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2004年5月時点の情報を掲載しています。
今回のアップフロントオピニオンは、日本IBM株式会社 理事 ビジネスパートナー事業部長 矢花 達也氏と当社 取締役 大塚商会ビジネスパートナー事業部 担当の塩川 公男による対談をお届けします。業態の枠を超えたメーカーとディストリビューターとの協業が、お客様に対するどのような新たな価値を生み出すことができるのか、それぞれの立場から語っていただきました。
大塚商会 塩川 公男 取締役(以下:塩川):
IBM様のパートナー戦略が変化してきているようですが、我々自身もIBM様のパートナーとして、こちらに人員を割いていただき、弊社とのコミュニケーションがうまくいき始めていると思っています。こうした状況で、IBM様から見た場合の我々の立場とは、どのようなものでしょうか?
日本IBM 矢花 達也 ビジネスパートナー事業部長(以下:矢花):
大塚商会様には非常に力を入れていただいていると感じています。その実績は数字にも表れてきていますし、そういう意味では戦略が非常にうまく機能し始めていると思います。IBMのパートナー制度というのは、もともとソリューションプロバイダーという一次店様を軸にした制度的デザインをされていたので、どちらかというと大塚商会様のようなスケールの大きなディストリビューターとしての機能を持っていらっしゃるようなパートナー様には、必ずしもマッチしている訳ではなかったのです。私ども自身、事業を拡大するにあたり、それまでの制度やルールだけでは補えないところがあると認識していました。しかし、グローバルの大きな枠組みの中で、なかなか思うように改善できなかったんですね。そこで、さまざまなパートナー様とうまくやるために検討し、また弊社のパートナー様と大塚商会様が円滑にお付き合いできるような制度に変えていくよう去年から取り組んできました。今年は、そうした施策が具体化し始めると思います。大塚商会様とうまく協業していくためにはどうしたらいいのかということは、一つの課題、あるいはベンチマークになっています。つまり、独立した要素として扱うくらい大塚商会様との関係を重視しています。私どもからすると、どちらかというと片思いで、大塚商会様からはなかなか振り向いてもらえないという状況であったと思います。大塚商会様から見ると、IBMは付き合いにくいとお考えになっていたかもしれませんが、以前と比べると、協業によるメリットは増えつつあります。私どもにとって大塚商会様は大変重要なパートナー様ですし、大塚商会様にも新たにIBMと連携していくメリットを感じていただければと考えています。
実際、最近の両社の関係には、双方の良さを生かして事業にプラスしていくという明確な目的が見えてきます。
塩川:
以前、ディストリビューターとしてのIBM様というと、直販、つまりダイレクトにビジネスをやっていくというイメージが非常に強かったですが、去年あたりから、パートナーとの協業に目を向け、ずいぶん変化してきていますよね。
矢花:
ご存じの通り、直販・大企業・大型コンピュータがIBMの基盤を支えてきた事業領域ですので、いろんな制度がそれをベースにできているのは事実です。しかしこれから先、事業を伸ばしていく上で、中堅、中小企業市場への対応と、多様なパートナー様とお取引を拡大していくための枠組みづくりが不可欠な要素になります。その中で特に大塚商会様を軸にこのスキームを立ち上げて行きたいと思い、関係を大変重視しています。米国の本社の方も、確実にパートナー様との事業を重視しつつあります。IBM全体として、パートナー様と一緒にやっていこうという目的で、事業を大きく変化させています。
塩川:
なるほど。では、メーカー側から見た、ディストリビューターとしての大塚商会というのは、どのように映っているのでしょうか? また、弊社に人員を導入していただいたりといった強力な事業推進の背景には、何かしら我々に対する期待もあると思います。それは弊社とIBM様が組んだことによる、パートナー様にとってのメリットにもつながると思うのですが。
矢花:
まず、最近うまくいき始めた理由の一つには、ここへ来て、大塚商会様が本当の意味でのパートナーになっていただいたという感覚があります。これまでは、弊社にとっての競合製品をメインで扱っていらっしゃるという印象が強く、どちらかというと大塚商会様とは競合するケースはあっても、連携するケースというのは少なかったのです。しかし、やはり大塚商会様というのは強い営業力を持ち、特に中堅・中小企業に対する企業独自の仕組みをしっかり構築され、お客様の目線を持ちながらも、総合力のある最強の企業だという認識を持っていました。しかし一方で、なかなか握手ができないという状況があったものですから、ここへ来てやっと一緒にやっていただける土壌ができ、大変ありがたいと思っております。
塩川:
ありがとうございます。
矢花:
