コロナ禍への対応とDXの対応がポイント2022年、パートナー様が提案すべきIT投資

令和4年度予算の概算要求額と金額を盛り込んだ要望額の総額は、111兆6,559億円となった。概算要求額・要望額の総額が100兆円を超えるのは8年連続で、過去最大を4年連続で更新。本特集では、この内の毎年多くの補助金が実施されている経済産業省の概算要求から、令和4年度の動向やトレンドを解説する。

直面する課題を受け新枠創設や拡充が進む

今年3月22日の今年度予算の成立を受け、中小企業を対象とした補助金の詳細が公表された。コロナ禍からの回復、脱炭素、経済安全保障など課題が山積する中、2022年度予算は過去最大の107兆6,000億円に及ぶ。

補助金に目を移すと、全体的な枠組みに大きな変化はないものの、新枠創設や支援の拡充が図られた補助金も多い。また、これまでITビジネスでは、使いやすいスキームが用意されたIT導入補助金に注目が集まる傾向があったが、それ以外にもシステム導入やクラウド利用を対象とした補助金が充実。今回は、中小企業庁所管の補助金を中心に、中堅・中小企業を対象とした補助金を俯瞰的に見ていきたい。

まずは、コロナ禍からの回復を主要な目的とした補助金から見ていこう。各種補助金の中で圧倒的に予算規模が大きいのが、イベント関連など、長期化するコロナ禍の影響を受けた事業主の支援を目的とした「事業復活支援金」(2兆8,032億円)だ。ただし同支援金は足下の資金繰り支援を主な目的とするため、ITビジネスの観点では、新型コロナの影響を大きく受けながらも新分野展開、業態転換などの事業再構築に挑戦する中小企業の支援を目的とする「事業再構築補助金」(6,123億円)に注目したい。

認定経営革新等支援機関との事業計画策定を前提とした同補助金は、最大1.5億円、補助率では最大3/4を支援するなど、極めて手厚い補助が得られることが特長だ。対象経費には、システム構築・クラウド利用費も含まれる。なお認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関など)を指す。

次に生産性の向上を主要な目的とした補助金について見ていきたい。今年度は生産性革命推進事業(2,000億円)の枠組みのもと、「ものづくり・商業・サービス補助金(以下、ものづくり補助金)」「持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」の4種の補助金が用意された。

その中でも注目したいのが、補助上限額 750万円~3,000万円、 補助率1/2~2/3で新製品・サービス開発や生産プロセス改善などのための設備投資を支援する「ものづくり補助金」だ。この補助金は、前頁の別表にある通り、3つの要件を満たせば誰でも応募できる使いやすさがある。今年度新たに「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」の3類型が新設された。

回復型賃上げ・雇用拡大枠は、賃上げ・雇用拡大を目的とした革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資などを支援する。

デジタル枠は、DXに資する革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資などを支援する。またグリーン枠は、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発または炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資などを支援する。

事業再構築補助金

新型コロナ感染症の影響が長期化する中、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応し、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に意欲を持つ中堅・中小企業を積極支援。

対象要件:
①2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること
※複数事業者が連携する場合は売上高減少分の合算が可能
②事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定することなど

スケジュール:
年4回前後の公募を実施

対象経費:
建物費※、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費(一部の経費については上限などの制限あり)
※移転に伴う一時的な貸工場などの賃借料についても建物費の一部として認める。

※1補助下限額は100万円
※2 従業員規模により異なる
※3 6,000万円超は1/2(中小)、4,000万円超は1/3(中堅)
※4 6,000万円超は1/2(中小)

ものづくり補助金

補助上限額750万円~3,000万円、補助率1/2~2/3で、新製品・サービス開発や生産プロセス改善などのための設備投資を支援。回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠という3つの類型も新たに登場した。

対象:
以下の要件を満たす事業計画(3~5年)を策定・実施する中小企業など
要件①付加価値額 +3%以上/年
要件②給与支給総額 +1.5%以上/年
要件③事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円

スケジュール:例年4回程度の公募を実施

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