大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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イベント
2003年11月時点の情報を掲載しています。
秋はPC関連のイベントラッシュが続きました。幕張メッセ、東京ビッグサイトなどで開催されたPC関連イベントを見学して、自分なりの結論を示しますと、業界はユビキタス環境を前提としたビジネスを模索しはじめているということです。ユビキタスは「いつでも、どこでも」とか「偏在」などと翻訳できます。この意味とPCビジネスを繋ぐものは多様にあります。
無線LAN、携帯電話などとの連携ソリューションを連想される人もいらっしゃるかと思います。事実、展示会ではそれらをテーマにしたブースが目立ちました。携帯電話のブースで主役になっていたのは、2001年10月からサービスが開始されていた第三世代携帯でした。先陣を切ったドコモの「FOMA」の場合、テレビ電話や映像配信などのソリューションを提案したにも関わらず、当初の加入者は15万人足らず。2002年4月にKDDIは「CDMA2000 1x」で現行世代の利用者の移行させ、12月までに400万台という契約台数を獲得しました。両者の明暗が分かれた原因は、採用した規格にあります。欧州や日本の通信会社が採用した「W-CDMA」は電波基地局を新たに設置する必要がありましたが、北米方式(CDMA2000)を採用したKDDIでは、第二世代との互換性を保ち、しかも既存設備の利用が可能だったのです。現在はFOMAの電波基地局整備も整うようになり、第二世代携帯で圧倒的なシェアをもつNTTドコモの市場獲得へのマーケティングが注目されています。
ユビキタス社会を支援する機器の存在も見逃せません。PCを前提にした場合、「いつでも、どこでも」にとって最大の問題はバッテリー駆動時間です。秋葉原ではインテルのセントリーノモバイルテクノロジーを採用したノートPCがよく売れています。懇意にしている店員に、その理由を質問しました。
「既存のノートパソコンの場合、ユビキタス的な使用を考えると、バッテリー駆動時間に不満がありました。セントリーノ搭載モデルと従来モデルを、その部分での比較説明すると、大半の人がセントリーノモデルを選択しますね」
フリーランスライターを職業にしていると、過去、何度もバッテリー駆動時間でハラハラした経験があります。取材に持ち歩くくたびれたトートバッグには、必ずACケーブルを入れています。バッテリー不足の警告ランプが光り出し、「AC電源を貸してください。電気料金を請求してもいいです」と某ホテルの喫茶室で懇願したこともありました。しかし、数年内にはこの問題を抜本的に解決してくれる技術が一般化しそうです。いうまでもなく燃料電池です。秋の展示会でも、いろいろなメーカーが燃料電池の提案をしていました。ユビキタス環境で利用するには、形状をさらに小型化する必要がありますが、大勢の見学者が「いつでも、どこでも」社会の実現に期待している『証』と言えるでしょう。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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