大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2004年1月時点の情報を掲載しています。
今回のアップフロントオピニオンは、当社取締役社長の大塚 裕司と、2003年4月1日より、ビジネスパートナー事業部担当に就任した当社取締役 塩川 公男による対談をお届けします。大塚商会ビジネスパートナー事業部の2004年の戦略を、お客様、販売店様、メーカー様を含めた営業現場の最前線を熟知する2人に語っていたただきました。
大塚 裕司 社長(以下:大塚):
景気は一時より良くなっていると思います。日経平均株価が、6,000円台に入るか入らないかという最悪の時期より、少し上向いていますね。今の1万円が、すぐに3万円の大台に乗るというような急速な回復はないかもしれませんが、底はすでに過ぎていると思います。
各企業の収益体質も、勝ち組企業と負け組企業が、この10年間ではっきりしてきました。本来強いところが強くなってきて、次の成長路線に入ってきたのです。でも、高度成長のような一気に伸びるというよりは、じわじわと伸びています。
だから、急速に景気が回復しなくても、そう悲観はしてないんです。脇をきちっと閉めて、まっとうにやってる会社が、最終的には残り、乱暴な売り方をしたり、お客様の信頼を失うような仕事をすると退場になるような市場環境ですよね。
ところで塩川さんは、この4月からビジネスパートナー事業部の担当取締役ということで、ひさびさの営業部門ですね。管理部門にはどのくらい在籍しましたか。
塩川 公男 取締役(以下:塩川):
6年です。社内システムと物流部門担当ですね、その後Web事業推進に移りました。
大塚:
なぜか塩川さんは、私の後を追いかけるように担当してきているんですよね。社内システム担当をやって、物流の後を引き継いで、Webでも一緒でした。
塩川:
そうですね。実際に上場までの大戦略、乗せ変えの一番泥臭くて作業的な汗かくところを、一緒にやらせて頂きまして・・・。毎日叱られながら、汗かきながら(笑)。
大塚:
一番の山場を(笑)。現場をやりたい、営業をやりたいと言っていましたよね。
塩川:
そうですね。社長の後をずっとやらせていただき、良い経験をさせてもらいました。
大塚:
その前は福岡支店の支店長として、よりお客様に近いところで仕事していたわけだけれど、今はビジネスパートナー事業部から全社を見る立場ですね。同じ大塚商会の中で、直販はお客様に直接営業していますが、販売店様を通すパートナービジネスは、まったく逆の立場で守らなくてはいけない世界です。常に販売店様の立場に立って仕事をしなければなりません。
また、大塚商会のソリューションを提供していくという意味では、販売店様サイドの立場からアドバイスするのがビジネスパートナー事業部ということになりますが、特に心がけていることはありますか?
塩川:
昨年は、着任早々、各地の販売店様をできる限り訪問させていただきました。日本全国になりますから、かなり出突っ張りだったと思います。
大塚:
やはり『Face to Face』が大切ですね。そこで信頼関係を築くこと。大塚商会の取締役の名刺でも、スタンスは、ビジネスパートナーである販売店様の代表だからね。
塩川:
私は実際に発注していただいている担当者の方々を大事にしたいと思っています。私たちが行くと、やはり社長、事業部長など、偉い方とお話しする機会が多いのです。でも、できるだけ現場の担当営業やアシスタントの方にもお会いして名刺交換させていただく。驚かれてしまうんですけれど、大事なことだと思っています。上司から言われても、実際に発注するのは現場の人たちですから。
塩川:
他社のディストリビューターと大塚商会との最も大きな違いは、ワンストップソリューションを実践しているということです。販売店様とは、現場では競合することもあるのですが、SIer(エスアイヤー)としての大塚商会に興味を持たれている会社も多いです。
特に規模がそれほどではない販売店様の場合、インフラを自社ですべて賄うことは難しいので、「インフラを利用させてもらえるんだったら、大塚商会と協力してSIerとして生きていきたい」という話をたびたび耳にしました。ですから、当社が黒子として振る舞えば、販売店様のお客様の囲い込みが、当社を通じて可能になるのではないのかと感じています。そこが、他社ではない当社でしかできないところなのではないかと思います。
ボリュームでは、圧倒的に大きいディストリビューターが他にもありますが、それとは違ったお手伝いができるのではないかと。昨年のスローガンだった「ソリューション・ディストリビューター」に対して、今年はひと味違うという意味で「バリュー&ソリューション・ディストリビューター」、他社がやってない、価値あるディストリビューターを目指そうと思います。
大塚:
ところで、価格以外でお客様が求めているものって、何だと思いますか?
塩川:
やっぱり、一言で言うとワンストップサービスですよね。値段ではなく、自社だけではできないところです。例えば保守でも、自前でサポートメニューは用意できても、コールセンターを持つわけにはいきません。結局、どこかに振らなくてはなりません。CTO(Configure To Order)は、また別の会社に振らなきゃいけない。
「当社ならばワンストップでできます。当社は黒子に徹しますから、ぜひ利用してください」それが昨年後半、一番にやってきたことなんです。
大塚:
お客様サイドから考えると、ハード、ソフトを組み合わせ、セットメニュー的に価格をつけて安くなったとしても、それでは終わらないんです。後々発生することに対して、サポートを含めて、色々なフォローが必要になります。そうすると、ただ物を提供するということよりも、トータルソリューションとして提供した方がお客様には喜ばれる。結果として、販売店様からそのお客様へのパッケージ化したソリューションを提案するということになると思います。そういう意味で、ビジネスパートナー事業部の取り組みはどこまで進んでるんでしょうか。
塩川:
それに関しては今年最も力を入れる分野だと考えています。今までは、サーバやPCを単体で販売するときに、インストールから、保守まで含めるということですね。当事業部で付加価値を付けるサービスを本格的にやりだしたのは、昨年の5月からですが、前々年からすると3倍くらいの伸びがありました。
今年は、全体の2割くらいまで伸ばす予定です。数字的には2割ですが、どうしても全体のボリュームが非常に大きいものですから。
大塚:
ただ、PRができていない、お客様にまだ浸透していないということもあると思うので、逆に認知度が上がったら、もっと行けるかもしれないわけですね(笑)。
大塚:
塩川さんは販売店様向けには今年の抱負をどこにおいているのですか?
