キヤノンマーケティングジャパン株式会社

短焦点1.2mから100型投射可能なハイパワー製品
パワープロジェクター「WUX400ST」

キヤノンが2014年5月下旬から販売を開始したパワープロジェクター「WUX400ST」は、1.2メートルの距離から約100型投射が可能な短焦点タイプの製品だ。従来の短焦点プロジェクターになかった高輝度、高解像度、広範囲のレンズシフト機能、大画面投影を実現したことで、これまでターゲットとしてこなかった美術館、博物館や中規模の講堂、展示会場といった屋内への設置を狙っている。従来の短焦点プロジェクターが実現できていなかった機能を搭載することができたのはなぜか。キヤノン株式会社イメージコミュニケーション事業本部PJ事業推進センターPJ事業企画部PJ事業企画課の山内悠氏に伺った。

新たなターゲット市場を可能とした短焦点プロジェクター
キヤノン株式会社
PJ事業推進センター PJ事業企画部 PJ事業企画課 専任主任
山内 悠氏

一般的な短焦点プロジェクターは、明るさは3000ルーメン程度、解像度は最大でもWXGA、広範囲のレンズシフト機能を搭載しているモデルはありませんでした。そのため、50インチから60インチと画面サイズが小さく、またプロジェクターの取り付け位置がほぼ固定であるホワイトボードに投射する小中学校での利用に制限されていました。また、そのほかにも画質やTVディストーションなど犠牲になっている仕様も多くありました。

新製品は短焦点プロジェクターでありながら、4000ルーメン、1920×1200画素のWUXGA規格対応、0-75%の広範囲のレンズシフト機能を搭載しています。さらにキヤノンが定める高画質や低TVディストーションを実現する事ができました。これらの仕様を同時に実現することで、これまではターゲットにできなかった市場を狙っています。象徴的なのは、ターゲット市場の一つが美術館や博物館であることです。美術館で利用する場合、高画質が必要なことはもちろん、複数台のプロジェクターを並べて大画面投影するマルチ投写で利用することがよくあるため、TVディストーションが大きい従来の短焦点プロジェクターはあまり使われてきませんでした。それはTVディストーションが大きく画像にゆがみがあるプロジェクターでは、画面が重なりあう部分がキレイに投影することができないためです。新製品は高画質で、かつTVディストーションを低く抑えられているため美術館や博物館などでのマルチ投射にも利用できる短焦点プロジェクターなのです。

光学技術が可能とした短焦点プロジェクター
「WUX400ST」は、従来の短焦点プロジェクターになかった高輝度、高解像度、広範囲のレンズシフト機能、大画面投影を実現した。
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プロジェクターは大きく分けて二つの光学系で成り立っています。一つ目はランプから発光された光をパネルに均一に照明する照明光学系。二つ目はパネルに表示された画像をスクリーンに拡大投影する投写光学系です。キヤノンはこの両方の光学系を独自に開発している数少ないメーカーです。そしてこの製品ではそれぞれの光学系にキヤノン独自の技術を盛り込み、それらの相乗効果により短焦点でありながら、高輝度、高解像度、広範囲のレンズシフト機能を同時に搭載することができました。もちろん、高画質、低TVディストーションを実現できたのもこれらの技術のたま物になります。

この製品はプレイヤーの大半が電機メーカーのプロジェクター業界の中で、光学メーカーとしての存在感を存分に発揮できた商品だと自信をもって言える商品になっています。
これまで中規模会議室用プロジェクターといえば、テーブル上の貴重なスペースを占有したり、天井に吊って利用することが一般的でした。しかし、新製品は短焦点でレンズシフト機能を持っているので、壁に近いテーブルの下に設置することが可能なのです。
短焦点で75%のレンズシフトが可能なプロジェクターはこれまでありませんでしたから、どんな反響があるのか予測ができませんでした。発表後の反響を見ると、当初予想していた美術館や博物館での利用、大学や研究機関、中規模会議室での利用以外に、「『設置が容易』、『広範囲のテーブルレンズシフト機能を搭載している』、『テーブルの下にも設置できる』ので、大きな会議室で利用するバックアップ用の1台として利用できないのか」という声もありました。
その特徴を実感していただくために、販売店の皆様には貸出機を用意していますので、ぜひ、実機デモをお願いしたいと思います。そして、デモの際はぜひともプロジェクターを床に置いて100インチ以上の大画面投影をしてみてください。75%のレンズシフトの感動の世界を体感していただけると思います。

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