2015年11月28日発行

Autodesk A360 Team クラウドベースのコラボレーションツール
セキュアな環境で設計データの共有を実現

建設業や製造業におけるデータ管理の課題を解消

Gregory Tabar
Sr. Manager, A360 GTM Strategy, ISM-AEC & Cross-Industry Strategy and Marketing Autodesk Inc.

Autodesk A360 Team(以下A360 Team)は、建築や製造分野などで設計データを効率的に整理するために開発された法人向けの製品である。2次元の図面や3Dモデルなど、ほぼすべての種類の設計データをセキュアなクラウド上で一元管理し、既存のブラウザを使って閲覧・共有・レビュー・検索などが行えるようになる。これにより、建築業や製造業などの多くの企業が抱えているデータ管理の課題を解消する。

例えば、一つのプロジェクトを遂行する過程で、さまざまなデータが生成される。ところがこれまでは、そのデータの一部が設計者のPC上に保管されていたり、管理者のPC上に保管されていたり、あるいは、会社のサーバーの共有フォルダに保管されていたり、関連するデータが複数の場所に散財しているケースがあった。しかし、こうした状態では、プロジェクトメンバー間で設計データなどの共有化を図ることは難しい。

また、設計データは、その品質などを検証するために、プロジェクトメンバーなどにレビューし、その結果をフィードバックして品質を高めていくことが重要になる。しかし、プロジェクトに携わる人がほかの会社にいたり、世界中に散らばっていたりする場合は、その人たちに設計データをどのような方法でチェックしてもらうかが大きな課題の一つになっている。

その点、A360 Teamを活用すれば、プロジェクトのデータ管理に関する課題は一挙に解消する。今までデータを個別に管理し、どこにどのデータが保管されているのかわからなかったものが、クラウド上で一カ所にまとめて整理できる。2次元の図面やレンダリングされた3Dモデルをはじめ、 PDFやスプレッドシートなど100種類以上のファイル形式をサポートしているので、ほぼすべてのプロジェクトデータを一元管理できるようになる。

そのうえ、A360 Teamは、場所やデバイスを選ばない。PCやスマートフォン、タブレットなどさまざまなデバイスを使ってクラウド上の保管スペースにアクセスすることで、プロジェクトに携わる人がいつでもデータを閲覧できる。データの中身を検索して、必要な情報をすばやく確認することも可能だ。

「デバイスが異なる人同士が、同時に同じデータを閲覧しながらコラボレーションできることが、ほかの製品と異なるA360 Teamの優位性です。お客様からもその点を高く評価していただいています」とTabar氏は語る。

A360 Teamがもたらす4つの大きなメリット

A360 Teamは、エンドユーザー様に主に4つの大きなメリットをもたらす。一つ目は、A360 Teamの保管スペースは、最新の認証・暗号化テクノロジなどを採用した安全性の高いクラウド上のサーバーに置かれているので、機密性の高い設計データなどが部外者に漏れる心配がないことだ。そのうえ、管理者側でプロジェクトメンバーごとに各プロジェクトに対するアクセス権限を設定することもできる。

二つ目のメリットは、設計データのレビューをすばやく効率的に行えることである。A360 Teamに設定したプロジェクトの共有フォルダに設計データをアップロードしておけば、遠隔地にいるプロジェクトの関係者がいつでもアクセスして確認できる。何か問題点などがあれば、設計データにコメントを書き込み、設計者に迅速にフィードバックできる。

三つ目のメリットは、A360 Teamに保管しているデータをプレゼン用の資料として活用できること。一つのフォルダに顧客にプレゼンするためのデータをまとめて保存しておけば、そのフォルダのデータを順番にクリックするだけで、プレゼンがスムーズに行える。例えば、自分がデザインした建物の3Dモデルを回転させたり、仮想空間のフロアを実際に歩いているような感覚で移動したりすることもできる。

四つ目のメリットは、ソフトウェアの導入コストを軽減できることである。A360 Teamは、100種類以上のファイル形式に対応し、オートデスク以外のCADベンダーのソフトウェアを使って作成したデータもブラウザ上で閲覧できる。そのため、設計データをレビューするだけの用途で高価なソフトウェアを購入する必要がないので、その分コストを抑えることができる。

個人向けに提供されている無償版のA360は一つのプロジェクトしか取り扱うことができない。一方、有償版のA360 Teamは企業向けで、複数のプロジェクトのフォルダを設置し、プロジェクトごとにアクセスできる人を招待し、バーチャルなコラボレーション空間を容易に構築できる利点がある。価格もリーズナブルで、パートナー様経由でも年間契約で購入できる。

「A360 Teamは、設計データのレビューなどを効率よく短期間で行えるので、自社製品を市場に投入する時間を大幅に短縮できます」とTabar氏は語る。日本では機密性の高い設計データをクラウド上で共有することに抵抗を感じている企業が多いので、今後はアメリカのゼネコンなどの活用事例を積極的に紹介することで、日本の企業も安心して活用できることをアピールしていく考えだ。

Autodesk Gallery Pop-Up Tokyo レポート

ものづくりの未来を垣間見たエンジニアリングギャラリー

オートデスクは、「The Future of Making Things」 ~創造の未来~をテーマとして、類まれなデザインや設計、エンジニアリングのストーリーを集めたギャラリー「Autodesk Gallery Pop-Up Tokyo」を10月23日(金)から11月8日(日)まで東京の表参道で開催。同時にさまざまなワークショップも開催し、大好評のうちに閉幕した。

10月29日には、日本を代表するトップクリエイターとオートデスクによる審査でアワードを選出する「AUTODESK CREATIVE DESIGN AWARDS 2015」の授賞式が行われ、受賞作品の発表が行われた。新しい技術を利用した製造や建設の手法や消費者の購買行動の変化、イノベーティブな製品を生むコラボレーション環境などの要素が組み合わさった新しいかたちのデザインの未来を垣間見ることができた。

Gallery Pop-Up Tokyoでは、プロダクトデザイン、アーキテクチャー、社会インフラ、エンタテインメント、アート、ファッションなどの幅広い分野から、最新のテクノロジを取り入れた展示とトークイベントが行われた。

  • 「AUTODESK CREATIVE DESIGN AWARDS 2015」の授賞式の模様。

  • Nike は、アスリートの身体の動作を精密に解析しながら、新しい素材、テクノロジ、製品開発に挑んでいる。

  • 3,000個超のパーツを5,000個近いヒンジでつなげたナイロン製のワンピース。3Dプリンターで出力されたドレスは、折りたたまれた状態で出力される。

  • ロボットを使用するインスタレーションday2dayは、その共有の思いを画像へ変換して、時間と場所の美しさを表現。