塩川:
ディストリビューターとして「ウチでしかないもの」をもっと広げていくということと、お客様の満足度をさらに上げられるものは、何なんだということを追求していくということですね。それは、サービス&サポートであったり、販売店様がお持ちではないインフラを提供したりすることです。それを続けていけば、必然的に、ディストリビューターとしてお声をかけてもらえるのではないかと思います。
大塚:
価格以外の今の付加価値ビジネスを、大塚商会自身での成功例を通してお話ししていく。それに当社のこれを使ったら、販売店様も選択肢が広がるよという提案をしていかないとね。
塩川:
今年大きく変わるのは、『BPプラチナ』です。電子発注システムが大幅に強化されて、Web上からいつでもご発注、お問い合わせいただけるようになります。だから、周辺機器やパッケージ商品などの簡単な発注業務は、どんどん『BPプラチナ』に置き換えていただき、販売店様には本来の営業活動に注力していただきたいと思います。
大塚:
今のソリューション提案を、本当にもっと、当社が語り部として、きちんと説明して、それをご信頼いただける体制まで持って行くということでしょうね。それは、お客様にもプラスですし、販売店様にとっても大切。大塚商会側も、その方向で全体が元気になるということを望んでいます。まさにビジネスパートナー様を大切にしていくということです。
『Web』、『CTOセンター』、『データリカバリーセンター』など、いろいろなソリューションが用意されていて、その多くが大塚商会本体から切り離された、割とセキュアな環境で、提供できる体制が構築されている。それらが、まだまだPR不足というか、やはり、それを実績として信頼していただくというところには、まだ、道半ばであるということですね。
塩川:
たとえば『たのめーる』も、昨年は、やり方が限られていました。当社では、販売店様は、『たのめーる』という当社商品名を使うのは得策ではないと考え、販売店様のロゴを使って、当社がバックで商品を流すという方式だったのです。しかし、なかには、うちは小さいんで、大塚商会に全部まかせて、『たのめーる』をそのままやりたいというところも出てきました。しかしこれまで、それを提供するための仕組みがありませんでした。また、「請求だけは自分でやりたい。配達は大塚商会でやってもらいたい」というようなご要望もありました。それぞれの条件によりマージンも見直し、いくつかのパターンに対応できるようにシステムを改善しようと取り組んでいます。
当社の販売店様に対して、昨年10月末で『たのめーる』のTPSショップの加盟が400社でした。それを今年1,000社にしようとしています。今、一番差別化になるのは、そこだと思います。他社にはないソリューションですから。
また、CADビジネスも、他社がないものですから、差別化の材料です。CADの話があると、当社にお話しがきます。
大塚:
CAD販売は、大塚商会自身が世界のトップレベルにあると思います。『AutoCAD』の出荷量は世界ナンバー1を10年継続しているし、三次元CADの『SolidWorks』も世界1位の出荷量です。
CADは生産財ですから、不況のときには撤退されたところも多かったのです。しかし、大塚商会はやめませんでした。逆に、コピーとコンピュータとそれからCADと、それぞれは昔はバラバラに動いていたものが、今は複合的に総合的な提案ができます。マルチベンダ環境で、最適なCADソリューションを、ご提案できるという意味でも、他社にはない強みだと自負しています。
大塚:
大塚商会は一社でいろいろなソリューションを持っています。それを販売店の皆様にもきちんと提供していきます。もちろん、大塚商会の仁義はきちんと守るというのは大前提です。大塚商会の持っているさまざまなソリューションを使っていただくことで、販売店様のビジネスが拡がり、結果、当社のビジネスが伸びていく。そういう関係になりたいですよね。
塩川:
年度計画などの随所で、社長が仰っているスローガンにある『お客様の目線』ですね。お客様の目線に立って必要なものをすべて提供していくというは、この卸ビジネスでもまったく同じだと思います。価格だけではなく、お客様が何を望んでいるかということを追求して、やってほしいことをきちんとやっていけば、自ずと実績は、ついてくると思ってます。
大塚:
IT減税も2年目に入りました。昨年はいまひとつ立ち上がりが遅かったのですが、大企業から企業収益が回復しつつあるということは、徐々に下まで流れてきます。今は、製造業にしてもWebを使わなかったら入札にも参加できない時代ですから。
塩川:
人間系だけでコスト削減と生産性アップを目指すというのは、もうこの10年、皆様十分やってこられていると思います。その次のレベルに、もう一段ステップアップするとすれば、Webも含めたIT化メインの設備投資を断行する時期にきていますね。
大塚:
Webを使って、海外や地方の工場と会社と連絡をとってと、そういう意味では、コスト削減と生産性の向上に直結する設備投資ですし、一時からすると金融不安の不安感は少なくなってきていますから、やはり、中小企業は、今投資して前向きに経営を考えていく会社さんか、そうでないかの岐路に入っているのではないでしょうか。販売店の皆様にとっても今年は最大のビジネスチャンスになるでしょう。バックヤードには大塚商会のインフラがありますから、自社のビジネス拡大にどんどんご活用いただきたいと思います。
株式会社 大塚商会 取締役社長 大塚 裕司
取締役 兼 上席執行役員
ビジネスパートナー事業部担当 塩川 公男
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