サーバOSとしてのLinuxへの注目が高まっている。そして、ITが日常業務に浸透している現代では、基幹系サーバ以外のファイルサーバやFTPサーバにも、高い信頼性が求められるようになっている。そこで、安価なLinuxサーバで、HA(High
Availability)クラスタ構成を実現する『LifeKeeper for Linux』を紹介する。
HAクラスタとは、複数のサーバマシン(ノード)を使用して冗長化させることにより、システムの停止時間を最小限に抑え、業務の可用性(availability)を向上させるクラスタシステムのことである。単純に言えば、同じサーバを2台設置しておいて、1台がダウンしたらもう一台が動き出す仕組みであり、アクティブサーバに何らかの障害が発生した場合にスタンバイサーバに瞬時に切り替わり、ユーザーは障害発生に気づくことなく、サービスの提供を継続的に受けることができる。一方、システム管理者は、ユーザーへのサービスを停止することなく、障害回避に専念することが可能になる。特に24時間365日ノンストップでシステムを運用したいときに効果を発揮する。
これまでHAクラスタは、金融系のサーバや販売管理システムのような、いわゆる基幹系システムに主に導入されてきた。ところが、現在ではメールやインターネットが普及し、メールサーバやWebサーバなどの情報系システムも、日常業務において基幹系システムと同じような重要な役割を果たすようになってきている。そうした経緯もあり、情報系システムにもHAクラスタを導入して高可用性を実現したいというニーズが高まってきた。特に営業部門やマーケティング部門にとっては、情報系システムはまさに日常業務に不可欠なものである。例えば、営業マンのなかには土日に自宅や外出先でメールをチェックする人もいる。そのときにメールサーバがダウンしていたら、仕事ができなくなってしまう。また、インターネット上でさまざまなサービスを提供しているWebサーバが、突然ダウンしてしまったら、顧客や取引先の信頼を失うことにもなりかねない。したがって、今や情報系システムは、24時間365日ダウンすることは許されない。そのため、HAクラスタを情報系システムに導入する企業が増えている。
その一方で、情報系システムは、コストダウンを図るために、高価な商用UNIXからオープンソースをベースにした安価なLinuxへと移行する企業が急増しており、その流れのなかで、当然のことながら、LinuxをプラットフォームとしたHAクラスタシステムが求められるようになった。ちなみに、「@IT
Linux Square フォーラム 第9回読者調査」(2003年2月24日〜3月24日実施)によると、Linuxでクラスタリングを実施、もしくは検討している企業は67%にも上る。
現在、Linux上で利用できるHAクラスタソフトには、さまざまな製品があるが、そのなかで最も高いシェアを占めているのが、米国のSteelEye
Technology社が開発した『LifeKeeper』である。すでにワールドワイドで3,000ライセンス以上の導入実績があり、今ではLinuxのHAクラスタソフトのデファクトスタンダードとして位置づけられている。日本では大塚商会の関連会社であるテンアートニが販売代理店を行っており、これまで数多くの販売実績がある。
『LifeKeeper』が高いシェアを獲得している最大の理由は、ARK(アプリケーション・リカバリー・キット)と呼ばれるオプションが豊富に用意されている事である。通常HAクラスタシステム構築を行うためには、対象アプリケーションの修正や起動・停止・監視用スクリプトの作成とテスト作業が必要になる。監視オプションが提供されている製品でも、クラスタ定義ファイルへの組み込み作業とテストが必要になり、どうしても高額なSI構築費用が必要になっていた。
しかし、『LifeKeeper』のARKは、各アプリケーションに特化したリソース定義、障害検出機能、アプリケーションの起動・停止機能、フェイルオーバー機能などをRPMパッケージとして格安に提供する事で、大幅なコスト削減を可能にしている。またARKは、オープンソースはもちろんのこと、商用製品を含めた主要なデータベースや業務アプリケーションに幅広く対応している。具体的には、『Apache』『Samba』『SAP
R/3』『SendMail』『SendMail SAMS』『Oracle 8i/9i』『informix』『PostgreSQL』『DB2』『SyBase』『Data
Replication』『MySQL』『NFS Server』『NAS』『Print Services』『LVM』のARKが用意されている。このため、HAクラスタシステムを一定の金額で安価に構築することができ、エンドユーザーは導入時の予算も立てやすい。また、『RedHat』や『RedHat
Enterprise Linux』をはじめとする、主要なLinux OSに幅広く対応しており、現在ではWindows版もすでにリリースされている。
さらに、大塚商会グループでは、グループウェアサーバにおけるHAクラスタシステムを容易に実現するために、『LifeKeeper for
Linux サイボウズ ガルーンKIT』も提供している。EIP型グループウェアとして定評のある『サイボウズ ガルーン』と『LifeKeeper』を組み合わせることにより、グループウェアのノンストップ稼働も可能になる。
『LifeKeeper』のメリットは、単に低コストでHAクラスタシステムが構築できることだけではない。年間稼働率99.99%の安定性を確保できることや、GUIによる直感的な操作性と視認性により、人的ミスを大幅に削減できることも大きな魅力だ。さらに、最大32ノードまでのクラスタ構成をサポートするなど、UNIXのシステムと比べても遜色ない冗長性を実現することが可能になる。大塚商会では、このようにLinuxベースで優れたパフォーマンスを発揮する『LifeKeeper』を積極的に訴求しており、万全なサポート体制を整えているので、いつでもお気軽にご相談していただきたい。
■『LifeKeeper
for Linux』
『LifeKeeper for Linux』は、システム構築の手間とコストを削減するために、多くのアプリケーションに対応するARK(アプリケーション・リカバリー・キット)が提供され、インターフェイスには、高い操作性を実現するGUIの管理画面が採用されている