大塚商会様は、中堅・中小企業への対応ということについて、申し分なくナンバー1だと認識しています。IBMもその市場になんとか入っていきたいと考え、今まである部分はやってきたのですが、やはり小回りがきかなかったり、製品の品揃えが十分でなかったり、なかなか強力にシェア拡大するということにつながりませんでした。そこで、そうした市場に対する経験やスキル、商材などを、十分に持っていらっしゃる大塚商会様と一緒に組むことで、そこを攻める販売店様を増やしたり、IBMのパートナー様に対してより競争力を持てるよう大塚商会様から商材を提供していただくといったことが可能になりました。やはり大塚商会様の専門性をお借りできますと、私どもとしては本当に心強いです。また、そこは大塚商会様に対する大きな期待と言っても良いと思います。今後、お互いの実力を補い合い、一緒に市場を広げることができたらと考えています。
矢花:
従来のような、単純に右から左へ商品を動かすだけの商売ではなく、できるだけいろいろな情報や付加価値を持ち、営業の方がエンドユーザー様の元へ伺うということ以外に、インフラを使ってバックアップできるのが、大塚商会様の大きな強みでしょうね。エンドユーザー様やパートナー様にとって、バックヤードでのCTOを手がけたり、サポートサービスを提供する技術の部隊がいたりと、いろいろな要素を持っていらっしゃるのが大変魅力的です。
塩川:
他社様も、よそと組んでという形でやられたりしているんですけれど、私どもの場合は、1社ですべてまかなっているということが、大きく異なる点だと思います。今おっしゃったCTOセンターのほか、スクールなども展開していますので、例えば一括購入のお客様にそのスクールをSIer様の名前で利用していただいたりといった、ただパソコンを納めるだけでない付加価値を提供できると思います。もちろん修理等、購入後のサポート体制もすべて用意してありますから、それらもお客様の名前で利用していただけます。自社でやるところはやり、急の場合や自社でできないという場合には、私どもと連携するなどして、うまく活用していただければ良いと思います。
矢花:
そうですね。SIer様というのは、自分たちでつくるソリューションというのに関心が向いていて、それ以外のことはあまり手間をかけたくないという傾向があります。だから、大塚商会様のように、商材からソリューションまで全部そろっているというところは、非常に魅力的だと思いますね。
塩川:
そこが大塚商会を選んでいただいている1番の理由だと考えていますし、メーカー様もできない領域だと思います。事実、おかげさまでご好評いただいております。逆に、私どもができない領域はIBM様などのメーカー様とのタイアップによって、必要なところをうまく補完し合い、速やかにお客様のビジネスをサポートする体制を作るということが大切だと思います。
そういう意味で、我々自身、ディストリビューターという名前ではなく、去年からバリュー&ソリューション・ディストリビューターという名称を標榜しています。ディストリビューターに付加価値をつけて、将来的にはソリューションまでご一緒させていただくことを、一つの目標にしていきたいと考えています。
矢花:
IBMの製品をそのまま外に出すのではなく、そこに何かしらの価値を加えて販売していただくというのが、我々にとって必要なパートナー様であると考えています。
塩川:
今年はPCやIAサーバはどのくらい伸びるとお考えになっていますか?
矢花:
やはり相当伸びるのではないかと思います。1998年くらいから2000年対応で再構築して導入されたサーバが、5年たった現在もそのまま残っているということが結構あります。今年の5月から7月にかけて、サーバが全部新製品に変わりますので、おそらく大きな需要の山をうまく取り込めるのではないかと思っています。ただ、一方では単純に年数がたったから入れ替えるというやり方では、そこを担当していたパートナー様が全部潤うことにはならないと思います。技術力のあるところや専門性のあるところに、利益が流れていくのではないでしょうか。同じIT業界全体として、PCやIAサーバは間違いなく主力となるでしょうが、その中でも良いところとそうでないところの差が、より鮮明になるのではないかと考えています。
塩川:
そうですね。IBM様はハードウェアだけではなく、SIer様も持っていて、ミドルウェアを含めたソリューションにも力を入れていらっしゃる。そういう意味では、個人的にメーカーとして1番伸びていると感じます。SIer様やエンドユーザー様にとって、IBM様とお付き合いしているということは、ブランドとしての安心感があるでしょう。一方で、単にモノを流すだけの提案ではなく、違ったところも訴求できるようになれば良いのかと思います。弊社とIBM様がご一緒させていただく意味は、そういうところにあるのではないかと考えています。だから、価値とかソリューションを提供することができないと、お客様から見て本当に魅力のあるディストリビューターにはなり得ないと感じています。それはやはり大塚商会だけではできません。IBM様とご一緒させていただいてエンドユーザー様にご提供できて初めて、非常に評価されるディストリビューターになると思いますね。今年は弊社もCSを大きな柱でやっていくつもりですので、是非ご理解とご協力をいただければと思います。
矢花:
ええ。今後、一緒に市場をつかんでいきたいですね。
日本アイ・ビー・エム株式会社
理事 ビジネスパートナー事業部長
矢花 達也氏
株式会社 大塚商会
取締役 ビジネスパートナー事業部担当塩川 公男
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