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SIOS Technology presents

Red Hatでネットビジネス!

   
 

■第三話 OSの選択
 

服部くん

赤井くん

謎のエンジニア
(通称:トニー)

 

 

前回までのお話

大学の同級生の服部と赤井は、赤井の実家の日本酒販売を足がかりに、 e コマースでビジネスを始めます。
まずは自分達でサイトの構築する事にした二人は、服部の大学の先輩の「謎のエンジニア」トニーのアドバイスを得ながら、サーバー構成を決めた。

− LinuxのTCOって、削減できるの? −


「サーバー構成は決まったから、次はサーバーのOSを決めよう」
「サーバー用のOSだと、商用Unix、Linux、Windows あたりが候補になるのかな」
「そうだな。でも商用 Unix ではコストが掛かり過ぎるし、僕達の規模では明らかにオーバースペックだ。それとハードウェアはコストの抑えられるIAサーバーに決めているから、候補としては Windows サーバーか Linux サーバーに絞られると思うんだ」
「よく Windows と Linux では Linux の方が TCO が高いなんて聞いたことあるけど、本当なのかな ?」
「赤井、結構詳しいな。最近勉強しているじゃないか。あっそれで、その TCO の話なんだけど、実際には Linux の方が TCO は低く抑えられるらしいんだ。 TCO に関してはいろいろと誤解を招く情報が多いみたいだけど、 この記事を見れば一目瞭然。 Linux の方が TCO は低く抑えられるのは明らかだよ」
 

◆Linux の TCO は Windows より優れてる
http://www.osdl.jp/newsroom/press_releases/2006/2006_02_13_beaverton.html

「それに Windows だとソースコードは公開されていないけど、 Linux だとソースコードが公開 ( 以下、オープンソースソフトウェア ) されていて、世界中の優秀なエンジニアが日々タイムリーにシステムの改変を行っていて、品質が安定しているというところも僕としては Linux を押す理由だ。 Windows は一企業の製品だから、ブラックボックスになっている情報が多くて、何か問題が発生してもタイムリーに対応を期待できないなんていうこともある」
「アプリケーションもなるべくお金を掛けたくないから、オープンソースソフトウェアがたくさん使えるLinuxは賛成だよ」
「それじゃ、OSはLinuxで決まりだ」
   
− ディストリビューションはどうする? −
 
バタンと服部の家のドアが開く音がした。

 

「やぁ。服部、赤井いるか?差し入れ持ってきたよ」
「あっ先輩...どうぞあがってください」
「服部、先輩じゃなくてトニーさんだろ」
「あっ...すいませんトニーさん 」
「いいよいいよ。美味しいケーキ買ってきたからコーヒー入れてよ。休憩しよう 」
「はい」

「それで、進捗はどうなの?」

「なかなか進まなくて。今サーバーのOSを決めている段階なんです。OSはLinuxに決めたんですけど、ディストリビューションを何にしたらいいか、トニーさんに相談しようと思っていたところなんです 」
「そうか、Linuxにしたか...。なぁ赤井君、Linuxにはたくさん種類があるって知っているか?」
「はい、少しは調べたんですけど、Linuxディストリビューションの事はわからないことが多くて」
「そんな事いわれると僕熱く語っちゃうよ。僕が始めてLinuxを使った時はね、いたく感激したもんだよ。だってさソースが公開されているんだよ。それに..........................」
「あの〜、その話長くなりそうだから、この辺にして僕達の相談に乗ってもらえませんか?」
「ここからがいいとこなのに…」
「サーバー用のLinuxなんですけど、何を選んだらいいのか決めかねているんですよ。代表的な Red Hat Enterprise Linux、MIRACLE LINUX、SUSE LINUX Enterprise Server、Debian GNU/Linux あたりから選べばいいんでしょうかね」
「ふむ。しょうがない僕の秘密の資料を見せてあげよう。フフフ」
 

※画像をクリックすると拡大します。
「Linuxディストリビューションの比較表ですね。これトニーさんが作ったんですか?」
「そうなんだよ。いままで培った経験をもとに自分で作ってみたんだ」
「なるほど、いろいろと参考になりますね」
「でもこれ見ても何を選んだらいいんでしょうか…?」
   
