キヤノンファインテック株式会社/
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
1台で名刺、プラスチックカード、長尺用紙の3つを高速印刷
キヤノンマーケティングジャパンが9月22日に出荷を始めたカラーカードプリンタ「CX-G2400」は、従来通りの省スペースモデルでありながら、従来の名刺サイズの紙に加え、プラスチックカード、長さ172mmの長尺用紙とこれまで対応していなかったメディアに印刷することができる、1台3役の製品だ。印刷スピードが速いことも特徴で、プラスチックカードを1分間に50枚印刷する。これまで名刺印刷がメインだったキヤノンのカードプリンタがこのように新しい機能を搭載したのはなぜか。開発を担当したキヤノンファインテックの上席担当部長 プリントシステム商品企画部部長である片山昭氏に、製品開発の特徴や開発背景について伺った。

上席担当部長
プリントシステム商品企画部部長
片山 昭 氏
業界で初めて紙とプラスチックという2種類のカードに対応し、そこからハイブリッドカードプリンタと呼んでいます。名刺サイズの紙、プラスチックカード、172mmmの長尺用紙と3種類のメディアに対応したことが特徴ですので、本当は1台3役の製品ということになります。
従来の当社のカードプリンタは、企業の名刺内製用途ではトップシェアとなっています。今回カード型プリンタ市場を調査する中で出会ったのが、プラスチックカードでした。プラスチックカード用プリンタは熱転写で、社員証印刷などに利用されていますが、新入社員が入る4月に活用されるものの、その後はほとんど利用されていないこともわかりました。名刺、プラスチックカードの両方が印刷できれば、この1台があれば4月だけでなく、年間通して利用されるようになるのではないかと開発がスタートしました。
プラスチックカードへの印刷は、インクジェットではそのままできないので、インクジェット対応のプラスチックカードを開発しました。
また、プラスチックカードの場合、余白があると印刷できるデザインが限られてしまいます。できるだけ余白を目立たない印刷ができないかということで、余白0.3mmというマイクロマージンを取り入れることにしました。印刷した成果物を見ていただければわかりますが、ほぼ余白があることに気が付かれないレベルになっていると思います。
マイクロマージンを実現させるために、最も重要なことは紙送りの精度を向上させることです。そのためには、本体のメカ部分の精度を向上させることとともに、用紙搬送機構のバラツキをプリンタに組み込んだソフトウエアで補正をかけています。ハード部分、ソフト部分までトータルで取り組んだことで、0.3mmのマイクロマージンを実現することができたのです。

これまでの熱転写で行うプラスチックカード用プリンタは、1分間に3枚程度の印刷速度だそうです。われわれのプリンタはプリントヘッドが動く構造ではなく、ヘッド部分を固定し、その下 を紙が通る構造としています。プラスチックカードでも1分間に50枚印刷ができるのではないか?という観点から開発を始めました。ところが、実際に開発を始めるとプラスチックカードは紙 とは厚みが違うので、同じ紙送りでは駄目でした。結局、紙送り部分を変更し、1分間に50枚印刷を実現しました。
筐体サイズは、これまでプリンタを置いていなかったお客様にも使っていただきたい。そのためには大きな筐体では置いてもらうのが難しくなると考え、従来以上の省スペースとしています。
我々にとっては新しいジャンルの製品です。実際に製品を手に取っていただいて、フィードバックを頂きたいと思います。良い評価は開発者のモチベーションになりますし、お叱りの声は反省材料として次の製品開発に生かすことができます。特に販売店の皆様からは新しい用途提案をはじめ、忌憚ない意見をお聞かせいただければと思います。