厳しい環境の今、IT化の推進によるコスト削減が重要なカギを握っている。そうしたなか、マイクロソフトは、少ない投資で大きな効果を得る「Do
more with less」をキーワードに、市場のニーズに対して最適な提案を行う「Go-To-Market」という新たな戦略を打ち出している。その戦略の狙いやパートナー支援策などについて、マイクロソフト株式会社
執行役員 ゼネラルビジネス統括本部長の森上 寿生氏にお話を伺った。
企業向けPCは、Windows 98を発売してから5、6年経ちますので、ちょうど今年がリプレイスの好機です。今期は420万台くらいのPCがWindows
98からWindows XPにリプレイスされるでしょう。同様にPCサーバでも、Windows NT Server 4.0が今年からリプレイスの時期に入ります。Windows
NT Server 4.0は国内だけで100万台を出荷しているので、6月に発売したWindows Server 2003へのリプレイスに大きな期待が持てます。
また、オフコンからPCサーバへのリプレイス需要もあります。ブロードバンドの普及と経営スピードが要求されている今、基幹系システムはオフコンのバッチ処理ではないリアルタイム処理が求められていますから、PCサーバをベースにしたシステムへの移行が進み、そのリプレイスの規模は今後3年間で13万台くらいあるでしょう。
このように今年から再来年くらいまでは大きなシステム変革の時期を迎えており、Exchange ServerやBizTalk Server
などのアップデイト版も1年以内に順次出荷する予定です。
クライアント向けではOffice 2003が今秋にリリースされます。開発コンセプトは「繋がる・繋げる」でWindows Server
2003との連携が緊密に行えるようになっています。さらにセキュリティ機能が強化され、Windows Server 2003やExchange
Server 2003との連携により、メールやExcelなどのOfficeツールで作成した情報に対する権限の設定がより細かく行えるようになります。具体的には、メールの転送を禁止したり、Wordファイルに対する書き込みやプリントアウトを禁止したり、期限付きで特定の人間に対してのみ編集を許可する、メイトといった設定が可能です。特に現在は、個人情報の保護に対する企業ニーズが高まっているので、システムのリプレイスを契機に新しいソリューションを提案するうえで、セキュリティは大きなポイントになるでしょう。
特にマイクロソフトでは、「少ない投資で大きな効果を得る」という意味で「Do more with less」というポリシーに則ったソリューションを提案しています。例えば、Windows
Server 2003導入での処理速度の向上と、IAサーバの性能向上・価格低下によるコスト削減のためのサーバ統合化(コンソリデーション)が可能となります。ユーザー様のメリットとしても、再リース料金でのコスト削減が可能になる、などといった目に見えた『Do
more with less』が可能となるでしょう。また、格段に向上したセキュリティや信頼性もユーザー様のメリットとしてご認識いただけるでしょう。
さらに、2004年度の社内施策として「Go-To-Market」というシナリオを実行しています。これまで、マイクロソフトのマーケティングに見られたプロダクト重視の手法を、市場のニーズに対して最適なソリューションを提供していくやり方にこれからは変えてゆきます。Go-To-Marketにおいて私たちが考える現在の市場ニーズとしては、システム管理の効率化、セキュリティ&情報保護、デスクトップバリュー、情報共有、ワークマネージメント、ポータル、システム統合、データ分析、基幹系システム、開発環境の10個があります。こうしたお客様のニーズに合わせて必要なプロダクトを提案していきます。結果的にお客様の利益が増える、あるいは経費が削減できるといったところにポイントを置いてビジネス展開していきます。
また、基幹系やネットワーク系など、いろいろな強みをお持ちのパートナー様に対して、「Go-To-Market with Partners」というシナリオを提案させていただきます。具体的には、テレフォンセールス部隊や営業部隊でお客様のニーズを掴み、パートナー様へ案件をお渡しして、パートナー様がお持ちのハードウェアやソリューションと共にビジネス展開いたします。お客様とパートナー様の両方の満足度を上げることが大前提です。
マイクロソフトは、サーティファイド・パートナー制度をワールドワイドで展開しています。日本でもパートナー様の利益を改善する新たなサービス内容を4月に発表しました。サーティファイド・パートナーの今までの特典は、MS製品の無償配布、ロゴの使用、Webに会社名を載せるといった、どちらかというとマーケティング主体の支援でしたが、これからはセールス支援とサポート支援に重点を置きます。
セールス支援については、セールストレーニングの充実はもちろん、テレフォンセールス部隊がサーティファイド・パートナー様のご担当者と定期的にコミュニケーションを取らせていただきます。さらに実利的な支援として、提案支援デスクを設けました。メールとWebと電話による対応になりますが、今お持ちの案件をご登録いただければ、プリセールスにおいて抱えられた技術的お問い合わせ事項について、必要な技術情報をご提供いたします。
サポート支援については、無償のオンラインサポートが基本ですが、計画・設計・構築・運用フェーズで高度な問題が出てきた場合には有償のコンサルティングやテクニカルサポートも行っています。また、サーティファイド・パートナー様を販売主体、SI主体、ソフトウェア開発主体の3つに分けて、それぞれに必要なパートナープログラムを提供します。特にSIパートナー様とソフトウェア開発パートナー様には、「.NET
Partner Program for SI」と「.NET Partner Program for ISV」という2つのプログラムを用意し、.NETベースの開発に対してさまざまな面でご支援します。大塚商会様のビジネスパートナーの皆様も、ぜひご加盟ください。