大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2004年9月時点の情報を掲載しています。
秋葉原のパソコンショップでは、小規模企業からの情報セキュリティ対策に関する問い合わせが増えています。情報セキュリティは、大企業ならば専任のシステム管理者が、全社的なセキュリティポリシーを決定する傾向がありますが、専任者をおけない小規模企業の場合、経営者の意識の高低で、セキュリティの方向性が決まります。このあたりを有名店の店員は次のように話しています。
「アキバの小売店に影響を及ぼすのは、新種や亜種のウイルスやワームが流行して、それをマスコミが報道した直後ですね。電話での問い合わせ数や、アンチ・ウイルス・ソフトの売上が格段に違います」
ウイルスやワームだけでなく、スパイウェアの場合でも同様だそうです。ただ、過剰な反応をする人を相手にする場合、閉口するときもあるそうです。
「有名企業の個人情報漏えいが報道された場合、自分のところのリスクを問い合わせて来られる方がいらっしゃるのですが、事件の概要を把握されてからお問い合わせいただきたいと思いますね」
この店員によれば、通常の使い方をしていて、数万人、数十万人という規模の個人情報が漏えいすることは考えにくいとのことです。
「留意しておいて欲しいのは、ノートPCやハードディスク、CD-Rなどの管理ミスなんですよね。ISPとのウイルス検知・駆除契約をして、しかも端末にアンチ・ウイルス・ソフトをインストールしていれば、余程のことがない限り、ウイルス、ワーム、スパイウェアなどの被害に遭うことはありませんよ」
こうした書き方をすると、最新ウイルスの検知・駆除には、パターンファイルがアップロードされるまでの時間がかかるではないか、と指摘する人もいます。それは事実なのですが、筆者はあくまでアキバの味方(笑)ですので、店員の説明のほうが説得力があると感じます。
なぜかといえば、大規模の個人情報が漏えいする原因を精査してみると、大半の原因が、システム管理室への入退室管理の甘さなのです。ご存知のように、セキュリティポリシーを策定するとき、部署や担当者におけるアクセス権限を設定します。ところが、実際の企業内にあって、そうした接触管理を実施しているところが何社あるでしょうか?
このように、被害に遭う大半の原因が、対策の至らなさであり、それに対して、パターンファイルがアップロードされるまでの時間に被害に遭う可能性は、低いといえるのではないでしょうか。
一方、IT機器の進化も無視できない問題です。現在では、大容量のハードディスクを搭載したノートPCが普及し、DVD-Rのような大容量メディアが当たり前のように使用されています。セールスツールとしてスタッフは、それらを客先に持参したり、モバイル環境でデータのやりとりをするシーンも珍しくなくなりました。
筆者の失敗例ですが、先日、取材の帰りに空腹を覚え、有名なラーメン店に入店しました。パナソニックのレッツノートが入った黒いパソコンバッグを、カウンター下の棚に置き、デジタルカメラやICレコーダーなどを入れた手持ち袋をカウンターの上に置きました。醤油味の冷やしラーメンを食して、満腹気分を味わい鋭気を養った筆者は、次なる取材先に向かいました。
某店で働く旧知と30分程度、IT機器の最新事情を話していたときのことです。肩が妙に軽いと思ったのです。その瞬間、全身から冷や汗が噴き出しました。肩から掛けているはずのパソコンバッグがないのです。瞬間的に、先ほどのラーメン店に置き忘れてきたことを思い出しました。旧知に急用を思い出したと話しながら、もしも、あのカウンターの下からなくなっていたら…と考えたことは言うまでもありません。こういった場合でも、普段からバックアップをとり、PCにはパスワード制限をかけておくなどの対策をしていれば、データの紛失や盗難の心配は少なくなります。情報セキュリティ対策が、総合セキュリティサービスに向かわざるを得ない理由のひとつが、こんなエピソードにもあると考えます。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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