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2003年3月時点の情報を掲載しています。
SQLスラマーからテレビ出演へ
1月27日にBSジャパンというテレビ局のプロデューサーが携帯電話を掛けてきました。前々日、韓国でSQLサーバーをダウンさせるワーム「SQLスラマー」が同国内を震撼とさせました。この事件に関して、「ルック@マーケット」という番組でコメントしてほしいとのことでした。私は前日から神田の某ビジネスホテルにカンヅメになり、原稿を執筆していました。寝不足はもちろん、無精髭さえ剃らない状態での、みっともないテレビ出演でした。
「ルック@マーケット」はテレビ東京の解説委員でもいらっしゃる内山敏夫氏がメインキャスターの生放送番組です。内容的には株価を中心とした市況解説が主ですが、その日に共演されたアナリストはTVカメラに向けて、上場セキュリティ関連企業の値動きを解説しました。フリップを見ますと、大半の企業の株価が高騰していました。
内山氏から事件の原因となったSQLスラマーの説明を求められました。また、ウイルス検知・駆除プログラムで、どうして対処できなかったのかと質問されました。
「原因はSQLサーバーのセキュリティホールにあります。このホールに関しては、前年からマイクロソフトが警告を出していました。対策はパッチプログラムを適応させ、UDPポート1434番を遮断させるだけです」
「ウイルス検知・駆除プログラムで発見できなかったわけは?」
検知できなかった理由は、ウイルスのような外部記憶メモリー内にファイルを作成せず、内部記憶メモリーの空き領域に常駐するワームだったからと説明しました。残念ながら、この説明では内山氏を納得させることはできませんでした。ウイルスとワームの違いの説明は、相手を混乱させるだけでした。
今回はセキュリティホールを突くものでしたが、内部記憶メモリーに常駐させるタイプのワームを、異なる方法で開発するハッカーが出てくる危険性に関しては「サイバーテロ」の名前を出して警鐘を鳴らしました。
今後はコンピュータペスト対策の時代
SQLスラマーのパソコンショップへの影響はどうでしょうか。懇意にしている店員に質問してみますと、悪質ワームの被害を受けたユーザー情報は全くありませんでした。店員は次のように説明しました。
「国民性の違いですね。日本の場合、セキュリティホールに関する警告などに、管理者が迅速な対処をします。メディア報道後はトレンドマイクロやシマンテックなどのセキュリティ関連ソフトの売上が目立った程度です」
SQLスラマーは、感染後、ランダムにIPアドレスを作成、アクセスを繰り返すものです。ネットの帯域を浪費させ、通信障害を起こさせるワームでした。ワームやウイルスへの対処が後手にまわるのは、システム管理者が不在の個人や中小・中堅法人ではないかと店員は指摘しました。事件の性格はともかく、ビジネスチャンスとして今回の問題を考えた場合、どんなことが考えられるでしょうか。店員は話しました。
「インターネットを活用したセキュリティ監査サービスの販売が想定できます。大企業向けの技術は既にありますが、小規模企業向けのリーズナブルな価格のサービスとなりますと…」
店員はここで言葉を濁しました。さらなる説明を求めてみますと、万全な体制を整えるには、システム障害の保険、悪意を及ぼす不正ファイルのDBも必須だろうとのことです。さらに興味深い話を紹介してくれました。
「元IPAのセキュリティ委員だった渡部章さんが社長をされているアークンという会社が『PestPatrol』(http://www.pestpatrol.jp/)という製品の販売を始めたそうです。米国で高評価を受けたソフトで、世界中の6万種類に及ぶペスト(不正ファイル)を検知・駆除するそうです」
コンピュータペストへの取り組みが、SI企業のビジネスチャンスに繋がることは間違いありません。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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