Office 2013サポート終了。移行先の最適解は?

Office 2013のサポートが2023年4月に終了する。移行先として想定されるのはMicrosoft 365とOffice 2021の二つ。では、どちらを提案すべきなのか。双方のメリット、デメリットをユーザーの視点で検討していく。

コスト面で優位なOffice 2021。ただしそこには落とし穴も

サポート切れのOfficeを使い続けるのには当然リスクがある。
まず挙げられるのがセキュリティに関するリスクだ。特にマクロウイルスに注意したい。ExcelやWordのマクロ機能を利用し、添付ファイルを開封した使用者のシステムを攻撃するマクロウイルスの歴史は古いが、攻撃の巧妙化もあり、今もその脅威を軽視することはできない。

もう一つが互換性に関連するリスクだ。Officeの機能は常に進化しているが、サポート期限内であればバージョン間の互換性は常に保たれている。上位バージョンの機能進化へのサポートが行われなくなることは、「取引先から受け取ったWordファイルが開けない」という事態にもつながりかねない。Office 2013を使い続けるエンドユーザー様には、こうしたリスクを積極的に啓発していく必要がある。

Office 2013からの移行は、二通りの選択肢がある。一つは永続版Officeの最新バージョンであるOffice 2021、そしてもう一つがサブスクリプション型のMicrosoft 365への移行である。
ではどちらを提案すべきなのか。機能面で比較した場合、Microsoft 365の優位性は明らかだ。常に最新バージョンが利用できるため、サポート終了の対応が不要になるからだ。また、Office 2021がインストールできるPCは2台に限られるが、Microsoft 365はPC、タブレット、スマートフォンそれぞれにインストールし、同時利用することが可能であるのも重要なポイントだ。また、ユーザー増減にスムーズに対応できるサブスクリプションの特長もメリットといえるだろう。

一方、費用の観点ではどうだろうか。Microsoft 365のベーシックプランであるBusiness Standardの場合、月額料金は1,360円/ユーザー。一方、ビジネス用途に必要十分な機能を備えるOffice 2021 Home&businessは現在、3万5000円前後で販売されている。Microsoft Teamsでリモート会議を主催しないのであれば、26カ月以上使い続ければOffice 2021の方が割安ということになる。

ただしそこには大きな落とし穴もある。これまでOfficeは5年間のメインストリームサポートと2~5年の延長サポートが提供されてきた。だがOffice 2021に関しては、延長サポートを行わないことを既にマイクロソフトは公表している。Office 2021のライフサイクル開始日は2021年10月。つまり今Office 2021に移行しても、3年後の2026年10月にはサポートが終了してしまうのだ。

Office 2013移行先の比較

マイクロソフトは、Microsoft 365にユーザーを移行させたいのだろう。Software in CSPではOffice 2021がOffice LTSC(Long Term Servicing Channel)という名称で販売され、医療機器の制御など、オフライン環境を前提とする特定用途向けに提供されている。
もちろん一方ではサブスクリプションに抵抗感を持つエンドユーザー様は今も少なくない。コストという観点では、Office 2021を3年間使ったうえでMicrosoft 365に移行することも選択肢になるはずだが、その際の新たな移行コストを考えるとやはり、Office 2013の移行先はMicrosoft 365が本命になる。

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