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■第一話 赤井くんの悩み
 

服部くん

赤井くん

謎のエンジニア
(通称:トニー)

 

 


新宿の雑踏を一人歩きながら、僕は悩んでいた。今日はこれから大学の日本酒研究会の飲み会なのに...。
悩みの原因は昨日の親父からの電話。ここ最近、実家の家業の酒造会社の売上が行き詰まっていたのは知っていたけれど、かなり厳しい状態で、来春の大学卒業後は実家に帰って日本酒作りを手伝って欲しいという話だった。
ショックだった。そこまで売上が落ちていたなんて、それに卒業後も東京に残ろうと決めていたのに。
これからどうしたらいいんだ。まったくもう...。
そうこうしているうちに、今日の飲み会の居酒屋に到着した。同好会のメンバーと話して、少しでも元気が出る事を期待しながら店のドアをあけた。
しかし、そこにいたのはたった一人。服部だった。服部はパソコンオタクのくせに、きき酒師の資格を取ったって大威張りしてた嫌なヤツだ。


 
「やぁ、遅かったな。待ってたよ」
「ああ、それにしても今日はみんなずいぶん遅いんだな」


「みんな急にドタキャンしちゃってさ、今日は僕達だけよ。でも赤井が来てくれてよかったよ」
「あっそうなんだ...(参ったなぁ)」
「さぁ、飲もう今日は新潟の日本酒を注文したんだ。結構うまいぜ」
「あ...ありがとう。うん、イケる。美味いなぁ、ヤッパリ日本酒は最高だよ」
「だろう。そう言うと思ったよ」
「ところで、服部はなんで日本酒好きになったんだ?」
「そりゃ簡単さ。いろんな酒飲んでみたけど、日本酒が一番美味いって思ったからだよ。それと出身が新潟だからさ、子供の頃から爺ちゃんや親父がいっつも美味そうに飲んでたの見てたからかな」
「えっ、服部の実家も新潟なんだ、知らなかった。僕も新潟なんだよ」
「そうだったのか。それで、赤井が日本酒にハマッたきっかけは何なんだい?」
「うちは田舎で地酒作っている蔵元なんだ。日本酒好きはその影響だな。うちの酒は本当に美味いんだぜ。僕は日本一だと思ってる」
「そうなんだ。それは一度飲んでみたいな。それに実家が蔵元なんてうらやましいなあ。やっぱり大学卒業後は実家に戻って手伝うのか?」
「いや...。実は、親父は帰ってきて欲しいみたいだけど、僕はずっと東京にいたいんだ。でも最近日本酒の売上が落ちてきてさ、このままだと廃業する事になるかもしれないんだ。僕どうしたらいいか...」
「それは大変だな」
「あっ...酔っ払って余計な事言っちゃったよ。すまない忘れてくれ」
「ああ...」
「あ~あのさ、服部は大学卒業したらどうするんだ?頭いいから、どんな会社にでも就職出来るからいいよな」
「いや。卒業後は就職するつもりはないんだ」
「えっ、じゃぁ実家にでも戻るのか?」
「実は自分で会社起そうと思ってるんだよ。元々将来は個人事業やりたいと思ってたんだけど、アルバイトでいろんな会社で働いてみてさ、どこもありきたりな会社ばっかりで、自分の会社起して個人事業するしかないっ!て思ったんだ」
「...すごいなぁ。やっぱり頭いいやつは考える事が違うな。それでどんな会社を作るんだい?」
「実は、まだどんなビジネスをやっていくかは検討中なんだ。ただ、アルバイトで培った経験を活かしてeコマースやろうかと思ってさ。家にはもうSOHOの環境があるし」
「eコマースってインターネットで物売ったりするやつ...?」
「まぁ...そんなとこだな。でもまだどうやって商売して行くかは決めてないんだ。まぁ新潟の隠れた名産品なんか扱うのもいいかなぁって思うんだけど。これが結構難しいんだよ。。。」
「おっおい...そ、それって日本酒も売れるか? なぁ、うちの日本酒をインターネットで売ってくれないか?酒の宣伝もしたいし、売上にも貢献できれば一石二鳥だよ~。どうかなぁ? 頼むよ服部」
「ううん。そうだな。赤井の親父さんが作ってる酒を扱うのはいいアイデアだなぁ。なぁ一度親父さんの酒飲ませてくれないか?」
「ああ...いいよ。家にあるから是非来てくれよ」
 
今まで嫌なヤツと思ってた相手とひょんな事から意気投合し、二人は赤井の家へ向かった。
   
「汚いとこで悪いな。まぁゆっくりしていってくれよ」
「ああ(本当に汚いなぁ...)」
「これがうちの酒『四季の香り(冬)』だよ。飲んでくれ」
「いただきます。・・・・・・
こっこれは美味い。お世辞じゃなく本当に美味いよ。この酒が売れないなんて不思議だよ...」

「だろ!今飲んだのが、『冬』って言って、熱燗にしても香りが逃げないお酒なんだ。その他に春・夏・秋があって、それぞれ特徴があるんだ。ただ、小さな造り酒屋で、昔ながらの手作りだから出荷量も少なくてさ。ずっと新潟県のみで販売してたんだけど最近は日本酒より、他のお酒が好まれるようになって、売り上げが激減しているんだ」

「赤井お願いだ。この酒は本当に美味い。是非この酒を足がかりに商売を始めさせてくれないか!そして eコマースで日本酒を販売する会社を二人でやらないか? 一緒に親父さんの作った酒を売ろうよ」
「えっ...。親父の酒を売ってくれるのかい。それは嬉しいけど、でも僕には何もできないよ。パソコンだって家でネットサーフィンしているくらいだし。商売の事はなにも知らないし...何より服部の足を引っ張るだけだよ」

「日本酒の知識が必要なんだよ。赤井がいれば百人力さ。それに赤井酒造の素晴らしさを一番わかっているのは赤井しかいないだろう。頼む・・・親父さんのためにも二人で頑張ろうぜ」
「服部‥。ありがとう。何ができるかわからないけど。頑張ってみるよ」
   
ビジネスプランが見つからず悩む服部と、実家の売上を懸念する赤井は、起業を決意し着々と準備を始めた。
   
「親父に日本酒販売を始める話をしたよ。すごく心配しているみたいだけど、なんとか協力してくれる事になったよ」
「そうかよかった。それと、日本酒の販売には酒類販売免許がいるんだって。調べといてくれないか」
「人使いが荒いなぁ。わかった、親父に聞いておくよ」
「僕は会社立ち上げに必要な法律について調べておくよ。将来的には株式会社を作りたいからね。今は資本金が少なくても株式会社が作れるようになったんだ」
「なるほど。それとSOHOで始めるんだから、オフィスは服部の家でいいんだよな」
「ああ。さ~、これから忙しくなるぞ!」
   
つづく。。
 
次回予告 -第二話 サーバ構成の決定-
  日本酒販売に向けて、仕事をはじめると同時に、eコーマスまでのシステム構築のスタートです。
第二話では、サーバ構成を決定するまでを掲載します。