株式会社バッファロー
バッファローの無線LANアクセスポイント「WAPS-300WDP」は、防塵・防水・防腐食という特長を持ったセミアウトドアタイプの製品だ。無線LANアクセスポイントの設置場所は、観光客などの利用を想定して街頭、IoTによって工場、農家や畜産といった幅広い場所に拡大しつつある。「市場調査を行った結果、需要があることがわかり製品を発売しました。発売以降、毎月、商談が倍増している状況です」とバッファロー ネットワーク事業部ネットワーク事業課長の磯畑明彦氏は話す。この製品がどんな場面で使われているのか、磯畑氏にお話を伺った。

ネットワーク事業部 ネットワーク事業課長
磯畑 明彦氏
防塵・防水・防腐食と、これまでのバッファロー製無線LANアクセスポイントとは全く異なる特長をもった製品を開発するきっかけは、畜舎で無線LANが使われて いるという話しを聞いたことでした。家族で牛の世話をされている畜産を営まれているところで、牛の出産を見守るためにIPカメラを使い、いよいよ出産となると牛舎に出向く。そのために家庭用のアクセスポイントを使われているケースがあったそうです。そんな使い方があるのかと驚いて市場調査を始めることになったのです。
調査してみると、牛舎だけでなく、街頭に公衆無線LANを設置して観光客に利用してもらうといった需要があることがわかりました。ご存知のように、バッファローの無線LANアクセスポイントは、簡単に設定が行え、利用することができることを特長としています。屋外で利用できる製品で、簡単に設定、利用ができるものを提 供すれば、新しい市場を作ることができるのではないかということで製品発売に踏み切ったのです。
開発は容易ではありませんでした。屋外で利用するということで、マイナス10度から、プラス55度までという広範囲の動作保証温度となっています。屋外で直射日光が当たると60度を超えることも起こり得ることがわかりましたが、60度まで動作保証するとなるともっと大きな筐体が必要となり、価格がもっと高くなってしまいます。アクセスポイントは複数台設置される場合も多いので、高額で複数台設置となると導入が難しくなるお客様もいます。そこで動作保証温度の上限を55度までとしました。高温となる場所では、店舗の軒下など直射日光が当たるのを避けられる場所に設置していただければと思います。
動作保証温度の下限についても、マイナス10度では畜産が盛んな北海道では使えないのでは?という声もありますが、牛が成育している牛舎であれば、マイナス10度以下になることはないと判断し、下限をマイナス10度としました。
動作保証の上限温度は先ほどお話ししたように、屋根がある環境で、下限温度も完全な屋外というよりは牛舎などに置いて使われることを想定しています。

この製品を一番多く利用されるのは、地域の公衆無線LANのためのアクセスポイントとしての導入でしょう。そこで、温泉街に導入された場合を想定し、腐食性が強い硫化 水素対策として基板にフッ素加工を施しました。
防塵・防水対応は、IoTなど工場での無線LANが必要になるケースが増えることを想定したものです。電気製品の耐候性を定めたIP(Ingress Protection:侵入への保護)規格では、防塵、防水ともに5等級という実環境下で十分な性能を有しています。ですので、工場に置いても安心して使っていただけると思います。
これまで販売してきた製品とは異なる仕様を持った製品であるため、当社としてもどんな販売状況となるのかと思っていましたが、発売後、商談が急増している状況です。お話しし たような、街頭の公衆無線LAN、工場、農業、畜産業、そして学校に導入されるケースも出てきています。学校の場合は、スポーツの強い学校が体育館に導入して、大会会場として体育館を使用する際に他校やマスコミ向けにWi-Fiを提供するといったケースがあるそうです。また、体育館は震災などが起こった際、避難所として利用されることが想定されることから、防災目的での導入というケースもあります。
販売店の皆様は、この製品が他にも使えるいろいろなケースをご存知だと思います。ぜひ、これまでにない新しい使い方での導入をご検討ください。