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2004年3月時点の情報を掲載しています。
国内のパソコンの平均単価が、過去最低の金額となっていることが、社団法人電子情報技術産業協会の調べでわかった。同協会が四半期ごとに発表している国内パソコン出荷統計調査によると、2003年10〜12月のパソコンの平均単価は14万6,000円。前年同期には16万5,000円だったのに比べると12%も下落している。年率で7%の価格下落というのが、ここ数年の平均的な下落率。この1年で一気に価格が下落した格好となっている。
形状別に平均単価を見ると、ノートパソコンが15万2,000円と前年に比べて9%下落。デスクトップパソコンは12万8,000円と、前年同期に比べて15%という大幅な下落率になっている。デスクトップパソコンは、わずか1年で2万3,000円も下がった計算だ。
電子情報技術産業協会が、前身となる日本電子産業協会時代に同出荷統計の調査を開始したのが1978年。今回の数値は、その25年の歴史のなかで、ノートパソコン、デスクトップパソコンのいずれもが過去最安値となる平均単価を記録したことになる。
だが、この数字を見て、パソコンの価格が大幅に下がったと判断するのは早計だ。それにはいくつかの理由がある。
ひとつには、この集計が平均単価の数値であり、特定の低価格製品の出荷比率が高まると、その製品に引っ張られて単価が下がるという性質のものという点だ。とくに、出荷統計という性格上、メーカー出荷額で算出されており、特定のメーカーが在庫処分などの形で低価格で出荷すると、その影響を大きく受けることになるという特性がある。
年末から年始にかけて、一部メーカーの製品が極端な低価格で販売されていたのは周知の通り。それが平均単価の下落に影響を及ぼしている可能性がある。
2つめは、今回の統計には、前年同期には調査に参加していなかったDOS/Vパーツ販売最大手のアロシステムが参加している点だ。
同社の場合、DOS/Vパーツ販売という性質から組立パソコンが主力となり、低価格モデルに人気があることや、販売手法がディスプレイを別売りとしている例が多いことなど、平均単価の引き下げを牽引するような要素が多分に含まれているのだ。
同協会では、個別のメーカーの数字を公表していないため、具体的な影響度が明らかではない。だが、出荷シェアにして3〜4ポイントの影響はありそうで、これがデスクトップを中心とした平均単価の下落を加速させている可能性が強い。
そして、もうひとつ、見逃すことができないのが、ここにきて激化してきた外資系メーカーを中心とした、ウェブによる低価格なメーカー直販パソコンの影響だ。
先行するデルに続いて、日本IBM、日本ヒューレット・パッカードといった外資系企業が、新聞広告を活用したキャンペーン攻勢による低価格販売を加速。企業ユーザー、個人ユーザーを問わず、驚くべき低価格での販売を展開している。
結果として、販売をネットに依存しているデルはもとより、間接販売を主軸としている日本IBMや日本ヒューレット・パッカードでも、パソコン出荷量の半数以上をネット直販が占めるなど、各社の主要販売ルートのひとつとなっている。
日本IBMや日本hpのネット直販のなかには、パートナー販売とウェブ直販を組み合わせた新たな販売手法も取り入れられているが、4万円台、5万円台の価格表示したパソコンのインパクトは大きく、これも平均単価の低下を促進する材料のひとつになっているといえるだろう。
ただし、こうした動きの一方で、個人向けパソコンでは、AV機能を強化した高機能モデルに対する需要が高まるなど、平均単価の下落とは一線を画す動きも見られている。
このように、いくつかの統計データを取り巻く動きや、市場動向の流れを見ると、今後は今回のような2桁台もの大幅な価格下落はないといってよさそうだし、もしあったとしても、それは本当の意味でパソコン本体そのもの価格下落を指したものではないという可能性も高い。
大河原 克行
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、'01年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、月刊アスキー(アスキー)などで連載および定期記事を執筆中。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社刊)、「松下電器変革への挑戦」(宝島社刊)など。
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