− ディストリビューション決定! −
   
「う〜ん、じゃ、サポートはどうするの?それ先に決めておいた方がいいんじゃないかな」
「サポートがないとトラブルがあった時に困るから、サポートがある方がいいよな」

「 そうだな、ベンダーのサポートは必須だね。そうすると Debian GNU/Linux はコミュニティによるプロジェクトでサポートは受けられないから、 Red Hat Enterprise Linux 、 MIRACLE LINUX 、 SUSE LINUX Enterprise Server の3つに絞られますね 」
「僕はこの3製品とも仕事で使った事があるんだけど、それぞれ使いやすくてお薦めだよ」
「トニーさん、もう少しアドバイスいただけませんか?」
「うーん、そうだな…。Red HatとSUSEには最新の技術をいち早く取り入れているオープンソースのプロジェクトがあるんだよ。Red Hat は Fedora Project、SUSEはopenSUSE と言ってね、そこで検証された最新のテクノロジーが製品版に採用されているんだ。やっぱり技術者にとっては、最新の技術を使えるっていうのは魅力的なんだよね」
「僕も今 Fedora Core 5 を使っていますから、トニーさんの言っていることよくわかります」
「それとな、ありきたりな話になっちゃうけど、このリストにもあるように、日本国内では Red Hat がシェアNO.1なんだよ。ユーザ数がダントツに多いという事は当然情報量も多いから、Red Hat Enterprise Linuxがお薦めなのかもしれないな。最も僕の勝手な考えだけどね」
「アドバイスありがとうございます。トニーさんの話聞いていたら気持ちが固まりました。Red Hat Enterprise Linuxにしようと思います」
「そうか。そういえばクライアントマシンも買うんだって?だったら赤井も服部と同じく Fedora Core 5 にしなよ」
「 そりゃいい。 Fedora Core 5 は漢字変換が抜群によくなっているし、アプリケーションソフトの導入ツールも使いやすくなっているんだよ。赤井は Linux 初めてだけど、大丈夫すぐ慣れるから 」
「え〜Windowsじゃないの?」
「何言ってんだよ。新しいFedora Core 5 のデスクトップの使い勝手は Windows と比べても遜色ないんだよ。それにWindowsのOfficeにあたるOpenOffice、ブラウザのFirefox、メーラのThunderbirdのすべてがオープンソースなんだよ。それにWebコンテンツ作成ツールやフォトレタッチソフトまであるんだ。品質だって商用パッケージと比べて見劣りしないし、何よりWindowsで同じようなソフト揃えようとしたら、5〜10万円はかかるものがすべて無料で使えるんだよ」
「わっ、わかったよ。服部の熱意には負けたよ」
「アハハ、赤井君もついにLinuxデビューか。頑張れ、期待しているよ。じゃあな」
   

バタンとドアが閉まる音がした。

   
− どこから購入する? −
   
「あれっ、トニーさんもう帰っちゃったの? Red Hat Enterprise Linuxのサポートベンダーの話も聞きたかったのに...」
「ここから先は自分達でやろう。Red Hat Enterprise Linuxはサポートベンダーがたくさんあるから、どこがいいか調べないと」
「いくつか調べてみたけど、サイオステクノロジーの「Red Hat Enterprise Linux Standard Plus (以降RHEL Standard Plus) 」っていうのは、サポート時間が長くて9時から21時までだから、これがいいかな。それにHW / SW切分け支援もやっているから、ハードの問題があっても安心だよ。」
「 そうなんだ、今後ハードも交換する可能性もあるしな、サイオステクノロジーの RHEL Standard Plus にしようか 」
「他にも Premium Plus っていう 24 時間サポート もあるぜ」

「それはいいサービスだな。僕達も今はいいけど、将来的に24時間運用が必要になった時は使ってみたいな」

「それから、 RHEL Standard Plus には WS 、 ES 、 AS の 3 種類があるそうだ」
「なになに、まず WS はワークステーション用だから違うだろ。  AS と ES は両方サーバー用で機能は同一、ただ CPU やメモリの制限が違うんだな」
 

参考資料: http://www.redhat.co.jp/FAQ/index_products.html#1(2006/6 現在)

「 ES には 2CPU まで、メモリは 16GB までという制限があるけど、僕達の環境なら ES で十分だな」
「じゃ ES の最新バージョン v4 を買おう」

「それから、 サイオステクノロジーのホームページにハードウェアの事が書いてある。 Red Hat Enterprise Network 利用権のところに

『ハードウェアについては、レッドハット社のサイトにて互換性の認定が取れている機種であることが条件となります。』

って書いてある。そういえば、この前決めたサーバーはレッドハットの動作確認済みリストに該当しているかな? 該当してないとトラブルがあった時に困るから、チェックしておこうぜ」

 

参考資料: http://bugzilla.redhat.com/hwcert/ ( 2006/6 時点)

「大丈夫、リストに該当があったよ。これでよしっと。そうそう RHEL Standard Plus の注文方法ってどうなってる?」
「サイオステクノロジーから直接購入できないそうだ。でもホームページに 販売店の一覧と連絡先 が載っているから電話して注文しておくよ」
   
つづく。。
 

次回予告 −第四話 ドメイン名の取得、SSL証明書について−

   
  この作品はフィクションです。
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