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| 2003年5月時点の情報を掲載しています。
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 昨年7月、マーケティング・地域社会担当から、ソフトウェア事業部長に就任された日本IBMの常務執行役員の堀田一芙氏。ThinkPadをはじめ、10年以上パソコンのマーケティングを担当された経験は、IBMのソフトウェアビジネスにどう活かされているのだろうか。昨年末から同社が打ち出しているe-business on demandをキーワードとして、日本のITビジネス市場取り組みの今後を伺った。  IBMがe-businessを標榜しはじめた1996年頃から、PCはインターネットのデバイスのひとつとして位置づけられるようになりました。相対的な重要性はすでにネットワークの方へ移ったわけです。それと並行して、実装技術や無線技術が進み、携帯電話やPDAなど、情報システムの世界でPC以外のデバイスの役割が増えてきています。 そのためお客様が次の2〜3年を視野に入れてシステムを検討されるとき、PC以外の機器がその中に必ず含まれているのではないでしょうか。PCが無くなるわけではありませんが、どこからでも手近な機器を使って必要な情報にアクセスできる、ユビキタス時代が到来しつつあります。IBMではこの分野のソリューションをパーベイシブ・コンピューティング*1 と呼んでいます。この環境下では端末側とサーバ側、それぞれの処理能力を踏まえて、どちらにどのくらいのデータを格納したら効率的なのか検討する必要があります。そして、端末側にデータベースなどを格納する場合は、わたしたちが提供するミドルウェアも大幅な軽量化に対応することになります。  去年の末からIBMの戦略的なキャッチフレーズをe-businessからe - b u s i n e s s o n d e m a n d へ変更しました。これは、e-businessをいつでも使いたいだけ使えるようにしようということです。この世界を我々がビジネスパートナー様とともに実現していくためには、既存のシステムの今後をよく検討し、各システムの情報資産とアプリケーションを尊重しながらつなげていく必要があります。 汎用機の世界とともにクライアントサーバにも膨大な情報資産が残されています。これらを全部Webベースに組み直すことは考えられません。ですから、今あるものをうまくつなぎ合わせることが必要です。それを可能にしていくためには、我々と大塚商会様、販売店様が、ハードウェアだけでなくOS、プラットホームにも強くならないといけません。そういった意味で、これからのシステムの戦略的なポイントはミドルウェアになると思います。  お客様から見ると、ハードウェアやプラットホームから自由で、自社のビジネスにマッチするパッケージ・ソリューションを必要なサービスまで含めてきちんと提供してもらえるという点が最も大切です。そのミッションのもとでは、IBMと大塚商会様、販売店様とは、同じ土俵の上にいると言っても良いのではないでしょうか。 我々と大塚商会様、販売店様は、WindowsやLinuxをはじめ、いろいろなプラットホームを選択してつなげ、お客様1社1社の環境に対して最適なソリューションを提案できなくてはならない立場にいます。  多くのIBMソフトウェア製品の中でもやはりWebSphere、DB2、Tivoli、Lotusは４本の柱です。販売店様に一番馴染み深いのはNotes/Dominoでしょう。今年春の『Notes/Domino 6.01』商戦では、大塚商会様をはじめ販売店様には、予想を上回る売上を上げていただき大変感謝しております。これからWebブラウザでNotesクライアント同様の高機能なグループウェア環境を実現する『iNotes』を使ったソリューションが出てきます。また7月には、Voice Over IPにも対応し、電話やFAXとNotesを統合できるモジュールも登場します。WebSphereとNotesのポータル・ソリューションを統合していく施策も強化していきます。 逆に、IBMの4つのソフトウェアブランドのうち、販売店の皆様とって一番遠い存在がTivoliでしょうね。今回、IBMは『Tivoli Identity Manager』を発表しました。社内で使われているアプリケーションのIDを一元的に管理するソフトウェアです。Tivoliは総合的にはセキュリティソフトですが、このID管理に加えてディレクトリ管理とアクセス管理までのトータルなソリューションを提供できるようになります。この他Tivoliは、さまざまな管理ツールの提供により、IBMが提唱するオートノミック・コンピューティング*2 を推進していきます。 DB2を担当する組織名をワールドワイドでデータベースマネージメントからインフォメーションマネージメントに変更しました。今回『DB2 Information Integrator V8.1』という製品が登場することで、DB2上で各社のデータベースのインテグレーションができるようになります。これにより、戦略的にDB2は強くなると思います。 社外で一番注目しているのは、マイクロソフトの.NETですね。Linuxも伸びていくと思いますが、弊社のミドルウェア製品はWindows上で使われているケースが多いため、どのように変化していくのか興味を持って見ています。今後PCサーバがますます増加していく中で、増えていくのはやはりWindowsとLinuxではないでしょうか。 昨年12月に発表したラショナルソフトウェアの統合が完了し、この4月から販売を始めました。今まで他社との競争の中でIBMのWebSphere、DB2をぜひご採用くださいというビジネスを続けていたわけですが、ラショナルのUML*3 で定義するようになると、もう標準化されていて、J2EEでも.NETでもお客様が自由に選択できるようになります。今までのミドルウェアビジネスの1つ上の次元から、お客様にオープンな『標準』を販売していける。コンサルティングの世界に入ってきます。ラショナルソフトウェアがこれから提供するソリューションは、ミドルウェア販売をこれまでとは全く違う業態に導くと思います。  現在の環境下にあっても大塚商会様が力を入れておられるスモールネットワーク・ビジネスは拡大しています。大塚商会様は、矛盾するものをうまくバランスを取り入れながらスピーディに変化を捉えられる能力をお持ちなのではないでしょうか。お客様のセットは違うかもしれませんが、IBMがやろうとしていることを、同じ時期に同じように取り組まれているように感じています。しかし大塚商会様はわたしたちよりお客様の近くにいて、お客様の声を反映し『SMILE シリーズ』をはじめとしたアプリケーションに対する投資がきちんと行われている印象があります。 IBMと他社の最大の違いは、わたしたち自身が直接ソフトウェア製品をお客様に提供することがないという点です。それもミドルウェア製品に止まり、必ず大塚商会様をはじめとしたビジネスパートナー様やアプリケーションソフトウェア開発企業が間に入ります。 IBMのミドルウェアは敷居が高いと言われがちですが、販売店様や大塚商会様が得意とされる中堅規模のお客様へ提供されるパッケージ・ソリューションにもIBMのミドルウェアをどんどん入れていただきたいと考えています。そのために、ハードウェアから中立的なパッケージを提供していきます。これからのIBMソフトウェアにご期待ください。 |
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