セイコーエプソン株式会社
高品質と実用性備えたマルチパーパス大判プリンター
セイコーエプソンの大判プリンターSC-Tシリーズは、2012年の発売以来CAD用プリンターとしての利用、商店やアミューズメント施設で利用するノボリやポップ、教育機関での利用など幅広い用途で使われているマルチパーパスの製品だ。さらに今年の4月には従来のTシリーズの機能を拡充させた新製品を、ダブルロール機・大判複合機などのラインナップとともに発表した。Tシリーズがこのようにさまざまな用途で使われているのは、どんな技術によって実現するものなのか。セイコーエプソン株式会社商業プリンター事業部商業プリンター商品部 部長の内田康彦氏にうかがった。

商業プリンター事業部 商業プリンター商品部 部長
内田 康彦氏
当社が大判プリンター事業をスタートしたのは1999年です。他社に比べ遅いスタートとなりますが、エプソンではコンシューマ向けインクジェットプリンターで培った写真印刷の実績がありました。そこで大判プリンターも、当初は写真スタジオ、デザイナーの皆さんをターゲットとしたフォトプリンターとしてスタートしたのです。
発売後はお店に貼るポスター、教育現場などでも使われるようになりました。また、大判プリンターの最多用途であるCADデータを印刷するための機能を充実させて欲しいというお客様の要望にこたえ、CADデータを印刷する機能を強化し、2012年に誕生したのが、Tシリーズというマルチパーパスの大判プリンターです。
グラフィックからスタートしたことから、大判グラフィックを印刷するならエプソンが一番!と評価されています。他社では染料インク、顔料インクを組み合わせて使用するものもありますが、当社の場合、顔料インクで全てを印刷します。顔料インクは水、光に強いという特性があり、短期間であれば、雨に打たれるような場所に飾ってもにじみません。屋外に展示することができるという点が強みの一つになります。

CAD図面印刷の場合、黒をしっかり印刷する、黒のしまりが重要です。CADならではの黒の線画をくっきりと印刷するために、Tシリーズ専用の「マットブラックインク」を新たに開発しました。これは、主に図面の線画印刷で黒をくっきりと印刷するために、あえて黒インクを紙に染みこませすぎない、浸透性をうまく調整したインクです。この新インクと従来からの線画モードにさらに改善を加えることで、細線や斜め線、曲線を含む線画品質、黒濃度にじみ、文字つぶれなどを従来製品に比較して大幅に改良しています。また、すべての色に顔料インクを採用していますので、耐水性が高く、建設現場等、屋外に持ち込んだ場合に、雨にぬれるといったトラブルにあってもにじみにくいという特性があります。
HP-GL2にも対応していますので、即戦力となるCAD用プロッタとしてお使いいただけます。また、CADを利用する建設業界ではパース、建築物といったものを印刷し、ポスター的に活用することも多い。そうした場合には、写真印刷のクォリティの強みを発揮します。日本の事務所は決して広くないスペースで、大判プリンターを利用しているところが多いです。そこでTシリーズでは省スペース化を進めました。スピンドルレスで、ロールペーパーホルダーでロール紙を支える構造としました。しかもロールペーパーホルダーを片側だけで支える構造とすることで、筐体の幅を小さくすることに成功したのです。これは省スペースではないですが、インクを4色 に抑え、インクカートリッジの容量が700ミリリットルの大容量にも対応していることは、TCOを下げ、総合的な使い勝手をよくしていると思います。販売店の皆様にとっては、納入後、インクをはじめ、各種メディアの販売が継続的に行えるというメリットもあります。メディアも含めて販売していただければと思います。
また、今回このTシリーズをさらに性能向上させ、ラインナップを大幅に拡大しました。ラインナップは従来A1プラス機, A0プラス機、B0プラス機の計3機種でしたが、今回はA0プラス機, B0プラス機に新たにダブルロールモデルを追加し基本モデルを全5機種に拡大。さらにハードPSモデルや大判複合機モデルを用意することで、お客様のさまざまな用途やご希望に対し、大変フレキシブルに対応できるようになったと思います。また、ラインナップ拡大だけでなく、排紙スタッカーのさらなる改良や最新のネットワークセキュリティへの対応等、実質面での改良も随所に計られています。
この、ラインナップを一新した新Tシリーズを是非お試しいただければと思います。