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2003年7月時点の情報を掲載しています。
一台のサーバが一枚のボード(=ブレード)状になり、専用のラックに数枚から十数枚も入るブレード型サーバが、新しいシステムとして注目を集めている。これまでのサーバという形状や考え方を超え、発展するネットワーク環境やWebサービスに対応するサーバとして、ブレードサーバとはどんな機能や性能を持つのか。また、ブレードサーバを取り巻くビジネスチャンスはどこにあるのか。先進的な製品を開発しているメーカーへの取材を通して、“ブレードサーバ”というサーバ製品の最前線をご紹介する。
ブレードサーバとは、サーバとして機能する最低限のモジュールが一枚のボード(=ブレード)に集約され、それが専用のエンクロージャ(=格納装置)に取り付けられる仕組みになっているもの。それぞれのブレードは、独立して機能すると同時に互いに協調し大量のデータを処理したり、大きな負荷を分散したり、システム障害に対する代替処理などを行う。単純に考えれば、複数台のサーバが省スペースなボックスの中に納まっているだけなのだが、それは未来のサーバの進むべき姿を示すものでもあるのだ。
基本は簡単なブレードサーバだが、個々の設計コンセプトの違いを比べていくと、それぞれの製品に特長や適応性の違いがある点もわかる。詳しくは順を追って説明していくが、基本的には「省スペース型」と「ハイパフォーマンス型」に分かれる。それぞれのブレードサーバの設計思想を理解し、適応する用途を把握しておけば、ブレードサーバがこれからの情報システムにとって、大きなビジネスチャンスとなる存在であるとわかるはずだ。
IAサーバはその登場から現在に至るまで、さまざまな進化・変化を遂げてきた。その中で、ブレードサーバは第三世代の進化といえるだろう。
第一世代は、それまでのデスクトップ型PCにハードディスクやメモリなどの拡張性を持たせ、マルチプロセッサやホットスワップなどに対応したタワー型サーバになる。このタワー型サーバは、現在も広く普及している。ドライブや電源など、必要な部品がすべてオールインワンで揃っているので、最初の一台や部門ごとのサーバとして便利に導入できる存在だ。
第二世代になると、タワー型のサーバを一箇所に集約して設置できるモデルとして、ラックマウント型が登場した。ラックマウント型でも、省スペースを追求した1Uモデルも登場しているが、ハイエンドな用途では4Uや8Uなどの形状が一般的だ。ラックマウントであればサーバ本体だけでなく、コンソールや電源バックアップ装置にネットワーク機器なども同じラックに収容できるので、設置面積の節約と機器管理の利便性を実現する。ブロードバンドの普及も手伝って、最近ではサーバやストレージを集約化する動きも進んでいることから、タワー型サーバをラックに収納するためのコンソリゼーション(=統合化)が進んでいる。
省スペースと利便性だけであれば、ラックマウント型で充分ではないか、という考えもあるだろう。しかしインターネットの普及によって、ネットワークやサーバに予想以上の負荷がかかるようになると、もはやサーバ本体の機能拡張だけでは、対応できなくなってしまう。こうした背景から、より多くのサーバを使って負荷を分散し、処理能力を向上させるための技術が求められるようになってきた。それがブレードサーバ誕生の大きな理由なのである。
情報システムを支える基幹系サーバには、拡張に関して大きく二つの方向性がある。スケールアップとスケールアウトだ。スケールアップは、サーバのCPU数やメモリにハードディスクの容量を増やすことでサーバ単体の性能を向上させ、処理能力をアップさせる方法。それに対してスケールアウトはサーバの台数を増やして負荷を分散する方法だ。スケールアウトは、既に稼動しているサーバを停止してハードウェアを拡張する必要がないので、負荷の増加に対して迅速かつリニアに対応できる。また、最大負荷が予測できないときには、とりあえず最小構成でサービスをスタートさせることもできる。その後負荷が増加した場合、その負荷に応じてサーバを追加するだけでいいのでメンテナンスも容易だ。
しかし、便利な反面スケールアウトにはいくつかの課題があった。まず、ソフトウェア的に複数台のサーバに負荷を分散させるロードバランス機能が必要だった。次に、サーバを容易に増設することのできる利便性も求められていた。タワー型やラックマウント型では、一台のサーバを増やすだけでも数時間から半日の作業が必要となるため、迅速な増設は難しかったのである。
ブレードサーバはこうした課題を解決し、拡張カードをPCに差し込むよりも簡単にサーバを増設できる仕組みになっている。加えて、Windows Server 2003や多くのOSがロードバランス機能を備えてきたことで、ネットワークにおけるサーバの負荷分散処理も容易になってきた。最新のブレードサーバでは、新品のブレードを差し込むだけでシステムが自動的に認識し、必要なOSをセットアップして最適なロードバランスを計算してくれる。まさに理想のスケールアウト環境が実現するのだ。
インターネットを利用したWebサービスや、社内でn階層のWebアプリケーションなどを利用する頻度が高くなれば、サーバに対する負荷は増大する。そうした将来の不安に対して、ブレードサーバであれば柔軟かつ迅速にスケールアウトで対応できるというわけだ。
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