大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2004年11月時点の情報を掲載しています。
IT関連の展示会を見学したり、秋葉原などのパソコンショップの店内を見ていると、今、中堅・中小企業向けのセキュリティ対策が注目されていることがわかります。筆者が参加している異業種交流会では、自社の情報セキュリティに対する不安を伝えてくる経営者もいらっしゃいます。企業経営はヒト、モノ、カネ、情報が核となりますが、情報セキュリティも同じ視点から見ることが多いように思います。
まずはヒトの問題です。大企業のように専任の部署があったり、ネットワークのスペシャリストを雇用しているような企業と、そうでない企業とでは、温度差が明白となっています。
「社内のシステムをソリューションベンダーに構築してもらったものの、実際に運用しているのは素人同然の社員や学生アルバイトなんです。大企業でさえ契約社員に個人情報を持ち出されたという報道が頻発していますが、当社の場合、どんな情報が持ち出されているのかさえわかりません。お手上げ状態です」
このような声を聞くと、ヒトの面での不安を解消する術を、ソリューションベンダーは提案すべきではないかと考えさせられます。
さらに、モノの面に関して、秋葉原で働く知人に、同様な相談を受けることはないかと質問してみたところ、次のように返ってきました。
「法人営業の窓口で、個人情報漏えいに関する解決策やハードウェアの不具合への対処を質問されることがあります。当店では、システムの運用や機器類の保守に関しては、お客様の自己責任であることをご理解いただくスタンスです。情報セキュリティならばなおさらです。ソフトのインストールなどの有償サービスや、なにかの事故に際しての保険などに対してであれば提案しています」
このように、モノの面での、情報セキュリティについては、自己責任としているということでした。
一方、知人のITコーディネーターは、情報セキュリティに関する問題解決策は、カネ次第だと話しています。
「過去の情報セキュリティ対策は、アンチウイルスソフトをインストールしたり、ファイアウォールを設置すれば済むという発想でした。しかし、最近の情報セキュリティは、ヒト、モノ、カネのどれにも関連しています。厳密なセキュリティポリシーを提起すると、サーバの安全管理や、サーバルームへの入退室管理などが出てきて、場合によってはオフィスを移転しなければ運用不可能という場合もあります。」
また、情報セキュリティを考える場合、最初に考慮しなければならないことは、自社のシステムの脆弱性情報を明らかにするということです。ここでさらに、情報という問題が関わってきます。さきほどの秋葉原で働く知人は、次のように話しています。
「企業規模が小さくなればなるだけ、システムは付け焼き刃のようになる傾向があります。必要に応じて機器を揃えようとしたり、動作が可能なら中古PCでも構わないといった企業に伺いますと、社内に無造作にDVD-RやCD-Rなどの記憶メディアが放置されているんです」
このように、根本的な情報の取り扱いができておらず、自社のセキュリティ状況がどうなっているのかを把握できていないケースがある。こうした事情を考慮した結果でしょうか、NCネットワーク、大塚商会、マイクロソフトが、中小製造業を対象としたIT化支援策として「情報セキュリティ診断サービス」をNCネットワークのEマーケットプレイスを活用している会員企業約13,000社に向けて、10月22日から提供をはじめています。
「情報セキュリティ診断サービス」(https://www.nc-net.or.jp/security/)は、同3社がすでに提案していた「中小製造業のIT化支援での協業」の最初のサービスです。製造業では、部品図面・金型図面などのデータ情報共有やデータ情報に対するセキュリティの確保が必須です。そうした面の意識向上が、今回のサービスの目的になるでしょう。
大塚商会は「情報セキュリティ診断サービス」で情報セキュリティ対策のノウハウを融合した、簡易アンケートを実施して、NCネットワークのWebサイト上で展開するそうです。30問の質問に答えるだけで、その会社のセキュリティレベルを診断でき、簡易的なレポートも発行されるというのですから、興味をお持ちの読者はぜひお試しください。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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