発・販売し始めている。

リン酸鉄モバイルバッテリー

燃焼の3要素は「燃料」「酸素」「熱源」だが、そのうち内部からの「酸素」の発生を抑制するのがこのタイプだ。充放電の仕組みは一般的なリチウムイオン電池と同じで、プラス極の素材のみが異なる。

コバルト酸リチウムなどで構成される従来のリチウムイオン電池は、150℃以上になると熱分解を起こし、内部から酸素を放出していた。一方、リン酸鉄リチウムは、300℃以上の高温になるまで酸素が発生しない性質を持つ。

リン酸鉄リチウムイオン電池には酸素がないため、万一バッテリーがショートしても燃えにくく、寿命が長いというメリットがある。ただし、エネルギー密度が低いために大型化・重量化しやすく、電圧が低いというデメリットもある。

半(準)固体モバイルバッテリー

燃料となる可燃性ガスの発生を抑制し、燃えにくくしたバッテリー。可燃ガスが発生しにくい粘土状やゲル状の半固体物を電解質に使うことにより、異常発熱などでショートが発生しても、燃料がないため燃えにくい。

安全性が高いだけでなく、エネルギー密度が高いために小型化・軽量化できる。また、劣化しにくい特徴も持つ。一方、イオン伝導率が低いために超急速充電が難しく、製造コストがやや高いなどのデメリットがある。

関連記事:半固体電池の採用で安全・長寿命の次世代モバイルバッテリー エレコム DE-C86-10000BK

全固体モバイルバッテリー

燃料の3要素のうち、「燃料」(可燃性ガス)のもととなる電解液を一切使用していないのが全固体モバイルバッテリーだ。リチウムイオンがプラス極とマイナス極の間を行き来して充放電する仕組みは同じだが、内部構造が異なる。

有機溶媒ベースの液体電解質を使わない代わりに、ポリマー系などの燃えない素材の全固体電解質を採用。それをプラス極とマイナス極で挟み込んでいる。液漏れや可燃性ガス発生のリスクが低く、四つのタイプの中で最も安全性が高い。

しかし、製造コストが高く、物理的な劣化に伴って性能が低下する可能性があるというデメリットも存在する。

ナトリウムイオンモバイルバッテリー

従来のリチウムイオン電池のリチウムイオンは小さくて軽く、高エネルギーだが、内部でショートすると発熱リスクがあり、熱暴走を引き起こすことがあった。

ナトリウムイオンは、リチウムイオンよりも大きく、動きが遅いため、ショート時の発熱の進行も緩やかになる。

寿命が長く、価格が安いといったメリットがある一方、エネルギー密度が低いために大型化・重量化しやすく、電力がやや低いというデメリットもある。

関連記事:世界初!高性能で環境に優しいナトリウムイオンバッテリー エレコム DE-C55L-9000BK

従来品を使うなら

モバイルバッテリーを買い替えるタイミングで、新しい製品を選択肢に入れておくといいだろう。また、従来品でも特に事故が起きやすいのはPSE基準を満たさない粗悪品であるため、まずは手持ちのバッテリーで必要情報を確認しておこう。本体の背面や底面、ラベルなどに記載があるはずだ。

・「PSEマーク」が付されている
・ 届出事業者名、型番、定格電圧、定格電流、定格容量の各情報が記載されている

もしもPSE基準を満たしていない製品を使用していた場合は、使用を中止し、自治体が定める方法で廃棄することをおすすめする。