大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2002年7月時点の情報を掲載しています。
日本語ワークステーション5550の開発やPS/2の熟知、バッテリーや微細化技術が認められ、日本のここ、大和研究所で世界向けポータブルパソコンの開発が始まったのが1988年頃。そして最も苦労したPS/2ノート、PS/55ノートを経てThinkPadが誕生、今年でちょうど10周年を迎えました。今でこそ多くのメーカーがノートパソコンを作っていますが、当時はどうやってバッテリーを充電するかなど全てゼロからのスタートだったので、ノートに特化していたメーカーも数社ほど。色々苦労もありましたが、私たちThinkPadの開発部隊はつらいことに対する抵抗力が強い。つらいからといって諦めることをしない部隊です。何もないところからスタートし、どうしていいかわからない時代を乗り越えて結果を出してきたから、諦めないことが浸透しています。教科書にないことをクリエイトしてきたからこそ、教科書にないことを考えるスタンスが身についたのです。自分たちが先に行かなければ先はない。次を切り開きたい。その思い、その結果がThinkPadです。
私たちは一度つけたモノはずっと残したいと考えています。それには、ずっと残されるに値する品質であることが重要です。例えばキーボード。これには絶対の自信を持っています。私たちはキーボードのストローク2.5mmを守ります。このクリック感が非常に大事で、モデルごとに底になるマザーボードの形状やゴムの感じも違うので相当数の試作を繰り返します。これらは全てのThinkPadの機種で同じです。キーボード、スクリーン、トラックポイント、全てのアイテムについて新製品の開発ごとに最善の選択をします。しかし、買い替えた際にこれまでと全く顔の違う製品になっていてはお客様も戸惑うでしょうから、私たちはいかにも変わったような顔はせず、中身は変わった、良くなったというところに力を入れます。何かとギガヘルツやギガバイトなどのスペックに目が行くパソコンの世界ですが、私たちは毎日使う人にとって感じる感覚的な部分を何よりも大切と考え、力を注いでいます。キーボードやトラックポイントの心地よさの定評は私たちにとって何よりも嬉しいことです。
デスクトップを使う、ノートを省スペースや省エネルギーなどオフィス環境整備のために使う、持ち歩いて使う、とパソコンの使用形態はほぼこの三つですが、この三番目の「持ち歩いて使う」割合は今でもそう多くはないでしょう。ここにある私のThinkPadはワイヤレスを装備しています。ですから、会議中も資料を取りに中座することもないし、必要なら相手のパソコンにすぐに転送できる。学会や報告のための準備も直前までできるのです。また、出張の際もタイムラグなく返事や対応ができるので、返事待ちで滞ることもなく、仕事が効率的にスピーディに動きます。
ThinkPadは日本人の伝統的な働き方に提言します。会社にいることだけが働いていることではない。オフィスから一歩外に出たときにどう働けるか、空いた時間をどう使うか、仕事のスピード化、効率化にノートパソコンをぜひとも使って欲しい。省電力、省スペースなどでノートパソコンを使っている方には、本当の意味でのノートパソコンのメリット、モビリティのメリットを享受していただきたいのです。
私たちはThinkPadを、持ち歩いて使っていただくことでお客様の生産性を向上する「仕事のプロ」のための道具と位置付けて開発・生産しています。持ち歩いて使って初めて、モビリティという仕事の仕方、仕組みがわかるし、メリットも得られるのです。
そのために、私たちはモビリティに何が必要なのかを徹底的に追求します。持ち歩くのだから軽い・薄いは当たり前。使う用途やシーンごとのモビリティもありますが、全てに共通するのは堅牢性、丈夫であることです。持ち歩くということは、ぶつける、落とすことが避けられない。私たちはお客様がどのように持ち運ばれ、どのようなケースで機械を傷められる可能性があるかを色々な事例から研究しテストを繰り返しています。また、機動力を考えてバッテリー駆動時間を延ばすことや、通信手段もハイスピードのコネクションでホテルならイーサネット、街なかでもワイヤレスのホットスポットなど初めての場所でもネットワークに簡単につなぐことができる「アクセスコネクションズ」、さらにはパソコンを外に持ち出すことに対する企業の不安を解消するセキュリティ機能「ハードウェアセキュリティーチップとクライアントセキュリティーソフトウェア」など、プロフェッショナルなビジネスのためのモバイルツールとしてさまざまな機能を充実させています。
そして今後は、ハードだけでなくトータルソリューションとしてお客様の利用環境をサポートし利便性を提供。ワイヤレス、セキュリティ、新しいThinkPadへ簡単にデータが移せるマイグレーション機能など、法人ユーザー様の最良のツールとして進化し続けます。
日本が国際的にどうかと問われている時代。新しい道具を、新しく使い、新しい世界を広げることが重要なのではないでしょうか。不況だから安いものを使う、安いものを作る、これは負のスパイラルです。ThinkPadは少し価格が高いかもしれないけれど、自分たちの力をつける道具として、攻めの道具として積極的に使っていただきたい。そして必ず結果が出る、それだけの価値のある製品だと自負しています。
日本アイ・ビー・エム株式会社
ポータブル・システムズ担当 IBMフェロー 理事
内藤在正氏
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