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2003年3月時点の情報を掲載しています。
ストレージを中心としたオープンシステムのシステム統合やストレージ統合が、いま最新のソリューションとして注目されている。
特に、メインフレームからのアプリケーションをオープンシステムに移管するにあたって、ストレージソリューションが重要なテーマとなっている。
また、PCによる業務を中心に展開してきた企業でも、三階層型アプリケーションの安全な運用に関しては、やはり信頼できるストレージ環境の構築が急務となっている。そんなストレージソリューションによるビジネスチャンスについて、包括的にまとめてみた。
あるデータセンターを取材したときに、「壊れないシステムはない」という話をオフレコで聞いた。数あるコンピュータの中でも、PCは壊れない方だという。著名なオープンシステムであっても、100%稼動する保証はない。最近では、こうした障害からシステムを守るために、電源や基盤を二重化したり、BIOSやRAMなどのデュアル化も進んでいる。それでも、壊れることはあるのだ。そうした不慮の事故からシステムを守るためには、ストレージとバックアップを組み合わせた強固なデータの保存体制を取らなければならない。たとえシステムが壊れてもデータ資産さえ安全に保存されていれば、短期間での復旧が可能になる。
また、情報システムを活用している企業や経営者ほど、ビジネスにとって何よりも大切なものは企業活動を通して得られたデータ資産であると理解している。つまり、データ資産を守るためのストレージソリューションは、あらゆる業種や規模の企業に提案できるビジネスチャンスとなるのだ。
ストレージソリューションを顧客に提案する場合、まず理解しておくべきポイントは、最新のストレージソリューションに関する基礎的な知識だろう。考えてみれば、何らかの形でPCを利用している人であれば、ハードディスクというストレージは日常的に利用している。そのデータを安全に保管しようとすれば、C D -R/RWなどにコピーしようと考えるだろう。
しかし、企業で利用しているサーバにあるデータは、CDやDVDでは収まりきらないほど膨大だ。また、ワープロや表計算のファイルと比較して、データベースや電子メールのデータをバックアップするというのは、どういう仕組みになっているのか、実際に使ったことがなければイメージはわかないかもしれない。
現実の問題として、オープンシステムによる情報化が推進されたことにより、企業で使われるシステムも極端な二極化が進んでいる。個人の机の上にあって文具のように使うPCと、情報部門などが管理して情報系だけではなく基幹系業務まで担うオープンシステムという二極化だ。そして、ストレージソリューションをもっとも必要としているのは、後者にあたるオープンシステムの管理部門となる。
特に、全社的に運用している勘定系業務で使われているデータベースや顧客情報に、電子メールやグループウェアのデータは、最優先でバックアップする必要がある情報資産といえる。こうしたデータを安全かつ確実にバックアップするためには、従来からあるDAS(ダイレクト・アタッチド・ストレージ)では対応が不十分になってきた。そこで、現在はNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)やSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)が、もっとも注目される存在となっている。そして、このNASやSANと組み合わせて利用するバックアップソフトや、ストレージ管理ソフトによって、企業の求めるストレージソリューションが構築できる。
ストレージソリューションを構築するにあたってのハードウェア面での検討課題は、DASによって取られているバックアップからSAN環境への移行だ。DASの基本的な構成は、一台一台のサーバにテープ装置やDVD-RAMなどを取り付けた形になる。一般的には、SCSIやATAPIによって取り付けたバックアップ装置に対して、COPYコマンドやユーティリティを使ってファイルなどをコピーする。この方法は、小規模なサーバの運用環境であれば、もっともコストパフォーマンスに優れた方法といえる。もし、サーバが停止してしまったら、同様の構成になっている他のサーバにデータを復元して、運用を再開できる。
しかし、DASによるバックアップにはいくつかの難点がある。まず、サーバの台数が増えるたびにバックアップ装置の追加が必要になる点。また、サーバの台数が増えてバックアップ装置も増えれば、運用管理が煩雑になる。そして、速度の違うバックアップ装置を使うため、バックアップ・ウィンドウと呼ばれる「ファイルの使用禁止時間」が長時間になってしまう。
こうしたDASの課題を解決するために、NASやSANが登場してきた。まず、NASはサーバとネットワーク経由で接続できるストレージ専用機器になる。サーバからは拡張されたディスク装置としてLANを介して利用できるので、サーバのハードディスク容量が少なくなってきたときにも、サーバ本体にドライブを追加することなく、NASの設置と配線だけで解決できる。また、NASを複数のサーバから共有することで、運用管理の手間を軽減することが可能だ。しかし、NASを利用するサーバの頻度が高くなれば、それだけネットワークに膨大なトラフィック上の負荷がかかる。100BASEであってもファイル転送が頻繁になれば、その他のネットワークが影響を受ける。そこで、サーバとストレージをより効率よく確実に利用できるようにするために、SANが登場してきた。
SANは、サーバにファイバーチャネル(FC)用のネットワークカードを取り付け、FCスイッチを介してストレージ機器を利用する専用のネットワーク環境を意味している。ストレージ機器は、基本的にはRAID構成されたディスク装置やテープ装置などのバックアップ機器などで構成される。そのシステムは高性能な専用機から、PCサーバをベースにした安価なシステムまで幅広く用意されている。
SANを導入する利点は多い。まず、DASによるバックアップに比べてストレージ装置を1ヶ所に集約できるので、いわゆるストレージ統合が実現する。先進的にPCを活用している企業では、それが裏目に出てPCサーバを無計画に導入してしまい、社内の至る所にファイルサーバがあるという例も多い。そうした分散化された環境では、企業の情報資産を安全に守ることが難しい。
しかし、SANによるストレージ統合が実現すれば、一元的に確実にファイルをバックアップできるようになる。また、SANはオープンシステムをベースにしているので、UNIXとWindowsが混在したサーバ環境でも、ストレージの統合が可能になる。そして、ストレージ専用のエリアを構築することによって、データのバックアップやドライブの増設などにかかる運用管理コストを削減できる。特に、高性能なストレージ機器を利用することによって、バックアップ・ウィンドウの短縮やデータの高度なミラーリングなど、信頼性と可用性の高いバックアップ環境を構築することができるのだ。
さらに、SANに接続できるストレージ装置の中には、メインフレーム用のストレージとして使えるものもあるので、オープンシステムだけではないマルチプラットフォーム環境での利用も可能になる。
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