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2003年9月時点の情報を掲載しています。
ネットワーク活用のソリューションが、多様に提案される時代のなかで、eラーニング市場が拡大しています。2010年の市場規模は6000億円を超えると予測する調査会社もあるくらいです。従来の教育の前提は、先生と生徒が教室に対峙して学習することでした。ソクラテスの時代から続いていますから、二千数百年間継続してきた古典的手法です。「この手法のメリットは、生徒ひとりひとりの顔が見えることです」と専門学校の教壇に立つ講師の立場から書き添えておきます。
ただし、IT機器が家庭内に劇的に普及している時代、教育拠点に参集する従来手法は、eラーニングの特長も受容すべき時代を迎えたと考えています。ITインフラを活用した新教育時代を早期に確立すべきだという考え方も筆者は持っているのです。
いま、eラーニングの特長と書きましたが、それはどういうことでしょうか?わかりやすい事例をあげましょう。まず、eラーニングを採用すれば遠隔地でも教育を受けることが可能になるのです。インターネット時代の遠隔地というのは、地球上の大半の場所と同義語です。教育拠点重用主義の既存教育手法では、大学などに合格した人は、校舎が建つ場所まで通学する必要がありました。遠隔地に居住する学生の場合、自宅からの通学は不可能です。そこで、大学周辺の場所に住むことを余儀なくされてきました。その結果、本来の学費だけでなく、下宿代や食費などの生活費の負担も強いられてきました。eラーニングを採用すれば、それが確実に激減します。
もうひとつのeラーニングの特長が、均一均質の教材を利用できることです。企業の場合、対外的に使用する用語や定義などが、個々の社員によって異なることは問題となります。A氏とB氏の製品説明が違っていては、社会的な信頼を獲得することはできません。eラーニングの均一均質教材から、そうしたブレを修正することが可能になります。予備校や英会話学校などに、テレビ会議システムまで活用したeラーニングを実施中のところが登場していますが、企業内でも社員スキルの均一均質性を求める重要度が増しているのではないでしょうか。
結構ずくめのeラーニングのようですが、問題がないわけではありません。機材の操作方法など、実物にモノに触れる体験が重要という学習には適応しない点がよく指摘されます。筆者はその指摘は誤解ではないかと考えています。なぜなら、航空機のパイロットの教育を参考にすればわかります。バーチャルリアリティを駆使した教育手法をeラーニングに応用すれば済むだけです。電脳街秋葉原駅の近くに交通博物館があります。ここの電車操作体験シミュレーターは、実際の電車の運転席と同じ装置を使い、常に人だかりができています。ちなみに運転席に座っているのは小学生が大半です。
eラーニングには、もうひとつの問題のほうが深刻です。実際にeラーニングに取り組んでいるソフト会社のマネージャーから伺った話では、企業間におけるeラーニング認識が問題とのことでした。
「eラーニングに関しては、各企業の人事担当者に非常に温度差があるんです。積極的に活用している企業では、業務時間内に社員研修時間を用意するのですが、業務時間内にそうした研修をしている姿を”遊んでいる”と認識されてしまうケースも、まだまだ見かけられます。eラーニングの普及には、そうした偏見を抱いている人たちの誤解を解く教材開発が必須です」
大塚商会が提供する eラーニング サービスに「Webラーニング」(http://www.e-owl.net/)があります。ご覧になられると納得されるでしょうが、ITに関するカリキュラムの充実度に驚かされます。実際に教育現場に接している筆者の注文として、これを「Web IT ユニバーシティ」に昇華できるべくお手伝いしたいと感じました。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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