キヤノン株式会社

ネットワークカメラ「VB-R11VE」/「VB-R10VE」/「VB-R11」

レンズやカメラの製造で培った光学・画像処理技術により、ネットワークカメラにおいても確かな存在感を示してきたキヤノン。このたび、同社初となる360°旋回型モデルとして、全天候型屋外用ネットワークカメラ2機種「VB-R11VE」、「VB-R10VE」、屋内用1機種「VB-R11」を新たに発表した。エンドレスに旋回する360°パンと180°チルトにより、自由自在に半天球形の範囲を動けるフレキシブルな可動域を持つ。また、スピーディーかつ正確な駆動で、全方面に死角を作らず、広大な範囲を1台で効率よく撮影・録画できるカメラとなっている。開発を担当したキヤノン株式会社 NVS事業推進本部 NVS開発センターの佐々木大輔氏と芦谷智史氏に、新製品が持つキヤノンならではの強みについてお話を伺った。

360°パン(フル旋回)を高速かつ高精度に実現
キヤノン株式会社
NVS事業推進本部 NVS開発センター
佐々木 大輔氏 

佐々木氏:新モデルは360°のフル旋回と180°のチルトという可動域を実現しています。レンズが対象をすばやく捉えるための旋回スピードはクラス最高水準となっており、とりわけこだわったのは、最高速に到達するまでの加速度です。カタログ等には記載していませんが、これによりレスポンスの良い操作性を実現しています。

また、光学30倍ズームレンズと20倍のデジタルズーム機能を搭載していますが、高倍率ズームによる遠距離撮影時にも、高い位置精度を実現することに力を注ぎました。新モデルでは、パン・チルトの旋回スピードと駆動・停止の正確さが両立しています。

芦谷氏:レンズは従来の光学20倍レンズと同等のコンパクトなサイズに抑えました。レンズサイズの小型化は製品サイズだけでなく、パン・チルトの駆動負荷を下げ高速化するためにも重要なファクターです。また、これだけの高倍率のレンズを小型化した分、レンズの位置変化に対する画角やピントへの影響も大きくなるため、最適なレンズ制御をチューニングしながら、慎重に開発を進めました。

佐々木氏:レンズをカバーするドームにも工夫を凝らしています。高倍率ではドームに少しでも“ゆがみ”があると、画像が二重になるなどの影響が現れます。今回、ドームの高精度化とレンズの最適化で、目指していた解像度を実現することができました。

全天候型屋外モデル、低照度でも優れた視認性
キヤノン株式会社
NVS事業推進本部 NVS開発センター
芦谷 智史氏 
360°旋回型モデル「VB-R11VE」、「VB-R10VE」、「VB-R11」は、標準通信プロトコル規格に対応しており、広いエリアを監視できる360度フル旋回の全天候型屋外カメラは、キヤノン初だ。

佐々木氏:全天候型屋外モデル「VB-R11VE」、「VB-R10VE」は高温・低温の双方に対応しており、動作温度範囲は-50℃から+55℃までとなっています。また、沿岸や排気ガスの多い工業地域周辺などでの使用に考慮し、粉塵や水流への耐性を高める防塵防水機能はIP66に準拠。さらに、外部からの衝撃に対してレンズを守る耐衝撃性はIK10に準拠している上、腐食や氷結からの保護、情報技術機器の安全性など幅広い規格に準拠しています。塩害試験も行うなど、全天候型の屋外対応に力を注いできました。

芦谷氏:大口径の明るいレンズと高感度CMOSセンサー、画像処理エンジンでのノイズリダクション処理などキヤノンが培ってきた光学技術・画像処理技術を連携させることで、低照度性能の向上・高画質化を実現し、夜間や暗がりの中でも視認性を高めることに成功しました。今回、画像処理技術として新たに取り入れたのが「かすみ補正」です。これは霧やスモッグがかかった状態でも、コントラストの調整をしてクリアな映像にする機能で、補正レベルはマニュアルでの調整のほか、自然環境下で刻々と変わる状況に応じて、シーンを判別して自動で補正レベルを調整することもできます。

加えて新モデルでは、監視性能を一段と向上させるインテリジェント機能も充実させました。あるエリアの立ち入りを検知する「侵入検知」、被写体の動きに応じて自動でパン・チルト・ズームを制御し被写体を画面の中央に捉え続ける「自動追尾」、叫び声など人の発した異常音を検知する「悲鳴検知」があります。管理者の目や耳に頼らず、監視カメラが自動で判断するというもので、監視の効率化につながると考えています。

360°旋回型モデル「VB-R11VE」、「VB-R10VE」、「VB-R11」は標準通信プロトコル規格に対応しており、他社システムとの連携がスムーズに行えます。各メーカーとの接続性試験でも好評を得ています。

広いエリアを監視できる360度フル旋回の全天候型屋外カメラは、キヤノン初です。販売パートナーの皆様には、港湾、倉庫、資材置き場をより広範囲で監視するといった用途に加えて、マーケティング、エンターテインメントなどの市場も視野に入れてご案内いただける商品と考えています。

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